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#7 授業の話〜အာရုံစိုက်ပါ(集中して!!)〜

 မင်္ဂလာပါ။(ミンガラーバー)カウンゾーです。最近は急にまた寒くなって(と言っても最低でも15度くらいはありますが)、朝は霧が出たり夕方に雨が降ったり、という感じです。日中は天気が良ければ暑いですが、体が慣れてきたのか、それとも暑さ自体が弱まっているのか、非常に過ごしやすく感じています。この後訪れる灼熱の暑季が恐ろしいです、、
 前置きが長くなりましたが、今回は私の本業である移民学校での英語の授業について書きたいと思います。

「つまらない」と思われたら負け

 最近時間割が改正され、英語の授業は週4になりました。ボランティアを始めてすぐの時は、教科書に沿って授業を進め、なるべく生徒に読ませたり、前に出てホワイトボードに書かせたり、という工夫はしていたのですが、その程度では生徒の集中力が持たなくなってきました。
 集中力に限界が来ると、絵を書き始めたり、他のクラスの方を見たり、話を聞いてくれなくなったり、トイレに行ってなかなか帰ってこなかったり、、、教科書のことだけをやるのは、生徒にとってはつまらないのです。つまらない、と思われたら負けです。このままじゃまずい、なんとかしなければ。と思い、授業の組み立て方を考え直そうと決意しました。

ノートにマスを作って単語を埋める生徒。ビンゴは楽しんでやってくれています。
授業に飽きてどうしようもない時の救済措置にもなり、単語力も伸びるので効果◎

大事なのは話す・聞く

 教科書の中にも、もちろんリスニングやスピーキングを含むアクティビティがいくつかあります。しかし、どうしても問題文を読んだり短い文章を読んで答えを書き込んだりというのが主体になるので、生徒もすぐ飽きてしまうわけです。外大生失格と言われてしまうかもしれませんが、自分も英語の長文読解やエッセーのライティングは好きじゃないし、結構苦痛に感じてしまいます、、(笑)なので子どもたちの気持ちも少しは分かるのです。
 そこで、授業が始まったらいきなり教科書を開くのではなく、まずは「昨日何をしましたか」「好きな食べ物はなんですか」とか、簡単な質問を英語で行い、答えてもらうスピーキングレッスンを取り入れることにしました。
 また、Youtubeで上がっている中学1年レベルのリスニング動画を利用して、短い文章の聴解トレーニングも行うことにしました。読み・書きよりも話す・聞くの方がその場で考えなければいけないのでより集中力が必要なのかもしれません。いきなり教科書を開かせて授業を始めるよりも授業をしっかり進めるための効果はあります。
 後は、単語力を高めるために単語カード(表に英語、裏にビルマ語)も作成しました。さらに、ある程度マスターしたら単語をマスに埋めてビンゴを(くじも別途作成し、生徒に引かせる)やったり、、、自分が中学時代に英語の授業で「楽しいな」と感じた瞬間を思い出して、なるべく楽しい時間を授業内で作るように心がけています。

単語カードは表に英単語、裏にビルマ語。
ビンゴに使う小さい紙(写真右側)は、表に英単語、開くと中にビルマ語が書いてある。くじのように引いて開かずに意味が言えたらOK、言えなかったらやり直しというルール

楽しく学ぶなら歌しかない!!

 学校の子どもたちがみんな歌を好きなことは前から知っていたので、簡単な英語の歌を自分でチョイスして歌詞カードを作り、一緒に歌ったら楽しいかなと思いました。
 この案は、虹の学校を訪れた際に先生が英語の歌を使って授業をしているのを見させていただき、純粋に「あ、これめっちゃいいじゃん」と思ったので、勝手にパクらせていただきました(汗)そして最初のチョイスも映画「Greatest Showman」の劇中歌"A Millions Dream"、、、虹の学校の完全パクリです。。すみません、そしてありがとうございます、、

