元に戻れなくても前へ進めると大人が子供に伝える意味
朝と昼、2回観て2回とも泣きました。新次さーん!
浅野忠信さんがただただ素晴らしい。そのことについては後ほど書くとして、今週のタイトル「大人たちの決着」の落としどころが素晴らしかった。りょーちん=息子=未来を創っていく若者、子供たちに、こんな人生の歩き方もあるよと伝えることの意味について、ドラマを観ながら頭に浮かんだことをつらつらと綴ってみます。
※10/20放映(第113回)
止まっていたのはりょーちんの心
おやじを元に戻すことがオレの生きてきた目的だよ
自分は辛くても前を向いて踏ん張ってる。船に乗って漁師やって仕事して生きている。みんな辛い。なのにオヤジは船に乗れない。乗ろうとしない。少し立ち直ったと思っても、お酒を飲んで荒れたり、行ったり来たり全然進んでない。止まってる。
そんな父を「船に戻す」「漁師として生き返らせる」ことが、新次さんを立ち直らせること、前に進むことだと信じてきたような息子、りょーちん。どうしたらいいんだ、ってずっと苦しんできたんですよね。
実は前に進んでいた新次さん
もとに戻ることだけがいいことだとは思えねえんだよ
戻ろうとすると壊れてしまうんだ。
新次さんは、船に戻れないんじゃなくて、戻らないって決めたんだ。行ったり来たり、もがきながら新次さんなりに歩き出していた。船に戻ろうとすると自分が崩れてしまう。そこにたまたま出会ったイチゴを育てる仕事。手を動かすことで生きている実感も感じられただろうし、自分で育てた作物=イチゴがいいなあカワイイなあって思う喜びも感じられた。止まってたんじゃなくて、進んでたんですよ。
嵐の日に美波さんに祈ったことで彼女はいないんだと腑に落ちていた。自分でも気が付かないうちに腑に落ちていた。ショックだったかもしれないけど、これで区切りつけようって思えたのかもしれない。
戻らなくても進むことはできる
戻らなくたって前に進むことはできる。
違う道に進んだっていい。
そんな生き方もできる,って
止まったってやり直したって
ゼロから始めたっていいんだって
先を行く大人が見せてあげることは、若い人がこの先、止まってしまったときの選択肢を増やしてあげることになると思うんです。りょーちんだってまた漁師をやめたくなることもあるかもしれない。辞めてもいいし止まって戻ってもいいし違う道を行ってもいい。でも今は自分がやりたいからやる。そんな風にりょーちんがシンプルに生きられたらいいなと思う。
お前は自分の船でやりたいようにやれ
お前は俺とは違う、俺のことは気にせず自分のやりたいように
りょーちんも親父を船に戻すことが生きがい、じゃなくて、自分が船に乗りたいから乗る、ってこれで思えたらいい。オヤジが船に乗る乗らないは関係なく。もしかしたら何年かして乗りたくなるかもよ新次さん。そんな素敵なサプライズがあるかもよ、なんて。
かもめはかもめの歌詞が泣ける
震災で突然いなくなってしまった美波さんの十八番である昭和の名曲「かもめはかもめ」。1978年にリリースされた研ナオコさんの大ヒット曲で、作詞作曲は中島みゆきさん。セルフカバーアルバム「御色直し」にも収録されています。
話はそれますが私は中学時代中島みゆきさんにどっぷりハマっていて、「かもめはかもめ」もよく聴いていたので、たぶん同世代の美波さんにめちゃ親近感を抱いていました。
話をドラマに戻します。
かつて息子りょーちんが叩きつけるように新次さんに歌った、母の十八番「かもめはかもめ」。歌なんかじゃ誤魔化されねえよ!オレは絶対に立ち直らねえ!と叫んだ新次さんが絞り出すように歌いながら判を押すシーンは涙涙。新次さんが握る印鑑と薬指の結婚指輪が一緒に映るショットだけでも泣けるのに、そこで終わりかと思ったら!新次さんに「かもめはかもめ」を歌わせるなんてズルい(笑 ほめてます) ううう泣かせるじゃないかーーー!
あきらめました あなたのことは
もう電話もかけない
青空を渡るよりも
見たい夢はあるけれど
かもめはかもめ
ひとりで空を行くのがお似合い
この歌詞を負いながらドラマを見るとさらに泣ける…これからは港でかもめを父子で見ながら、美波さんを思い出すこともあるのかな。
新たに次の道を見つけていく人
「新次」さんは、新しく次の道を見つけて歩いていく人、なんですね。そんな意味も名前に込められているのなら、ほんとにこのドラマの細やかな設定に驚かされる。美しい波のような「美波」さん、りょーちんは漁の「亮」なんだろうか。
りょーちんが気持ちよく大漁旗を掲げられますように。
自分のために出す自分の船で。
登米編ラストでサヤカさんがモネに祈った言葉をりょーちんにも贈りたい。
どうか、あの子に良い未来を!
浅野忠信さんの存在感
浅野忠信さんのたたずまいが本当に素晴らしい。画面に出るたびに圧倒されているのだけど、浅野さんは長らく「映画の人」というイメージだったので、こんな風に朝ドラ、地上波の連続ドラマにがっつり出演してくれるだけでなんだか嬉しい。
決して登場回数は多くないのだけど、浅野さんが現れると画面が引き締まるというか、グッと重厚感や深みが増すんですよね。立ち直らねえ!と叫んだシーンも、今回のりょーちんと対峙するシーンも、ただただその演技が圧巻。漁師として生きてきた人生が見える。
そういえばいろいろ調べていたら意外な事実を発見。
浅野さんの映画デビュー作はこちらなんですが。
Jテレ気象班の高村さん、高岡早紀さんと共演しています!
なんか繋がり発見したようで、ちょっと嬉しいです。
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