喧嘩をするソウルのバスの運転手さんもいろいろ大変なのだろう

こうして文章を書くようになったおかげで、遠い昔に忘れたはずの出来事を思い出すようになりました。

当時はとても不思議で印象的だったのに、同じような経験を積み重ねたり、または、ただ単に時が経ったりすることで追いやられた記憶たち。

そんな中で、今日はソウルのバスの運転手さんについてお話したいと思います。

以前の喧嘩をしていたアジュンマ（＝おばちゃん）ほどではないにしても、運転手のアジョッシ（＝おじさん）も負けていません。

ソウルのバスの運転手さんはイライラしがち

最近は大分改善されましたが、韓国に来たばかりの頃のバスの運転はかなり激しかったです。

お客さんが乗車した瞬間に即発車。座るまで待ってはくれません。何を急いでいるのか、猛スピードで走り出します。

降りる時は、一つ前の停留所を出たらすぐに降車口まで移動する必要があります。バスが停車してから動こうなんて考えてはいけません。それでは降り遅れてしまいます。

運転手さんはいつもイライラしているようで、ぐちぐちと文句を言いながら運転している人も珍しくありませんでした。窓を開けて、相手の運転手に怒鳴り散らす人までいたほど。

一体全体、何がそんなに気に入らないのか。

学生の頃は、「外国人が嫌いな韓国人第１位が出入国管理事務所（出入国・外国人庁）の人。２位がバスの運転手」なんて冗談・・・いや、本気で言っていたほど、良いイメージはなかったです。

バスの運転手さんは喧嘩もするよ

そんな感じなので、運転手さん同士の喧嘩も何度か見たことがあります。

ソウル市内では、朝と夕方のラッシュ時には渋滞が発生します。

交通量の多い場所ではバス専用のレーンがあるのですが、ラッシュ時の渋滞から逃れるためには、いかに早くこのバスレーンに入るかが勝負です。すべての運命はそこで決まるとでも言わんばかりに、我先にとバスが押し寄せてきます。ほんの少しの車間距離でもがんがん入ってくるので、結局ぶつけて事故を起こしてしまったバスを２度ほど見たことがあります。

普段からイライラ気味の運転手さん。このような状態で、怒鳴り声が聞こえないはずがありません。そんなに怒っていると心臓発作を起こしちゃうよ、とこちらが心配になってしまうほどにキレまくってる運転手さん。

喧嘩を見たのもこの時でした。

いつものように渋滞になりそうな雰囲気しかない夕方のラッシュ時。運転手さんはイライラしていて、とにかく早くバスレーンに入ろうと必死です。
すると後方から、一台のバスが割り込んできました。いや、私たちの乗っていたバスが横から割り込もうとしていたのか？　危うくぶつかりそうになりました。

これに怒った運転手さん。わざわざバスを降りて行き、相手のバスのドアを力いっぱい叩きながら、大声で文句を言い始めます。

え、まじか。いくら怒ってても、この状態で出て行くかね！？

言われた方の運転手さんも、黙っちゃいません。ドアを開けて大声で応戦します。ちなみに、こちらの運転手さんは降りてきません。座ったままで対抗です。って、そりゃそうだ。

それからすぐに相手の運転手さんがドアを閉めたので、その場は何とか（？）収まりましたが・・・それでもよ。お互いのバスが動いていないとはいえ、道のど真ん中でバスから降りて喧嘩するとかアリかね？

いやいや、ナシでしょ。

観光バスの運転手さんも喧嘩をするよ

２年ほど前、久しぶりに南山タワーまで夜景を観に行った帰りのことです。バス乗り場で喧嘩をしている運転手さんを見ました。

観光地ということで、観光バスと循環バスが何台も行き来していました。「そろそろかな」なんて言いながらバスを待っていると、出入口付近でバスが数台立ち往生しています。どうやら入って来るバスと出て行くバスがうまく離合できなかったようです。

すると、バスの運転手さんがふたりが出てきて、喧嘩をし始めました。
お互いに、相手のバスが邪魔だと言い合っている模様。

場所が場所だけに、周りは観光客だらけです。みんなバスを待っていますが、こんな状態なので何もできません。

運転手さんたちはというと、引き続き、激しく言い合い中。

すると、隣にいた旦那がトコトコと運転手さんたちのもとへ歩き始めました。どうやら、怒っているふたりをなだめに行くようです。

戻って来た彼に、

「喧嘩してるところに入って怖くないの？」

と聞くと、

「ある程度言い合って、そろそろ誰か仲裁に入ってこ来ないかなって待っていたくらいの時だったから行ったんだよ。これ以上喧嘩したら、バスが出発できないでしょ？　ふたりともそれは分かっているけど、怒ってるから引くに引けなかったんだよ。ああいうときは、誰かが行ってあげないとね」

とのこと。

ほほ～、そうなのか。グッジョブ。さすが。

喧嘩を始めた当人たちも、喧嘩を終わらせるのは大変なのね。

◆◆◆

こんなこともありましたが、最近はバスに関する規制も厳しくなったので、さすがにバスを降りて道のど真ん中で喧嘩をする運転手さんはもういないと思います（そう願いたいよね）。

今は挨拶をして迎えてくれる運転手さんも多いですし、運転も以前ほどは荒くなく、前のように急いで降りる必要もなくなりました。

とは言いつつも、やはり心配なので、停留所に着く前には降り口付近に行きますけどね。

ではでは。