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唐突に聞いてみる

 「見えないものと見えるもの」で、おめでとう!をいただきました。
 いつも、お読みいただきありがとうございます!

 人に会って話すと、見える表情とは別に、見えないからこそ引き出したいものを思いつくことがある。
 そして、敢えて唐突に聞いてみることがある。

 「もう、いやになっちゃうのよ。うちの夫。」
なんて言う友人には、しばらくの間、
 「ふんふん。それで?」
と聞いておいてから、

 「で、好きなの?」

 と聞いてみる。
 これは、いたずらっぽくではなく、一瞬真顔で。
 手短に。
 内心、笑いが込み上げて、吹き出しそうだ。

「え!」

というのが、大抵の人の反応である。
 唐突に聞かれると答えに窮するけれど、どうやら刺さるらしい。
「そうだなあ・・・。」
と考える顔を見るのが楽しい。
まんざらでもないらしい友人もいれば、本当にいやっ!という場合もある。

「どんなとこが好き?」

 と高校生みたいな質問を重ねてすると、もっと窮地に追い込まれて、もはや、先程までの『大人の女』が消えていく。
 これは、私の遊びである。
 いや、人助け?

 そして、どちらかというと男の人の方が機転のきいた受け答えで私を唸らせる。
 これが一番!というのは、まだないかな・・・。
 素直に、
 「かみさんには感謝だな。」
 なんていうのも、その人のキャラクターにもよるけれど、意表をついていて素敵だったりする。
 彼女、うちの奥さん、かみさん、女房、嫁さん、嫁はん・・・。
 パートナーをどう呼ぶのかも、楽しい。

 昔、会社員をしていた若い頃に、イケおじ系を目指していた管理職の方が、
 「家庭の話をするなんて、愚の骨頂だ。」
って言っていたな、と思い出した。
 でも、そんなこと言って、きっと休みの日は三人の子どもを連れてショッピングカートを押してるんだろうね、と仲良しの同僚と話した。
 今の時代、そんなことを言う人はいないんだろう。

 パートナーが今、いない方と話すのも楽しい。
 どこに旅行に行きたいか。
 南の島?それとも、北欧?
 船なのか飛行機なのか。
 将来の仕事の夢の話。

 大人になってから描く先の人生は、落ち着いたウィスキーの色味がかっている。
 または、大粒の琥珀のネックレスの色かしら。

 年齢を重ねてからの友達は楽しい。
 昔から可愛がってくださっている知り合いも。
 特別な車種の車が好きだと聞けば、なぜ?なぜ?その車?と興味が湧いて、質問してしまう。
 それで、ご馳走してくださったお礼に、その車種のミニカーを探してプレゼントしたことがある。
 ヴィンテージカーだから、ぴったりのはなかったけれど、ことの他喜んでくださった。
 また、フリーダ・カーロの絵の話を長くした後、ディエゴとフリーダが表裏になったお札を手に入れて、どちらも見えるように額装して差し上げたことがある。
 箱を開けて驚いた!とメッセージをいただいた。
 こういうサプライズを考えるのが大好きだ。
 
 とにかく言えることは、『裏も表もなく自然体』というのはカッコいい。
 気取らずに本心を語れる人は信頼できるから、いつまでも話していたくなる。
 
 唐突な質問の答えはYESかNOか、どちらでもいい。
 なぜなのかが、知りたいだけ。
 新しいその人の一部を、見つけたいだけ。
 
 
 
 yukitaka_sawamaさんのお写真をお借りしました。





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