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東大卒男子が女医と結婚しやすい理由

 ここ最近連投している東大VS医学部記事はなかなか好評のようだ。東大卒の方からも、医学部卒の方からも、納得してもらえていることが多いようだ。

 ところで前回の記事の最後に東大卒のメリットとして女医を引っ掛けやすいことを挙げたが、フォロワーの方からこんな質問が来ている。

女医よりはるかに年収も社会的地位も低いんですが、なぜかそこには触れられず、東大卒というだけで一定程度魅了できてしまうのは不思議としか言いようがないです笑

ちなみにこれは慶応の外銀女子や就活勝ち組勢には通用しないんです。彼女たちから見たら、いくら東大でも稼いでいなければただのザコ。女医も外銀女子も同じなんですけどね。

もしかしたら女医は、就活をしていないので、東大で就活をミスることの事態の深刻さに気付いていないのかもしれません。

 今回は筆者の経験や考察をもとにこの理由について考えてみたいと思う。

1.女医は婚活難民

 女医という人種は以前から結婚できない女性の典型例として挙げられてきた。理由は男性が下方婚を、女性が上方婚を好む習性のためだ。女医の社会的なステータスや年収は非常に高く、これに釣り合う男性はほとんど見つけられないだろう。一説には女医のうちまともに結婚できるのは3割とも言われている。後は離婚するか売れ残るかである。

 女医の結婚相手として考えられるのは男性医師だ。実のところ、これしかほんとうの意味で釣り合う男性はいないのかもしれない。だが、一方の男性医師はよりどりみどりであり、わざわざ女医と結婚するメリットはあまりない。もちろん同じ業界でレベルも釣り合うとなれば女医と結婚したがる男性医師も多いだろうが、他にも選択肢が多いので、優先順位が下がるということである。

 女医の結婚の難しさは医学部の女性比率が年々高まっていることも影響している。ついに医学部の4割が女性になったらしい。こうなると、女医はますます男性医師と結婚するのが難しくなるだろう。こうなると、女医の多くは外部に結婚相手を求めざるを得なくなるだろう。

 一方の外銀女子はどうか。伝統的に女性が進出しやすかった医者に対し、外銀女子やその他の就活勝ち組女子はまだまだ男女比の偏った世界の住民であり、男女比に関してはまだ余裕があるだろう。また、これらのハイスペ女子も学歴的には医学部には劣ることが多く、その点でも女医ほど困っていないのではないか。

2.女医と外銀女子の選択バイアス

 女医と外銀女子には気質として大きな違いがあると思われる。母集団として決して無視できない違いだ。

 以前の記事で医学部は大学入試段階で選抜が行われる特殊な職業であると書いた。これは当事者の気質にも大きな影響をもたらしている。医学部に進学した人間は、本人の確固たる意志で医者を目指しているという人間も多いだろうが、一方で親の勧めや偏差値志向などの理由で「なんとなく」進学した人間も多いだろう。となると、彼女らの価値観は勉強ができるという一点を除けば実は様々である。外科医としてバリバリ働きたいという女医がいる一方、成績が良いという理由でなんとなく医学部に進学し、別にそこまでガツガツ働きたいとは思っていない女医も多いのである。

 一方外銀女子はどうか。彼女らが「なんとなく」で就職先を選んでいるケースは少ないだろう。大学進学より後の、ある程度解像度の高くなった段階で進路選択を行っているので、ビジネス志向や社会的達成志向の強い人間が就職している可能性が高い。就活勝ち組女子も準するだろう。マイペースな気質の人間は大学教務課など別の業界に就職しているのではないか。これが18歳段階と22歳段階での進路選択の違いである。

 また、女医の場合は学歴に対する志向が外銀女子よりも強いと思われる。医学部進学者は私立であっても幼少期からハードな受験勉強を強制される環境下にいた可能性が高く、良くも悪くも学歴主義的な価値観は強いだろう。医者の世界は妙に学歴主義が強く、ただの東大卒であってもそこそこリスペクトされていたりする。というより、彼らが医者以外の世界で確実にリスペクトしているのは東大くらいかもしれない。外銀女子も高学歴だろうが、価値観を置く項目がより分散しており、学歴だけで付き合える相手ではないのだろう。

3.女医は世間に疎い

 先述の学歴志向に近いものがあるが、女医という存在は世間に疎い。ここでいう世間とはエリサラのことである。日本社会では早慶MARCH卒のエリサラがメインストリームとなっているので、医者は世間に疎いとされている。

 医学部は大学入試段階で選抜が行われる特殊な業界なので、その他の業界の人間と接する機会が極端に少ない。普通の大学であれば同級生にコンサルとか官僚とかマスコミとか様々な進路の知り合いがいるはずだが、医学部は医者だけである。しかも医学部は僻地にあったり単科大学だったりする。これでは他の業界のエリートとの接点はほとんど持てない。

