創作昔話 善鬼坊(4)

鬼は善鬼という名前を与えられ 得度し小僧としての

僧の道を歩むこととなった 最初は什器を誤って壊したり 床を踏み抜いたり 失敗ばかりであったが 善峰は辛抱強く指導し続けた 年数が

経つにつれ 鬼は穏やかな心を得たのか言葉も

穏和に 読経も板に付いてきた すると善峰は

あの村に帰りに無住の寺に行け と言った

鬼は人々の命を奪った過去を悔やみ 贖罪の為ならと心に決め旅支度を整え村に向かった


村についた鬼は無住の寺に向かい 掃除をし

不動尊への供養を始めた 村人は普段無住の寺から朗々と読経の声が聞こえたので 幾人か寺を

覗いた すると法衣を着用し 数珠をすり合わせながら読経する青い肌の大男がいたのだ

それには村人は非常に驚いたが とても深みのある読経の声だったので 特段騒ぐことなく

落ち着きを取り戻し 聴いていたのだ

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