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マキネマ〜私的映画感想文〜

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映画好きライターによる、私的な映画レビュー。観た映画のメモがわりにも使います。
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2022年1月の記事一覧

ほっこり心温まる時代劇。
「かあちゃん」監督:市川崑/2001

ほっこり心温まる時代劇。 「かあちゃん」監督:市川崑/2001

<こんなお話>

不景気、失業、相次ぐ暗い事件。現代の世相を思わせる天保末期。老中・水野忠邦の改革の効なく、江戸の庶民の生活は困窮を極めていた。ある貧乏長屋で5人の子供を育てる、おかつ(岸惠子)もその例外ではなかった。そんな生活の中、おかつの家では一家6人が総出で金を貯めこんでいると噂になっていたが、それには理由があった。

<レビュー>

市川崑監督が2001年に手掛けた晩年の作品。あまり期待し

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濃霧と共に、亡霊現る!
「ザ・フォッグ」監督:ジョン・カーペンター/1980

濃霧と共に、亡霊現る! 「ザ・フォッグ」監督:ジョン・カーペンター/1980

<こんなお話>

誕生100周年を迎え記念祭に沸く小さな港町アントニオ・ベイ。午前0時、ラジオDJのスティービーが町の誕生を告げると同時に、町のあちこちで不可解な出来事が起こりはじめる。やがて不気味な霧が町を覆い、亡霊たちが住民を襲う。実はこの町には、100年前の誕生にまつわる呪われた過去があった。

<レビュー>

カーペンター好きを標榜している私ですが、お恥ずかしながら「ザ・フォッグ」は未見で

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55年前、人工授精を考える。
「炎と女」監督:吉田喜重/1967

55年前、人工授精を考える。 「炎と女」監督:吉田喜重/1967

こんなお話

造船技師・伊吹真五と立子の間には一年七ヵ月のひとり息子鷹士があり、家庭は一見したところ幸福そうに見えた。だが鷹士は人工受精によって生れた子供で、それが夫婦の間を微妙なものにしていた。この家には、真五の友人の医師で、人工授精の施術者だった藤木田と、かつてその弟子だった坂口と妻のシナが出入りしていたが、真五は当時、貧しい医学生だった坂口が精子の提供者なのを知っていながら交友関係を結んでい

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「愛がなんだ」監督:今泉力哉/2019

「愛がなんだ」監督:今泉力哉/2019

こんなお話

28歳のOL山田テルコ。マモルに一目ぼれした5カ月前から、テルコの生活はマモル中心となってしまった。仕事中、真夜中と、どんな状況でもマモルが最優先。仕事を失いかけても、友だちから冷ややかな目で見られても、とにかくマモル一筋の毎日を送っていた。しかし、そんなテルコの熱い思いとは裏腹に、マモルはテルコにまったく恋愛感情がなく、マモルにとってテルコは単なる都合のいい女でしかなかった。

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「祇園囃子」監督:溝口健二/1953

「祇園囃子」監督:溝口健二/1953

こんなお話

祇園の芸妓・美代春の屋形に、上七軒で芸妓をしていた母を亡くしたばかりの少女・栄子が舞妓志願に訪れる。栄子の父は美代春の昔からの馴染み客だったが、メリヤス問屋の商売が零落し、体調もすぐれずに細々とした日々を過ごしている。美代春の使いとして訪れた男衆に向かって、栄子の保証人にはならないと言う。しかし、栄子の熱意に負けた美代春は彼女を仕込む決心をした。

★レビュー★

1953年と、溝口

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角川映画祭「犬神家の一族」

角川映画祭「犬神家の一族」

ただいまシネリーブル梅田で開催中の「角川映画祭」。

今回の目玉作品である「犬神家の一族」、ようやく観に行けました!

とは言っても、その目玉である"4Kリマスター版”は、上映劇場が限られており、残念ながらシネリーブル梅田は"2K”でしたが・・・。

ですが、角川映画の名作を映画館で観られる貴重な体験。
DVD鑑賞とは、やっぱり違うな〜♪

美麗で鮮やかな色彩

映画館で見応えのあった点といえば、

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