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【映画】私の気になるワンシーン②『しあわせのかおり』

『しあわせのかおり』(2008年)
 三原光尋監督

中谷美紀さん演じるシングルマザーの貴子と、
藤竜也さん演じる町の中華料理店
『小上海飯店』の店主
王(ワン)さんの物語です。

映画の最初の方に、
貴子が毎日お店に通うシーンがあります。

一番初めは、カニ焼売と海定食。
「山定食下さい。」
「海定食お願いします。」

毎日、海と山を日替わりで注文する貴子。
カニ焼売、魚の蒸し物、肉団子、スープ、
エビチリ、ラーメン、あれやこれや。

そんな料理を美味しそうに食べる貴子。
熱々のカニ焼売を食べる表情が
なんとも言えません。
カニ焼売の熱々感と美味しさと、
幸せ感まで伝わって来ます。

そして、藤竜也さんのかたことの日本語と、
調理する姿は、もう王さんにしか見えません。
お二人のお芝居がとても好きです。

私の祖父は、中華の料理人でした。
念願の自分のお店を開いてから、
一年後に亡くなりました。

母親が20歳の時。
私の産まれるずっと前です。
たったの一年間でしたが、
母親は、お店を手伝っていたそうです。

映画の中で、『貴子』が『王さん』に、
かつて料理人だった、亡き父親の姿を重ねた様に、
私も『王さん』と『貴子』に、
祖父と若かりし頃の母親の姿を
重ねてしまいました。

お酒好きで、酔っぱらってクラブの
ジョッキを持って帰ったり、
ボーナスを一晩で使い果たしたり。
(母曰く、飲み屋さんのつけを払ったらしい。)
2枚の小皿を器用に操り
踊りを踊る陽気な祖父と、
マッシュルームカットでミニスカートの、
屈託のない笑顔の19、20歳の母。

ちなみに、お気に入りのまかないは、
『ダールー麺』だったそうです。
(母曰く、ちゃんぽんみたいなのに、卵入りの餡がかかっているらしい。)

そう言えば、母の料理で好きな物を思い浮かべると、中華料理が多いです。
からあげ(中華風)、餃子、チンジャオロースー、エビチリなど。

祖父の思いは、祖父から母へ、母から私達の
胃袋へ…しっかり届いています。

『しあわせのかおり』
もう何度も見ましたが、
時々また見たくなります。

そして、見終わると必ず、
トマトと卵の炒め物を作りたくなります。
映画を見たら修業をした気になって、
そしてなんだか、やれそうな気になります。
でも、なんかぼやけた味になります。

『小上海飯店』の、
トマトと卵の炒め物…
食べたいなぁ。

味も見た目も微妙な仕上がり。なんか恥ずかしい。

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