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銀の魚

内田洋子さんの「イタリア暮らし」の中の『魚』。

銀の魚・・・本に付く染みのことを、イタリアではこう呼ぶのだ、と。

 本と魚の繋がりがわからず、ヴェネツィアの国立図書館の館長に手が意味を書いてみた著者。
 数十万冊に及ぶ中世以前からの写本の蔵書で知られる国立図書館の古書の専門家に、本の染みを「銀の魚」と呼ぶ理由がわかるのではないか、と。

 「ウチダさん、それは本を綴じる糊が好物な虫が、魚とそっくりだからでしょう」との返信が来たという。 
 そして、その虫の線画が添付されていた、と。

 銀色の魚がページの間をくぐり抜け、行間を泳ぐ様子を想像してみる。
 そういえば、日本では本の染みのことを「紙魚」と書く。魚たちは言葉の波間を自在に泳いで、ページを越えていく。遠く離れた日本とイタリアが、本の中の魚で繋がっている。

イタリア暮らし 内田洋子

 銀色の魚。
 行間を泳ぐ。

 こういう文章に逢うと、素敵だな!と思う。

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