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ベルリンの(ブラックな)スタートアップで働いていたときのこと

(写真はベルリンの桜並木です)
今では比較的安定した日常を送ることができているのですが、ベルリンに来てから3、4年は本当に大変で色々なことがありました。特にコロナ初期を挟んだこともあり、仕事の面では苦労しました。

最近ようやく振り返って笑えるようになったので、酷かったベルリンのスタートアップでの勤務について少し書いてみたいと思います。


ベルリンに来てからUXデザイナーにキャリアチェンジしたことは、以前この記事で書きました↓

この記事では最初に働いた会社のことをあまり書いていなかったのですが、実はベルリンでは2年数ヶ月の間に(意に反して)以下の3社のスタートアップを経験しています。

1社目 大学院との掛け持ちで、アルバイト(Working Student)のビジネス・デベロッパーとして1年半働いたEコマース系スタートアップ
2社目 UXデザイナーとして初めての仕事で、2ヶ月働いたFinTech系スタートアップ
3社目 UXデザイナーとしてインターンからフルタイムの社員になり、6ヶ月働いたEコマース系スタートアップ

まず1社目は、大学院に通っている時に学生アルバイトとして雇用されたEC系のスタートアップです。この会社はスタートアップとはいえ、すでにこの時点で7年以上操業しており、社員も100名ほど在籍していました。

仕事の内容としては、日本におけるローカリゼーションの補助や日英翻訳などを担当しました。基本的に仕事はそれなりに楽しく、上司からの評価も悪くなかったのですが、大学院卒業後にフルタイムの社員として雇ってもらうことは、予算の関係上難しいと言われていました。

そういった事情もあり、卒業後に就職できるスキルを身につけるため、この会社で働きながらUXデザインを勉強し始めました。そんな折、会社のデザインチームのマネージャーに、インターンとして異動できるか聞いたところ、ポジティブな返事をもらうことができました。

それが2020年の1月ごろだったのですが、コロナショックが3月にありこの会社でもレイオフが実施されることになったため、その話も無くなってしまいました…。Working Studentとしての契約もちょうど2月で切れてしまい、その3月からUXデザイナーとして就職活動を始めることになります。


以前書いた記事では触れなかったのですが、実は就職活動を始めて1ヶ月ほどで一社から内定をもらいました。それが2社目のFinTech系スタートアップです。この会社は設立してからその時点で1年以内ほどで、社員も5人ほどしかいませんでした。私のポートフォリオを見たCEOからLinkedinでメッセージがあり、数回の面接後に内定しました。

このCEOは以前にも会社を設立して成功させた経験があり、人柄も良かったのですが、問題は直属の上司でした。この人はCEOの友人で銀行・FinTech関係の仕事をしていたようなのですが、肩書きであるプロダクトマネジメントの仕事はほとんどしたことがないようで、UXデザインについてもあまり知らないようでした。

面接時から少し嫌な予感はしていたものの、段々と一緒に働くことに難しさを感じるようになりました。最初のプロダクトは構想からUIデザインまで何とか一緒に作りましたが、二つ目のプロダクトの作成中に意見が合わず、私が意見を述べるほど上司は高圧的になっていきました。

ただ高圧的なら我慢ができますが、本人がプロダクトマネジメントとデザインの経験がない上で意味不明と思われる指示を私にしてくるので、本当にどうしようもなかったです。Figmaでデザインしている最中を逐次監視される程度にはマイクロマネジメントをしてくるようになり、最終的には暴言を吐かれたことをきっかけに2ヶ月で退職することになりました。

まさかドイツでドイツ人上司にパワハラをされるとは思ってもみず、この時は本当に精神的にきつかったです。この時はキャリアよりも、この最悪な上司とできるだけ早く顔を合わさなくて済むことを選びました。


その後3つ目に見つけた会社が、シードラウンドのEC系スタートアップです。2つ目の仕事を辞めた後はまた就職活動を再開したのですが、数ヶ月経っても仕事が決まらないので焦りました。ほとんど日本に帰ろうと思った頃にこの会社の内定をもらったのはいいのですが、問題は最初の3ヶ月がインターンの契約で、給与があまりにも安かったことです。

唯一ラッキーだったのは、ビザ更新のタイミングで3ヶ月後にフルタイムの社員となり、ビザサポートがもらえたことでした。ビザがないとドイツに国内にとどまることすらできなかったので、今振り返ってもこれは幸運でした。

ただ、このスタートアップはCEOの構想があるだけでほぼ会社の体を成しておらず、プロダクトが無いどころかデベロッパーすら満足にいない状態でした。途中でVCのシードラウンドのファンディングを受けたのは良かったものの、CEOが構想し私がデザインしたアプリを作るにはあまりにもファンドの額が少なすぎました。

インターンから始めて5ヶ月ほど経った頃、契約した年収額よりさらに減給されることになり、会社の将来性も危ういと判断したので、Linkedin経由で来ていた面接のオファーを受けて転職することにしました。

転職先は300人規模で、創業から12年以上経っている安定したベルリンのテック企業でした。運よく年収も2倍近く上がったのでブルーカードが取得でき、やっと一息つくことができました。


以上がベルリンのスタートアップで働いていた時の経験です。個人的にはもうスタートアップはいいかな…というのが正直な感想ですが、やはりキャリアの初めから安定した企業に勤めるのは難しいので、仕方がなかった部分はあります。

ベルリンには世界中から職を求めて人が集まってくるため、スキルが未熟なうちはこのように買い叩かれることはよくあるのではないかと思います。

実際にその仕事ができるのかどうかが問われるドイツでの就職活動は、ポテンシャル採用がある日本よりシビアかもしれません。一度経験を積めば転職はそれほど難しくないと思いますが、やはり最初はとても大変でした。

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