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韓国で登山#02.仁王山からの眺めは絶景~岩山は低くてもなめちゃいかん~

 鞍山アンサン(안산)を楽しんだ翌日、仁王山イヌァンサン(인왕산)を登ってきました。


仁王山(인왕산)

 仁王山は、ソウル市鍾路区ジョンノグ(종로구)と西大門区ソデムング(서대문구)にまたがる岩山です。

 標高は338mで、296mの鞍山よりも少し高い程度です。日本では1000mや2000m級、ときには3000m級の山々が連なるのを考えると、仁王山も鞍山のように散歩感覚で楽しめるゆるやかな山道だろうと想像していたのですが、岩山ということで意外にも本格的な登山となりました。


◆はじまりはアリの村(개미마을)


 仁王山へは弘済洞ホンジェドン(홍제동)にあるケミマウル(개미마을)からスタートしました。ケミマウルは、直訳すると「アリの村」になります。アリのように勤勉に、まめまめしく働きながら生活するという意味で名付けられたそうです。

ケミマウル

 登山口に繋がる急な斜面に、古めかしく低い屋根の家屋が建ち並びます。いかにも映画に出てきそうな1950~60年当時の姿がそのまま残るこの村は、現在ソウル市の未来遺産に指定されています。街のあちこちに可愛らしい絵が描かれた壁画があり、観光で訪れる人も多いです。

개미(ケミ):アリ
마을(マウㇽ):


◆まずは森林浴を楽しもう

仁王山の登山コースはいくつかあります。
なかでもケミマウルからの山頂へ続くこの道は、森林と岩山の両方を楽しめます。
この日は天気が大変良かったです。
日光を穏やかに遮る樹々に囲まれ、涼しく優しい風はアカシアの香りとともに爽やかな空気を演出ていました。「ピーピー」「ギーギー」鳥たちもにぎやかで、歩くだけでるんるん気分です。
さぁ、本格的に、レッツラゴー


◆岩山なんだなあ

進むにつれて、岩が増えていきました。
切り目のない岩・・・きっと、巨大な岩なのでしょう。
自然の岩を削って作った自然の階段です。
写真では分かりにくいですが急な場所が多々あり、思っていた以上に登るのが大変でした。特に、まっさらな岩の上に乾燥したさらさらな砂が積もっている場所は注意が必要です。ズルズルと滑り続け、力を入れても止まりません。意外にも身体全体を使って登る必要があり、この辺りから少しずつ気がついてくるのです。「うん、昨日の散歩とは違うね。これは確かに登山だ」
突然現れた異質な岩。
こういうのも面白いですね。


◆歴史ドラマで見るような景観

この辺りは岩と松が特徴的でした。
この風景は、歴史ドラマでよくある、悪者に追われた主人公がやって来て闘うシーンにでてきそうです。ドラマだと、大抵ここで切られて落ちちゃうんですよね。でも、下に川があって(注:ここにはありません)、おかげで命拾いして、近くのお寺の住職かなんかに助けられて、元気になってまた街に戻るんですよね~。
話は戻りーー、滑らかな岩と樹々の狭間から見えるのは、これから向かう山頂です。
登山というのは不思議なもので、「あんな遠くに行くの?」としか思えないのに、歩ていれば到着するものですね。
こうして辺り見渡すと、結構高いところまで来たんだなということが分かります。
そう、高い、高い・・・高い・・・すんげぇ高い・・・。
ここで、すっかり忘れていた大事なことを思い出します。私、高所恐怖症でした。



◆墜落注意の汽車岩(기차바위)

稜線に出ました。岩山だけあって、稜線も岩です。
ロープで柵が作られているこの場所は「汽車岩(기차바위)」と呼ばれています。
標識には「 墜落注意! Caution! 墜落の危険があるので、歩く際は注意しましょう」と書かれています。否が応でも怖さが増すこの標識・・・むしろ、見たくなかったよ。
それでも、見事な景観!
360度を豪快な景色が包みます。
景福宮や南山タワーなども見渡せて、見応えたっぷりです。
ソウルに来た際は是非訪れてほしい! と思うほどおすすめです。
しかし、そんな想いとは裏腹に、頭の中では稲川淳二が住み着いてるんじゃないかと思うほどに「怖いな~怖いな~」という声が繰り返し聞こえてきます。
ロープがあるとはいえ、やはり怖い・・・。どうしても怖い・・・。何をしても怖い・・・。怖くないと無理やり考えようとしても、足から力が抜けていく感覚はどうしようもありません。
ここまで来ると、ちょっと安心ーー。
怖いけど、やはり景色は最高です。
ーーでも、やっぱり怖い・・・。
ここでも自然の階段を発見です。


◆もう少しで頂上

ここから頂上へ向かいます。
この階段も写真で見るとそうでもないのですが、高所恐怖症の人間にとっては怖いったらありゃしない。壊れたらどうしようとか、意味のない考えが噴出して止まりません。
ただ、階段から見える景観はやはり最高です。
恐怖と感動が交互に訪れ、どうにかなっちゃいそう。
階段を登り切ると、頂上まではもう少しです。
最後は城郭に沿って稜線を歩きます。
こういうのも好き。
あそこが目指す頂上です。


◆仁王山の頂上到着

再び岩の階段を上ってーー
頂上に到着です。
沢山の人が順番にこの岩の上に登り、写真を撮っていました。
途中の景色も素晴らしかったですが、頂上から見える景色も素敵です。
この韓国独特の岩山の景色は、いつ見ても感嘆してしまいます。
中央左に見えるのは、南山タワー。
どの方面を見ても爽快だなあ・・・。
ここは西大門区と鐘路区の境界点だそうです。


◆下り道

帰りはコースを変えて、彰義門(창의문)に下りる道を歩きました。このコースは朝鮮時代の歴史遺産のソウル城郭に沿って続きます。写真にある城郭は新しく構築されたものですが、なかには昔のまま現存している城郭もあるため、歴史を感じたい方にはこちらのコースがおすすめです。ただし、階段だらけなので、登りに使うには正直かなりきついコースです。
途中で不思議な木に出逢いました。
「人工的に作ったんじゃないの?」と疑ってしまいそうなほどに不思議な姿をするこの樹々は、『ハニャン(漢陽)都城夫婦松の木』と名付けられています。
根が異なる2本の木ですがまるで1本のように繋がっていて、この現象を「連理枝(연리지)」というそうです。驚くのは、片方の木が弱ると、もう片方の木が栄養を与えて生き返らせようとするということ。異なる2つの体が1つになることから「夫婦の永遠の愛」とも比喩されています。
階段を降りると、彰義門(창의문)に出ました。


 歩いていたのは2時間半程度でしょうか。
 思った以上に上り下りが激しく、ふくらはぎがパンパンになりました。

 この後はお昼を食べに行きました。
 メニューは、ソウル3大フライドチキンと生ビール!

 その様子は次回にて・・・。

 ではでは。

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