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「祇園囃子」監督:溝口健二/1953

こんなお話

祇園の芸妓・美代春の屋形に、上七軒で芸妓をしていた母を亡くしたばかりの少女・栄子が舞妓志願に訪れる。栄子の父は美代春の昔からの馴染み客だったが、メリヤス問屋の商売が零落し、体調もすぐれずに細々とした日々を過ごしている。美代春の使いとして訪れた男衆に向かって、栄子の保証人にはならないと言う。しかし、栄子の熱意に負けた美代春は彼女を仕込む決心をした。

★レビュー★

1953年と、溝口健二監督作の中でもかなり晩年に撮られた1本ですが、かの若尾文子はまだまだとっても初々しいお姿。

今では昭和の名女優として名高い若尾文子も、この頃は厳しい溝口監督に名前も呼ばれず、「おい子供!」とか呼ばれていたそうな。

決して自由に生きられない、悲哀に満ちた花街の世界が、色々なしがらみも絡んで、なんとも切ない。。。

衝い立てや暖簾を効果的に使った引きの映像が、女性の心情を投影しているかのようで、カメラの横移動など、おなじみの構図も物語に存分に活かされてます。

決して派手さはありませんが、権力に屈し、我慢しながらも強く前向きに生きる女性像に共感できる良作でした。

木暮実千代も若尾文子ももちろんいいんですが、個人的にグッときたのはお茶屋の女将を演じていた浪花千栄子。

朝ドラ「おちょやん」のモデルということで、最近、話題になりましたね〜。


淀みない話し方といい、身のこなしといい、祇園をしきる嫌らしさがぷんぷん滲み出てて、いや~ほんと巧い!

ザ・京都人って感じww(京都の人、すみません!)

浪花千栄子はこの作品で、ブルーリボンの助演女優賞を受賞しています。
受賞も納得!なんともお見事で、主役以上に印象に残りました。

昔の作品を観てると、こういうハッとする俳優さんに出会えるのも楽しみの一つです。

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祇園囃子
1953/大映

<スタッフ>
監督:溝口健二
脚本:依田義賢
撮影:宮川一夫
編集:宮田味津三

<キャスト>
木暮実千代
若尾文子
進藤英太郎
河津清三郎
菅井一郎
田中春男
小柴幹治
浪花千栄子

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