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#小説
【小説】おとぎ話の世界で君ともう一度#1
第一幕 開かれた扉1:かすかな記憶
??:ね。璃羽。ちょっと手出して。
ガサゴソ。
??:はい………。これ、あげる。
璃羽:???。これ?なあに?
??:これは、第二ボタンって言うんだ。
そしてこれはね、僕のここ(心)にある大切な気持ち。
璃羽:???大切な…気持ち?
私は、その意味がなんだか分からなかったけれど、とても心がくすぐったくなって、嬉しくなったような気がする。
?
【小説】おとぎ話世界で君ともう一度#2
第一幕 開かれた扉2:憂鬱
私は篠宮(しのみや)璃羽(りう)。
都内の大学に進学している大学生だ。
そう。私は何の変哲もない、ありきたりの平凡な大学生。
昔から言われている「大学生は、人生のバカンス」という言葉は、私にとって、まるでユートピアか何かと勘違いをしている大人のたわごとでしかないと思っている。そして、今の私は、色鮮やかなバカンスには程遠い。大学に行って、家に帰っての繰り返し。大学がない
【小説】おとぎ話の世界で君ともう一度#3
第一幕 開かれた扉3:一冊の本
外のセミが耳を貫くような音を奏で、ぎらぎらと照る太陽とは裏腹に、図書館に入ると、足音だけが音を立てるほど館内は静かで、ひんやりとした涼しい風に包み込まれた。私は足早に、学生証を窓口にあるセンサーにかざし、人の密集していない、まばらなところを目指す。そして、やっとお目当ての勉強机にたどり着く。ここまでの一連の流れに、緊張の糸がほどけると共に、ほっと一息ついた。
図
【小説】おとぎ話の世界で君ともう一度#4
第一幕 開かれた扉4:本とボタン
本を借りた日から数日。
私は大学の勉強とバイトに追われていた。本を読もうと思っても、家に帰ってもすぐに寝てしまい、まだあの本を読めていない。
今日も疲れた。
帰るとすぐに、ベットに自分の身を放り投げた。ベットに横になりながら、大学のことやバイトのことに思いを馳せた。そうしているうちに、だんだんと瞼が重くなっていくのを感じ、気がついた時には深い眠りについていた
【小説】おとぎ話の世界で君ともう一度#5
第二幕 靴を落とした少女1:透明人間
私は、恐る恐る言葉を発した。
「ここはどこ?」
…………………………………
すると、目の前で女の人が周りを見渡し、首を傾げた。
「???」
そのとき鳥がチュンチュンと鳴いた。
そして彼女はポツリと小さな小さな声で
「やっぱり、さっきのは鳥のさえずりね。」
そう呟いて、私に水をかけた。
私はその言動に身構え、驚愕した。
ど、ど、どういうことだ?!
【小説】おとぎ話の世界で君ともう一度#6
第二幕 靴を落とした少女2:灰かぶり姫
彼女の母親らしき人がこう叫んだ。
「シンデレラ!!!!」
シン……………………………デレ…………ラ??????????
………………………………………
私は、まさかと思い呆然と立ち尽くした。
待って。今の女性、シンデレラって言った??え?待って待って。頭の処理が追い付かない。あの彼女がシンデレラということは、ここは物語の中ってこと??
いやでも、あり
【小説】おとぎ話の世界で君ともう一度#7
第二幕 靴を落とした少女3:ボタンの秘密
結局私は、その一部始終を見守ることしかできなかった。。。
………………………………………
そのあと彼女を追って、私は今、ボロボロな屋根裏部屋にいる。
彼女は屋根裏部屋に連れていかれた後、「この部屋で寝なさい。」と継母にぴしゃりと言われ、扉をバタンと閉められてしまった。
彼女は、その場に座り込んだ後、そばにあるボロボロになったベットに頭を伏せてしくしく
【小説】おとぎ話の世界で君ともう一度#8
第二幕 靴を落とした少女4:光と影
これからの、彼女との道のりは長くなりそうだとそんな気がした。
……………………………………
「その服、目立つから、着替えた方がいい。」
消え入りそうな、
その言葉に私は、深くうなずいた。
「わかった。」
そういって、エラは悲しそうにうつむいた。
そして、
「私は、シンデレラだから、あまり近づかない方がいい。」
微かにでつぶやいた。
私は、なんだか
【小説】おとぎ話の世界で君ともう一度#9
第二幕 靴を落とした少女5:使用人
私は、その日、一睡もすることができなかった。
………………………………………
朝日が昇り、今日も1日が始まる。
清が清がしい朝とは反対に、私の心は沈んでいた。
エラは、私が、一睡もできなかったことは梅雨知らず、うーんと気持ちよさげに伸びをしていた。
私は、昨夜のエラに対しての恐怖がまだ少しばかり残っていた。
そして、見てはいけないものを見てしまったかの
【小説】おとぎ話の世界で君ともう一度#10
第二幕 靴を落とした少女6:エル
そういって、私は、このお屋敷の使用人になったのだった。
………………………………………
そして、私がこのお屋敷で働き始めた日から数日。
私は、毎日のように働いた。
このお屋敷で使用人として働くことが決まったとき、2人の娘はとてもいやそうな顔をして母親に懇願していた。
娘1「お母様!どうなさったのですか?!どこか体調がすぐれないのですか?!」
継母「いいえ
【小説】おとぎ話の世界で君ともう一度#11
第二幕 靴を落とした少女7:0時の鐘の呪い
「そうよ。私はエラの持つ2つ目の顔よ。そうね。。。。。何と言ったらいいかしら。あなたの世界で言うと2重人格っていうのかしらね。」
……………………………………
エルは、私の世界のことやこの世界のことをすべて知っているかのような口ぶりでそう言った。
今、なんて言った??今、あなたの世界って言った??
ど、どういうこと???私の元いた世界を知ってるっ
【小説】おとぎ話の世界で君ともう一度#12
第二幕 靴を落とした少女
8:ボタンの少年
「それにね、私が存在できる理由が0時の鐘なんて。。。。。
まるで、0時の鐘の呪いね。
この呪いが解けるときはいつになるのかしらね。」
そういって、エルは孤独を隠すように屋根裏部屋にある小さな窓を見つめた。
そのとき彼女は、泣き出しそうに、この世をすべてを嫌っているようなそんな顔をした。
「少し感情的になりすぎたわ。ここまでの話で何か質問はあるかし
【小説】おとぎ話の世界で君ともう一度#13
第二幕 靴を落とした少女
9:白い鳥
そう、エルが言ったとき、私は、なんて残酷な運命なんだろうと悲しさであふれ、あのボタンをくれた少年レイがこの物語の中にいたことを知って、私はどうしようもなく泣きたくなった。
「まぁ。そんな感じね。途中で感情的になってしまったところもあったわね。
そうね。りう。最後に質問はあるかしら??」
「ううん。ないよ。」
「じゃあ。もうそろそろ2時になるわね。エラ
【小説】おとぎ話の世界で君ともう一度#15
第二幕 靴を落とした少女11:エルとの交渉
私とエルはヒソヒソと話しながら、屋根裏部屋に戻ったのだった。
屋根裏部屋についたころ、私は、少し疑問に思っていたことを話した。
「エル。あのさ、エルとその、、会った青年レイのことだけどさ、レイはせっかく4度目のこの物語に来たのに、なんで毎日0時に来なくなってしまったの??私が来てからもう3週間くらい経っているけれど、1度もレイが0時になって、姿を現