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『エッセイのまち』の仲間で作る共同運営マガジン

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#毎日note

おまもりチーク

わたしがチークブラシを握ると、娘たちが寄ってくる。 朝、彼女たちが起きる前にお化粧を済ませておくようにはしているけれど、ときどき寝坊してしまう。とくに春休みになってからは。 去年の春、マスク着用が自由化されたことを受け、チーク(頬紅)を新調した。 シャネルの定番品「ジュ コントラスト」。発色がよく、ささっと撫でるだけでも頬が色づくので重宝している。手持ちのチークのなかでメインを張る存在だ。 大学生の頃、わたしなりに真剣に卒論を書いていた。提出間際になり、睡眠不足の体を

人力車、楽しい! /倉敷美観地区

観光地に行くと、人力車が走っている姿を見かけます。 乗ってみたいな〜と興味はあったものの、なかなか踏み切れないまま。 一緒に観光していた友人も同じことを言っていたので、2人で人力車デビューしてきました。 その日は地元(愛知)の友達が、岡山県の倉敷まで会いに来てくれました。 倉敷観光といえば美観地区。 しっかりとプランがあったわけではないので、その子と一緒にぐるぐると散策していました。 途中で何度か人力車を見かけ、「乗ってみたいよね〜」「ね〜!今日乗ってみちゃう?」「い

未来に本棚はあるんだろうか

こどものころ、どんな本棚が周りにありましたか。 小学校の図書室にならぶ本棚、一番下の段に絵本がぎっちりと詰まった三段ボックス… 図書館のようにきちんと分類されたものから、雑誌・レシピ・小説…と雑多に並ぶ本棚まで、イメージするものは人によって違うと思います。 私の場合、こどもの時の身近な本棚といえば、寝室にあった本棚が思いうかびます。 本棚といっても、実際は食器棚でした。 ガラスの引き戸の向こう側には「鋼の錬金術師」「NANA」が並び、本来ならスプーンやフォークが収ま

大丈夫な日に仕事を休んでもいい

今日、会社を休んだ。 熱が出たわけでも、用事があったわけでもなく、突発的に休むことにした。 もともと、調子の悪い週ではあった。自分の体調や気分はムラっけがあって、それが生理周期とぴったり重なることを自覚している。 だから今週は無理をしないのが吉だと、そこまではわかっていた。 わかってはいたのだけど、昨晩うっかり悲しかった出来事を思い出して、手がつけられないほど悲しい気持ちでいっぱいになってしまった。 定期的に思い出しては悲しくなるので、珍しくはない。ただ昨日は、悲しさが

SNSに浸かっていたら、文章が書けなくなっちゃった

短い言葉や動画がとめどなく流れてくる、そんな時代に生きている。 そこにはいちいち憤りをかき立てられる政治のニュースがある。ことさらに顔のいい女の子たちがいる。人を傷つける言葉も、喧嘩を売るような口調も、私はあなたとは違うという壁も、なんでもある。 美しいものもある。景色も、愛おしいペットたちも、アーティストの新曲も、輝くグルメも。「羨ましい」が現実となって流れていくようである。 いいものも悪いものも、雑多に目まぐるしく現れては消えていく。それがSNSなのだと思う。 こ

諦めて、泣いて、noteに出会う。

呑んでるから、正直に言う。 noteのスキ制度、スキ。 いいね!じゃない、スキ。 やばい。 普段、スキとか言われないし。 子どもがちっちゃい頃は、お母さん大好きーとか言われてたけど、 今じゃ、BBAとかKSBBAとか言われてる42歳クソババア。 呑んでたらいきなりダイブしたり、鼻くそほじった指をうぇーいとかやるから、仕方ない。 自業自得だと、わかってます。はい。 そんなBBAにスキがやってくる。 そんな奇跡を一ヶ月前の私は想像していただろうか。 noteを始めたのは

いつまでたっても娘の時間

父と百貨店へ出かけた。近々、自宅にお客さまを迎える予定があるので、お菓子を買いに行ったのだ。 別に父といっしょに行く必要はなかったのだけれど、このところ実家に引きこもりがちになっているのを知っていたから誘った。 腎臓病を抱える父は、一日に数回、家で腹膜透析をしている。だから、あまり遠出はできない。百貨店で買い物して、軽く食事かお茶をするくらいならいいだろうと思った。 百貨店でお菓子のほか、こまごましたものを買ったあと、父が以前かよっていたお店に立ち寄った。 店舗のマネ