 東大卒にとってこれはチャンスである。東大卒の肩書は基本的に自分の所属するコミュニティから離れるほど有効だからだ(ただし日本国内に限る)。女医はエリサラの世界から離れているので、業界内の微妙な格付けや出世度に関しては良くわからない。仮に分かったとしても今ひとつ実感が湧かないし、相手が出世コースに乗ってなかったとしても、女医のコミュニティで恥をかくリスクは低いだろう。エリサラが医者の世界の微妙なヒエラルキーを理解できずに「医者」で終わってしまうように、女医からみた東大卒のコンサルやエンジニアは「なんか賢そうな人」で終わってしまうのだ。
 
 外銀女子にはこの手は通用しない。所属している職場の距離が近いため、学歴の他にも就職先のランクとか、具体的なスキルとか、仕事人としての有能さとか、色々なことが分かってしまうからだ。また、女性にとって交際相手や配偶者のステータスは同性コミュニティにおいて重要であるため、ステータスの低さが露見する相手と結婚するのは避けたいだろう。

 要するに、東大男子と女医はお互いがバンドマンのような存在なのだ。距離が離れているので職業的地位の比較が難しく、意外に学歴が重要になる。学歴は業界を問わず日本国内であれば共通規格として使える肩書だからだ。

4.収入格差はそこまで問題にならない

 さて、問題の上方婚問題だ。「三高」という言葉は高学歴・高収入・高身長の3つを意味している。ここで重要なのは学歴が収入のための手段ではなく、それ自体が目的であるということである。学歴は単独でも武器として使えるのである。

 大半の女医は学歴という観点で東大には負けるだろう。東大に匹敵する医学部は首都圏だと医科歯科・千葉・慶応くらいだ。日医大や群馬大といった一般的な医大に対しては東大は圧勝である。正直、東大理三と京大医学部を除いて東大卒の肩書を上回ることはないのではないか。

 社会的地位に関してもそこまで問題にはならないと思う。そもそも社会的地位という概念は曖昧模糊としている。何を持って日銀や三菱商事が医者の「格下」と言えるだろうか?首都圏の医学部志向の弱さを考えても、エリサラの社会的地位が医者を下回るとは考えにくいだろう。ここに東大卒という要素が加われば尚更である。

 収入面だが、東大卒エリサラと相手となる女医では、おそらく前者の方が収入が多い可能性が高い。というのも、エリサラを稼ぎで上回るほどのハイスペ志向の女医は、同じ男性医師と結婚するか、地方に住んでいるか、売れ残る可能性が高いからだ。となると、東大卒エリサラと結婚する女医はそこまでガツガツしてないタイプとなる。女性の社会進出が進んだ現在であっても、やはり家事育児は女性の方が得意だし、外で働くのは体力のある男性の方が有利だ。また、東大卒エリサラのほとんどが住んでいる東京は医者の給料がそれほど高くないことも大きな要因である。

 となると、東大卒エリサラが年収1200万に対し、女医は年収800万でゆる~く働くといった結果になるのではないか。ここで生きるのは医者の「働き方の自由度が高い」という点である。ホワイト志向の女医にとって、夜勤をしないでほどほどに働くというのは魅力的な選択肢である。メインを夫にしつつ、家庭に関しても気が回るからだ。子育てで離職しても復帰も容易だ。独身女医と違ってハードに働くメリットは少なく、デメリットは大きいのである。この点、外銀女子は「ゆるく働く」という選択肢は存在しないため、必ず凡庸な東大卒の収入を上回ることになる。こうなると、年収格差が発生し、うまく行かないだろう。

まとめ

 筆者の推測も多分に入っているが、東大卒男子が女医と結婚しやすい理由は、あらかたこの辺りではないかと思っている。女医は結婚しにくい職業であり、最近はますますその傾向が強まっている。外部の婚活市場に出たときは意外に学歴以外の物差しが無かったりする。収入に関しても首都圏の女医は東大卒エリサラほど稼いでいない可能性が高く、むしろ資格業の強みを活かせて良いとこ取りである。

 筆者の周囲でも東大卒コンサル等と女医が結婚する事例がしばしば見られており、この組み合わせは安定性が良いのかもしれない。男性側のコンプレックスで関係が破綻する例は沢山見てきたが、東大卒コンサルが女医にコンプレックスを抱く可能性は低く、この点でも良い。むしろお互いの事情が分かってしまう分、男性医師の方が危険性は高いかもしれない。

 いつか記事にまとめたいと思うが、人間の肩書や能力には「所属コミュニティの内部で評価されるもの」「所属する業界で評価されるもの」「日本国内で一般的に評価されるもの」があり、学歴は3つ目に当たる。会社での優秀さや業界での転職価値をアピールしても女医に通じないが、「東大卒」の肩書はダイレクトに通用する。実は東大卒の肩書は社内の出世よりも、婚活やタレント活動のように、世間から直接評価される場所の方が有効なのである。


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