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なんとなくいいな、の世界
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#シロクマ文芸部

*#新生活20字小説•#シロクマ文芸部

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春だねって笑うから、今年は春に追いつけた

☸︎˳*✦︎∗︎˚೫˳♡︎˳೫˚∗︎✦︎*˳☸︎

企画に参加させていただきます♪
よろしくお願いします(* u.u)) ペコリッ

布団から4 #布団から #シロクマ文芸部 #小説

布団から4 #布団から #シロクマ文芸部 #小説

布団からメモ用紙を置く。
それを拾い上げるのは母。

「買ってきたら、置いておくね」
そう言って部屋から出ていった。

数年前に俺は
殺人未遂を起こした。

それから、家族とも世の中とも
遮断された布団の中で過ごす。

必要な物があれば、
布団のからメモ用紙に書いて置いておく。

毎朝、母が部屋に入り
確認してから出ていく。

食事には興味がなくなった。
ただ、生きるために必要な
カロリーを取るた

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雪の降る日に ~ショートショート410字~

雪の降る日に ~ショートショート410字~

 雪化粧の庭は、取り澄ましたような顔をしていた。
 母は、予定が書き込まれた壁掛けのカレンダーを指でなぞり、はたと思い出したらしい美容室に電話を入れた。

「俺が切ろうか?」
 柄にもない提案をすると、母は照れ臭そうに微笑んだ。

 板の間の窓辺に新聞紙を広げ、雪見席の美容室を即席でこしらえた。遠方の山並みは、どんよりと垂れ込める雲に閉ざされていた。
 母を椅子に座らせると、痩せ細った首に大き

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note殺人事件#「シロクマ文芸部」

note殺人事件#「シロクマ文芸部」

十二月、師走とは言っても、まだ人々が慌ただしく街中に繰り出さない初旬の夜、路上に一人の女が倒れていた。

切り裂かれた衣服、研ぎ澄まされたナイフの傷痕が倒れた彼女の背中を縦横無尽に這っていた。

「怨恨の線が濃厚だな」

しわくちゃなトレンチコートを着た橘警部補が部下達に向かって言った。本人はフィリップ・マーロウを気取っているつもりらしいが、日本人然とした体型から、どこから見ても「刑事コロンボ」に

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「詩と暮らす」2#シロクマ文芸部

「詩と暮らす」2#シロクマ文芸部

「詩と暮らす」
と言う題材で私が先ず思い出したのが、彫刻家で詩人の高村光太郎だった。
彼が書いた「智恵子抄」はあまりにも有名であり、不確かな記憶だが中学校か高校の国語の教科書にも載っていたと思う。

高村光太郎氏は偉大な彫刻家 高村光雲の長男として生を受ける。しかし彼の生涯は順風満帆なものではなく芸術への苦悩と貧困との闘いではなかったかと私は思う。
そんな彼を精神的苦痛から救ってくれたのが妻 智恵

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