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「トリコロールのレストラン」-詩―

母さんの お気に入りは
トリコロール(三色旗)の
旗が 風に揺れる 
シックな佇まいの
イタリアン レストラン
 
トリコロールの 意味を
大きな画用紙に
赤・白・緑のクレヨン使って
やさしく 教えてくれたっけ

このレストランに 行く時は
家族の誕生日などの 特別な日だけ
母さんは数日前から
宝塚の歌を ハミングしたりして
森の 白雪姫みたいに 楽しそう

その日の 母さんは
美人さんに 生まれ変わる 
水色のワンピースは
空が 地上に降ってきたよう
ファンデーションの
白い頬が ピッピと光る

ボクも 窮屈な 
お出かけ服を 着せられる

パラソルさして
店の前に 立つ母さんは 
外国の絵の中から こそっと
抜け出て来たみたい

そんな日の 母さんは
ボクの 自慢だった

レストランで
注文するのは 単品料理だけ
チーズクリームの匂いが立ち香る
カルボナーラスパゲッテイか
トマトソースの酸味とチーズの味が競い合う
マルゲリータピザに 決まってた

ボクが デザート食べたいと
駄々をこねると 口を尖らし
顔を横に数度 振り
「そんなこと言うと
もう 連れて来ないから!
贅沢なわがままは 駄目」

いま イタリア料理店に 入ると
母さんの コスモスのような
喜び顔が 写し絵のように 
浮かび上がってくる

母さんの 地味な贅沢の 時間も
パラソルの お出かけ姿も
あの雲の中に ツーーンと隠れてしまった
徒然に 三色旗の絵を 書くと
さみしさで 絵がにじむ

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