創作昔話 善鬼坊(8)終

善鬼の法要は村だけではなく近在の村などからも

参列者が出て 盛大に執り行われた 戒名は

良善鬼大和尚と書かれた 話しはそれだけでは

終わらず 


村の名主の夢枕に立ち 「これから村に疫病などが流行り出すが わしを祀り わしの絵札を張れば 疫病神は恐れおののき立ち去るであろう」


と言い 名主が祭主となり善鬼坊神社が建立され 善鬼の顔つきを模した絵札が刷られ 村の柱や壁に張られた それから幾年もしないうちに 熱病が流行ったがこの絵札を張った村は誰一人として 病にかかることはなかったという  またこの村の近在では善鬼坊講という講が立てられ 善鬼坊の絵が描かれた掛け軸を拝礼し 静かに過ごす日があった 祭礼と

講は現在も続いているという 絵札は没したのが五月の二十日だった為に その日は命日祭として

法要が行われた後 絵札が刷られ 配られるということだ

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