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作詩-言葉たち-vol2

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2015年7月の記事一覧

Love You Song

希望を願いを持ち続けるために
清らな歌を やさしい愛を
胸にたたえる

時にまどろみにぬくもるそれは
時に透明な青に涼やか

愛を満たすには
やっぱり愛が必要

でもね それはきっと
自分がどれだけ愛されているかより
自分がどれだけ愛していられるか

あなたを想うと微笑むことができる
愛を讃えて愛で満たす
そのぬくもりを言葉にかえて
今日もわたしは紡ぐのです

©2015   緋月 燈

青玻璃の殻

冷たい朝がおり
湖のほとり
静けさをたたえ
帳と霧の浸食

重苦しい夜を越え
まもなく朝陽が罅入るだろう
僕に沈んだ澱もろとも
露と消えよ昇華させ

月からも隠れ
僕に揺蕩う水面の底
沈み沈んでいる影も
光はきっと消してくれると
祈り この胸差し出そう平らかに

此処はおんなじ
青いろ硝子

透きとおる
薄玻璃
砕けろ
壊れないで

涙の重さの世界に三本目の手がしがみつく

だけどもうさよならしよ

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潮騒に告ぐ

濡らしてゆく濡らしてゆく
穏やかに
さらわれゆく連れられゆく
砂粒のように

同じところにわたしは立ち尽くしているはずなのに
少し少し削られゆく感覚
嘗て、そして今も
大地を浸食していったように

なのになのに足元の砂は却って積もってゆくの

岸辺に打ち寄す細波が
感覚に刻む不思議な錯覚

削られているのはどっち?
あの場所へ連れていかれるのは

この身体を置いて
太陽が沈むその先へゆけてしまいそ

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法則の最果て

世界を拒んだ

もう何も聴きたくなくて聞きたくなくて

取り巻く声覆いくる音すべて
軀を心を魂を蝕む蝸牛ように悪辣

融かされゆくタマシイを守るには
拒むしか知らない
幼さゆえに

躱すこともできぬ不器用は
涙すら流せぬ かなしみを紡ぐ

そして
気が付けば
片方だけ
届かない声
響かない音

それは
絶望的なアンバランス
歩くこともままならぬ幼子よりもままならぬフィールドワーク

こころが願った

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あなたとわたしの時間が
ほんの少しすれ違う
瞬間がたまらなく嬉しい

あなたとわたし
同じ時を生きている
そんな奇跡に触れられて
どうしようもなく微笑みが溢れてくるよ

あなたをもっと感じていたい
感じてるだけじゃ物足りない!
だから歩くよ今日だって
あなたの心に触れてみたくて

アイタイ

逢えなくても逢えなくても
あなたのことを想ってる

雨がふたりを隔てても
想いは確かにカササギより
あなたへ向かって羽ばたくわ

ああ口ずさむには足りなくて
零れ落ちずにいられない

喉の奥 吐息に迷う
想いの丈が溶けきれない

やっとやっとやっと言えたの
あなたをあなたに

アイタイ、と。

逢えないのに逢えないのに
あなたのことを想ってる

煙く揺らぐ天幕は雨
硝子の窓を濡らしてくのは
雨か涙

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wine mine

体の奥体の奥
少しずつ溜めてゆく

ひとしずくの滴りが石を象ってゆくように

体の奥心の奥
記憶の深層へと沈めてゆく

きっと出逢いが訪れて
わたしの中から溢れさせるために
眠らせておく

今は、まだ

思い出せないくらいに沁みついたら
わたしに醸造され
味も香りも燻らせる
美味しい言葉になるでしょう

だから今は
見てゆくの
聴いてゆくの
いろんなものを

©2015  緋月 燈

彷徨いの雨

灰色の舗装が阻んでる
大地へ還れぬ落し子たち
流れ流れる涙の果ては
海か
大河か
ヒトの棲家か

どこへ行けばとさまよう子等の
木霊が君には聴こえないか

行く宛てもなく流離う雫
還る場所を どうか教えて

傷つけ傷つく渦巻く濁流
仲間がいてもひとりぼっち

誰が止めよう嵐の連鎖
ツギハギだらけの堤は虚しい

どうか気づいて
全ては巡る
巡り巡って
還ってくると

©2015  緋月 燈

委ねる

言葉は委ねて
想いを尽くす
連ねるだけが全てでない
紡いでゆく
そっと そっと

委ねていいよ あなたに
もう尽くさなくていい

そっと手を取って
世界へお連れする

どう楽しんでもらうかは
膨らませてゆくのかは
あなたに委ねます

あなたのために詠うけど
こーんな風に響いたらいいな、とは願うけど
どんな風に受け止めてくれるのかは
あなたに決めてほしい
あなたが決めてほしい

あなたのうたにもなる

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