自分なりの「エレガント」

こんにちは、高塚アカネです。 今日、頭がぶん殴られるくらいの、衝撃的な出来事がありました。 いつも、どちらかというとスーツが好きで、ジャケパンスタイルと呼ばれるようなファッション(セットアップではないも、ジャケットにパンツを合わせるスタイル)が多い生活です。 そういうお仕事服の中に、ワンピースを一着、導入しました。 このワンピースが「ポリエステル」で、数日前に一週間に3日は着ている、と話した、乾きやすくて便利な一着です。 そのワンピースを初めて着て、出社した日、私の

「夜のことば」の誘惑

なんとなく「昼の言葉」と「夜の言葉」がある気がしている。 なまめかしい言い回しや卑猥な表現は、真っ昼間のビジネスシーンには向かないだろうと思う。あと、陰鬱で、読む人の気がふさいでしまいそうなフレーズなんかもそうだ。だから、夜のイメージ。 また、夜といえば、子どもが寝静まる、大人の時間でもある。ならば機知に富んだ、大人ならではの渋い文章を楽しみたい。ちょっと意地悪で皮肉っぽい表現を味わう心の余裕だってある。飲み会で大人のジョークが飛び交っていた時代もあったけれど、あれだって

その下書き捨てないで!機はいつか来るので寝かせてみよう。

毎日書いていると時々こんなことがある。 ふと思いついたテーマにちょっと筆が乗り、ノンストップでわーっと書いて「おぉ〜いい感じで書けたぞ!」なんて思ってとても満足する。 そして翌日見直してみると「これ、何言ってるんだろう」とか「勢いだけで書いててちょっと意味わからん...」というような文章が出来上がっている。 よくよく読み返してみると、よっぽど気持ちよく書けたのか言い回し(書き回し?)もちょっと調子に乗っていたりして、恥ずかしいような気持ちになる。 たまに訪れる無敵モードの

無愛想な花屋さんの中にある本当の優しさ

そこは、とある田舎の小さなスーパーの前。 スーパーの出入り口に、彩り豊かな花々と野菜の苗、木の苗がズラリと並んでいた。 ちょうど畑計画をしていた私は、別の用事で来ていた場所の駐車場で車を降り、吸い寄せられるようにその場所に向かった。 花を買いに来たおばあちゃんたちと親しげに話している男性がこの花屋さんの店員さんのようだ。 40歳くらいだろうか。茶髪で肌の色が茶色く焼けた店員さんは、何やら忙しそうにおばあちゃんたちと話している。 「そうなんよ。客がほんと来なくて。みん

コロナ禍を支えてくれたニューバランスとお別れします

2020年の夏すぎ、コロナ禍をまだ実家で過ごしていた私は新しい靴を一足買った。側面にNの文字がどんとある、ニューバランスの定番。大学を卒業した大人が恥ずかしいが、私が親に買ってもらった、最後の靴になる。 規制が少し緩んできた時に、家族と近くのスポーツ用品店に買い物に行ったのだ。あの頃は私たち家族には、近場でも精一杯のお出かけだった。 ファッションへの興味が薄い私は、使いやすいものをいつまでも使う傾向にある。だから流行の服やメイクに敏感な年頃の妹たちには、そんなダサい格好で

この春「ちょっと待って」をやめてみる

雨のなか、イチゴ狩りに行ってきた。先日、娘たちが「ママ! イチゴを採りに行きたいよー」とおねだりしてきたのだ。 口のまわりを果汁で赤く染めながら、ハサミで切り取ったばかりのイチゴを頬張る娘たち。その姿を愛おしく感じるとともに「娘たちに応えられる私」に変わろうと決めた。 *** 子どもを産んでから、いちばん多く口にした言葉は「ちょっと待って」かもしれない。 ミルクの準備をしているとき、双子の娘たちにダブルで泣かれて、私まで泣きそうになりながら「ちょっと待ってぇー」。

【 エッセイ 】 noteの投稿目標

noteで色々な人の記事を見ていると、投稿数の目標を掲げている人が多い。 毎日連続投稿365日の目標を掲げている人もいれば、総投稿数1000記事といった壮大な目標を掲げている人もいる。 私はというと、毎日連続投稿の目標もなければ総投稿数に関するこだわりも基本的にはない。「基本的にない」ということは「強いて言えばある」ということである。 世の中にはほとんど実現の見込みがないことが必ず存在する。それが純然たる事実としてそうなのか、人がそう思い込んでいるだけなのかは別としてそこ