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【ショートショート】終わらない観覧車の誘惑

この作品はフィクションです。
実際の団体や人物は関係ありません。

サイトウは退屈な日々にうんざりしていた。

ある日、古びた遊園地で「人生にもっと毒を」と書かれた観覧車を見つけ、興味本位で乗り込む。

すると、未来の自分と出会った。


成功しているが、どこか虚ろな表情。

「未来は過去の選択の積み重ねだ」と告げられ、サイトウは戸惑う。

再び観覧車に乗ると、今度は過去の自分と出会う。


「大人になったら何してるの?」と無邪気に聞かれ、胸が痛む。

観覧車を降りると、周りの乗客たちが不安げに観覧車を見上げている。

サイトウは観覧車に乗った彼らの姿が急速に変化し、時には成功し、時には絶望する姿を目の当たりにする。


彼らは観覧車の魔力に魅了され、何度も乗りたがっていた。

「これが本当に幸せをもたらすのか?」

観覧車に乗ることで、彼らの人生が選択を狂わされ、狂乱に導かれていることに気づく。


観覧車はまるで人生そのものを操作し、絶えず新たな刺激と変化を提供していた。

その魅力に誰もが抗えず、乗るたびに新たな未来が見える誘惑に引き込まれていた。

サイトウは観覧車を壊そうと決意する。


しかしその瞬間、観覧車が突然動き出し、彼は再びその中に閉じ込められる。

観覧車の中で、サイトウは冷笑しながら呟いた。

「結局、俺もこの毒に抗えなかったか。でもまあ、退屈だけはしないな」


観覧車は終わりのない輪廻のように、ゆっくりと回り続けた。


最後まで読んで頂きありがとうございました。

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