虹の学校の話はこちら↓

 完全に自分のアイデアではないのですが、やはり歌となると子どもたちの食いつきは違います。みんなが知らない曲だったけれど歌おうとしてくれているし、楽しんでくれています。
 なんでも楽しいと思ったら伸びるし吸収力も高まるし、つまらないと思ったら嫌いになるし上達もしません。だから正直、最初は歌詞の意味なんてしっかり理解していなくても良いのかなと思っています。英語を楽しいと思ってくれて、「これはどういう意味なんだろう」とか興味を持ってもらうだけでも嬉しいことだし、自分にとってモチベーションになります。
 今のところ、"A Millions Dream"のほか、ディズニー映画"Moana"の劇中歌"How far I'll Go"の2曲の歌詞カードを作成しました。ディズニーの曲はメッセージがはっきりしているからなのか割と英語がわかりやすく、難しい文法も含まれていないことが多いので英語学習にはぴったりです。なので、今後もディズニー中心に歌詞カードを作って、みんなで歌って楽しい授業にしていければと思います。あわよくば私がいなくなった後もぜひ続けて欲しいですね。

私も生徒の一人です

 これはおまけのトピックなのですが、私もビルマ語勉強していますよ、という話です。授業は午前中のみor午後のみなので、実は毎日午前か午後のどちらかは暇なのです。その暇な時間帯、一人の先生にビルマ語を教えてもらっています(誕生日に協力してくれた二人のうちの一人です)。教材は、誕生日プレゼントでもらったミャンマーの小説(誕生日に協力してくれたもう一人の方の先生がくれた本です)。


誕生日の話はこちら↓

 本を音読し、意味がわからない単語を教えてもらうというのをひたすら続けていくシンプルな読解練習です。と言っても、あまり普段使われない表現や言葉があったりしてほとんど全てわからないため、1時間かけて1ページ進むかどうかという感じです、、、先生にはかなり苦労をかけてしまっていますが、自分のビルマ語力アップのために尽力してくれています。
 ただ、実際本当に大事なのは本を読んで難しい単語を理解することよりも、「ビルマ語をビルマ語で理解する」ということです。もちろん、日本語がペラペラだったり、英語で補足してくれる人に教わった方が間違いなく効率は良いです。ただ、ひたすらビルマ語で説明を受け続けることで、毎回ビルマ語を他の言語に置き換えなくてもビルマ語として理解できるのです。
 自分が現時点で知っている単語は限られているし、どれもすごく簡単なものなので難しい単語は分かりません。しかしそれらを難しい日本語や聞き慣れない英語に置き換えるよりも、自分が持っているビルマ語の易しい語彙の中からその難しい単語と似たニュアンスのものを探し、理解していく方が定着しやすいのかなと思います。
 実際、ある単語をビルマ語で説明してもらってもその説明に使われた言葉もわからない、だからその単語をまず説明してもらって、、という調子で本当に大変です(私より先生が大変です)。ただ、ひたすら聴き続けると頻出単語はそのうち耳に残るようになり、結果的によく使う単語から習得していくのでは?と期待しています。まだそこまでの域に達していませんが、、、
 そんな感じで、カタツムリのスピードではありますが、私自身も生徒としてビルマ語を勉強中です!ちなみに、お礼と言ってはなんですが、毎週金曜日は先生のリクエストに答えて日本語を教えています(笑)この日本語レッスンも1週間のうちの楽しみの一つです。

 今回は英語の授業、集中してもらうためにはどうすればよいか?という話でした。色々試行錯誤しているものの、やはり集中が切れてしまう時は切れてしまい、အာရုံစိုက်ပါ(アーヨンサイパー=集中して!!)という時もよくあります。前途多難なボランティアはもうしばらく続きそうです。。。
それでは次回のメーソート滞在日記をお楽しみに!

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このブログについて

 このブログは、任意団体Listening to Communities(LtoC)の紹介を通じて、現地ボランティアの機会を得た日本人の学生が書いています。LtoCは、タイ国境で暮らすミャンマーの土地を追われた人々や、弱い立場にある移民の人々を支援する団体です。日本の学生と現地をつなぐ教育・交流活動も行なっています。団体の詳細についてはこちらをご覧ください。

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