【興奮】素数の謎に迫った天才数学者たちの奮闘と、数学の”聖杯”である「リーマン予想」について:『素数の音楽』『リーマン博士の大予想』
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数学の女王・数論における最重要未解決問題「リーマン予想」を理解する
「リーマン予想」とはどんなもの?
「リーマン予想」は、数学における未解決問題の一つであり、非常に有名なので、数学に詳しくない方でも耳にしたことがあるかもしれない。クレイ数学研究所が2000年に発表した7つの「ミレニアム問題」の1つでもある。「ミレニアム問題」は数学における非常に重要な問題を取り上げており、1つでも解ければ100万ドルがもらえる。現時点で「ポアンカレ予想」だけが解決済みであり、残り6つは未解決のままだ。
「リーマン予想」は、「素数」に関する予想である。素数というのは、「1とそれ自身以外の数では割り切れない数」であり、小さい順に書き出してみると
2・3・5・7・11・13・17・19・23……
となる。
数学に関心がない人からすれば、この数字の並びの何が面白いのか分からないかもしれないが、古代から数学者たちはこの「素数」に惹かれてきた。素数は定義がきちんと決まっており、誰でも書き出せる。しかし、「素数にはどんな規則があるのか?」と問われると、誰も答えることができなかった。そこで数学者たちは、「規則性があるようには感じられない素数に、何か規則性が存在するのではないか?」と考え、様々な研究が行われるようになったのである。
数多の数学者たちの挑戦を跳ね除け、それらしい規則性を見つけられない者がほとんどだった中、リーマン博士だけが唯一、「これこそが素数に備わっている規則性なのではないか」という予想を提示することとなった。その予想こそが「リーマン予想」である。
「リーマン予想」については、どこまで分かっているのだろうか? 今のところ、コンピュータを使うことで、非常に大きな桁数の素数に対しても「リーマン予想」が当てはまることが知られている。しかし、どれだけコンピュータで計算しても、数学的には意味がない。きちんと証明されなければならないのだ。
その印象的な例がある。かつてオイラーという数学者が、
【(xの4乗)+(yの4乗)+(zの4乗)=(ωの4乗)】が成り立つような自然数解x,y,z,ωは存在しない
と主張した。同じ用にこの予想も、コンピュータでかなり大きな数字に対して計算をしても成り立っていたので、誰もが正しいと考えるようになっていった。
しかしある人物が、
(2682440の4乗)+(15365639の4乗)+(18796760の4乗)=(20615673の4乗)
という解が存在することを示し、オイラーのこの予想が成り立たないことを証明したのだ。
このように、無限に存在する数字すべてについて計算し尽くすことなどできないのだから、どれだけコンピュータで計算をしても意味はない。数学的にきちんと証明されるかどうかが大事なのだ。
この「リーマン予想」は、数学においては非常に重要で、その正しさが証明されていないにも関わらず、「もしリーマン予想が正しいとしたら……」から始まる論文が多数存在するという。「リーマン予想」の正否はまだ判明していないが、それが正しいことを前提に数学の研究が進められている、ということだ。それらは、「リーマン予想」が正しいと証明されなければ数学的には何の意味もない研究だ。この話だけでも、証明が待ち望まれていると分かるだろう。
『素数の音楽』と『リーマン博士の大予想』は、この「リーマン予想」の説明と、それに挑んだ数学者たちの奮闘の物語を描いた作品だ。どちらも非常に面白いが、読みやすさという点では圧倒的に『素数の音楽』の方が上なので、どちらか迷う場合はまず『素数の音楽』をオススメする。
ガウスの素数研究と、コーシーのゼータ関数
リーマンの研究に触れる前にまず、素数研究の流れを変えたガウスについて触れよう。
ガウス以前の素数研究というのは、「素数の公式」を追い求めることだった。
例えば、「2・3・5・7」という4つの素数の公式を考えることにしよう。数学では、「n番目の数」という意味でよく「n」の文字を使う。この例でいえば、「1番目の素数は2、2番目の素数は3、3番目の素数は5、4番目の素数は7」である。この時、
「n×2-1」
という公式で、4番目までのすべての素数が導き出せる。しかし残念ながらこの式では5番目の素数である11は導き出せない。だから誤りである。
このように、「n番目の素数」を導き出すための公式を探す、というのが、素数研究のメインだったのだ。
しかしガウスは考え方を変えた。彼は、「ある数Nまでに、素数はいくつぐらい存在するだろうか?」という、それまでとはまったく違う発想で素数の問題に取り組んだ。これにより「ガウスの素数定理」と呼ばれる定理が生み出され、素数研究に新たな道を切り開くことになった。
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