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#鬼
創作昔話 善鬼坊(2)
さて その夜 村からいくらか離れた山の洞穴に
鬼がいた 体は青く 非常に大柄であった
鬼は捕まえた旅人の亡骸を食いつくしたのか
と寝息をたてていた 寝出したころ 東の空から
紫の雲が鬼の住む洞窟に向かってきたのである
その中からあの修験者が祈祷していた不動尊が現れ 右手に持つ羂索を眠る鬼へ投げつけるや否や 意思を持ったかのように するりと身体に巻き付いた 鬼は何事かと目を覚まし 紐をほ
さて その夜 村からいくらか離れた山の洞穴に
鬼がいた 体は青く 非常に大柄であった
鬼は捕まえた旅人の亡骸を食いつくしたのか
と寝息をたてていた 寝出したころ 東の空から
紫の雲が鬼の住む洞窟に向かってきたのである
その中からあの修験者が祈祷していた不動尊が現れ 右手に持つ羂索を眠る鬼へ投げつけるや否や 意思を持ったかのように するりと身体に巻き付いた 鬼は何事かと目を覚まし 紐をほ