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ソウルの中心部に広くて眺めのいい公園ができたんだなあ

 安国駅1番出口から徒歩5分。

 仁寺洞(인사동)の入り口にある五差路の向かい側に、昨年広大な公園がお目見えしました。


開かれた松峴緑地広場(열린 송현 녹지광장)

 松峴ソンヒョン(송현)と呼ばれるこの地域ですが、朝鮮王朝の太祖である李成桂(이성게)によって1395年に建てられた景福宮(경복궁)の東側に位置します。

 当時は松の生い茂る丘陵地で王宮を守る役割を果たしていましたが、14代王・宣祖(성조)と15代王・光海君(광해군)の時代になると駙馬(부마)と呼ばれる王女の夫や外戚の居住地となり、その後は高官らの住まいとして活用されました(Business Post『미술관 품는 경복궁 옆 '송현동 부지', 도심 문화공원으로 변신 중』より抜粋・翻訳)。

 その後、日本の統治時代には朝鮮殖産銀行(조선식산은행)の社宅が、1950年代~90年代には米軍と米大使館の宿舎が建設されました。それ以降はサムスン生命の買収により美術館やホテル建設などの話が持ち上がるも実現することはなく、長い間フェンスで覆われ立ち入り禁止となっていました。

 それが昨年の2022年10月に開かれた松峴緑地広場(열린 송현 녹지광장)として新たにオープンしました。

 つまり、この地がソウル市民に開放されたのは約110年振りであり、それ以前も王族の親戚やエリート層に限られた生活の場だったことを鑑みると、こうして一般の人々が自由に出入りできるようになったのは歴史的にも意味のある変化なのだと感じます。

 さて、37,117㎡に及ぶ広大な敷地には、都会の中心を鮮やかに彩る花々が植えられ、またアート・文化体験を楽しめる空間が多数用意されています。周辺には仁寺洞、光化門(강화문)、景福宮、北村韓屋村(복촌 한옥마을)などのソウルを代表する観光地があるため、観光の途中にちょっと寄るのもいいかもしれません。

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◆お花畑

 公園の広い範囲が、色鮮やかな花たちに覆われていました。

 写真をちゃんと撮っていなかったのが残念なところ。このエリアには、赤ちゃんや幼い子ども連れの家族が多く見られました。

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◆丘と水

 滑らかにうねる丘と、周りの風景を映し出す水の鏡。

 ここは一応、映えスポットらしいです。おすすめは水の前に立ってポーズを取り、下から水面を入れてカメラを向けることだとか。まあ、撮り方によっては映えそうな気もしますが、この日は天候がいまいちだったせいか、そこまで魅力的に見えませんでした。

 うーん、なんか微妙。期待してたほどじゃなかった。

 それよりも、個人的には丘の上で腰を下ろしてのんびりするのが理想的な過ごし方だと思いました。花畑エリアとは異なり、ここは友人同士で会話を楽しむ若い人たちが多く見受けられます。そんな穏やかな時間を過ごしている彼らを見て、私も癒されたわけです。

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◆期間限定の展望台(하늘소)

 5月から10月29日まで、ハヌルソ(하늘소)という名の展望台が設置されました。ハヌル(하늘)は「空」という意味で、ソ(소)は漢字で「所」と書きます。

 これが期間限定だなんてもったいない。

 展望台の高さは12m。第4回ソウル都市建築ビエンナーレで総監督を務めた建築家のチョ・ビョンス(조병수)氏による作品で「土地の都市、土地の建築:山道、水路、風の道、ソウルの100年後を描く」というテーマの下、大地から山、空に至るまで、多様な視点からソウルの街を望むことができました。

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◆展望台で待つのは韓国の土

 大地を経験することは、作品のテーマの一つ。

 頂上では、全国各地から集められた土が盛られていました。実際に触ったり、掘ったりできるようです。周りの木のスペースはベンチの役割を務めていて、なかなか面白い取り組み&体験スペースだなと思いました。

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 ソウルの中心部にこのようなアーティスティックな憩いの場があるのは、なかなか嬉しいものです。

 期間限定の展示や建物も多かったですが、その分、次は何が創られるのだろうという期待にも繋がっていいですね。飽きない工夫。でも、できることなら、同じような展望台を作ってほしいなあと思ったりもします。

 だって、この景色はここでしか観れないよ。

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