創作昔話 善鬼坊(3)

「主の今の姿は家人を主に食われた衆生の姿だ このまま改心せぬ時はこの利剣が黙っておらぬ 衆生の為に尽くし 仏弟子と為るなれば 命を助けてやろう」


と語った 鬼は情けないやら命は惜しいやらで顔面はより青白く 涙ながらに誓いを立てたのだ

不動尊は 承知したと言うや否や 鬼を洞穴に戻し 羂索を鬼の身体から取ると ふっ と消えてしまったのだ 鬼は一瞬の出来事に困惑を

隠しきれなかったが 誓いを立てた以上仏道に

精進しなければと思い 旅人の遺骨に手を合わせた後 土に穴を掘り 遺骨を埋葬した


そして鬼は角のない頭をさすりながら 山を

降りた 街道の入り口迄で行くと 不動尊に祈祷した 善峰が立っており 夢枕にて 不動尊より

調伏した鬼を仏道へ招け とのお沙汰があった

ゆえに 主を我が弟子とせん と語り 鬼は

涙ながらにひれ伏し善峰の後を付いていった

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