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多様性と、LGBT当事者不存在の議論

LGBT当事者として、ネットで炎上しがちな多様性の問題について、今回は書いてみる。
正直、これらの話題にはうんざりしているところもあるし、ネガティブな話題になりがちなので、今後は書くことはないかなぁ、、と思う。

ネットで話題の事例

アメリカでの出来事の事例。
女子トイレや女子風呂(公衆浴場)に、明らかに男性が利用している。それに気づいた女性は管理者に申出をしたが、その男性はトランスジェンダーで心は女性なのだという(見た目は男性のまま)。よって問題ないとされ、逆にその女性が咎められてしまったという。

ネットでは以下の声が溢れた。

•LGBTを優先するのはおかしい
•トランスジェンダーのフリをした男性だったらどうするのか
•犯罪に巻き込まれる
•心はどうであれ、男性の裸体を見させられるのは精神的に苦痛
•生物的な性別で分けるべき

これらの声に僕はほぼ同意するところだ。
LGBT側としても、ストレート(大多数)の方々が嫌がることをしたいわけではないし、ましてやそれを無視して自分たちだけ優先してほしいなんて思っていないのだ。

この事例でいえば、公衆浴場などは身体的な(生物的な)性別で分けるべきだし、トランスジェンダーの方があえて精神的な性別のほうを利用したいなら、医療手術などで見た目を変え、周りに配慮する必要がある(はるな愛さんの見た目を想像すればいい)。
例えば、公衆浴場では刺青、タトゥー入りの方は利用できず、配慮しなければならないことと、構図は同じだ。

•トランスジェンダーも辛い、配慮してあげるべき
•第三の利用エリア(トランスジェンダー用)を作ればいい

これらの意見はまったくもってズレている。
まず、公共トイレや公衆浴場を利用できないだけで、トランスジェンダーと主語を大きくして、なぜ辛いと決めつけられるのだろう?
辛いかどうかは、明らかに個人の感じ方の問題

LGBTの数は8%。そのうちのトランスジェンダー(この事例では見た目は男性のまま)かつ、公衆浴場を利用しようとする人、これだけで超少数だと想像すればわかるだろう。
超少数のために、大多数を不快な思いをさせる結果になると明らかなのに、配慮する必要性があるはずがない。
また、トランスジェンダー用のエリアなんて、事業者側がほぼ利用されることのないものにコストをかけられるわけがない。

このようなLGBT当事者が思ってもいない、置いてけぼりの議論が溢れているのが、現状なのだ。
LGBTを擁護しようとする人や、利用しようとするひと(?)等もいて、ネット上はカオスである。

その結果、以下のようなコメントが寄せられてしまう。

•多様性を認めると、ろくなことがない
•LGBTに権利を与えると、ろくなことがない
•マイノリティは静かにしてろ

こういう短絡的で、ただ貶めるようなことを言われてしまう状態になるのが、LGBT当事者としては本当に残念でならない。ネット上の話題はそんなものといえば、そうかもしれないが。

個別的な事例で、さらにLGBT当事者置いてけぼりの議論により、多様性やLGBTの印象が下がっていくのは、どうしたものかと思う。


多様性を認められた良い事例


多様性が認められ、マイノリティに寛容な世界になることは、本来、素晴らしいことなはずだ。

例えば、映画のアカデミー賞を決める、アカデミー協会は、9割が白人だった。当然、主演助演の賞、作品賞に選ばれるのは決まって、白人作品だったわけだ。
これが見直され、有色人種の割合が増えてきたのは、ごく最近のことだという。これにより、有色人種の俳優や監督の作品も、平等に評価されるテーブルに上がったわけだ。

これは多様性を認めることで、世界が良い方に改善された事例だ。

多様性を認める判断基準

トランスジェンダー公衆浴場問題と、アカデミー協会の人種問題、これらの違いはなんだろうか?

一言でいえば、そこに調和があるか否かだと僕は思う。

両方ともマイノリティーを平等に扱おうとしている話題としては同じ。しかし、公衆浴場問題は、ストレートの利用者を嫌悪させ、蔑ろにしているため、トランスジェンダーの独りよがりに見える。そこに調和はない

他方、アカデミー協会の人種問題は、映画界が前進したよい事例だ。当然、アカデミー協会内でも方針転換について、反対意見はあっただろう。しかし、白人を蔑ろにしているわけではないし、むしろあらゆる人種の調和がとれている状態に前進したといえる。

個人的には、このような多様性を認めることで調和が保たれた事柄が増えていけばいいと思う。

今後も多様性の話題は尽きないと思うが、無用な軋轢を生んだり、LGBTがいわれなき悪印象がつくことがないことを祈るばかりだ。

関連して,以下のコラムも書きましたので、是非ご興味があれば、ご覧ください。

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