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Think clearly 最新の学術研究から導いた、よりよい人生を送るための思考法

複雑な世界を生き抜くための羅針盤。

現代社会は、情報過多で複雑性に満ちています。

そんな中で、私たちはどのように生き、何を指針にすれば良いのでしょうか?

本書では、古代哲学から現代心理学、バリュー投資家の思考まで、幅広い分野の研究結果を紐解きながら、「よい人生」を送るための52の思考法を明らかにします。

今すぐ本書を読んで、あなたの人生をより豊かで充実したものへと導きましょう!





フォーカシング・イリュージョン

私は以前、10年ほどマイアミビーチに住んでいたが、その前とその後はドイツ住まいだ。
ドイツでは、雪解けのぬかるみやフロントガラスの凍結と縁の切れない生活である。
だが、マイアミビーチいたときに、私がいまよりどのくらい幸せだったかというと、その度数は「ゼロ」だ。

これが、「フォーカシング・イリュージョン」である。

心理学者のダニエル・カーネマンは、次のように説明している。
フォーカシング・イリュージョンとは「特定のことについて集中して考えているあいだは、それが人生の重要な要素のように思えても、実際にはあなたが思うほど重要なことでも何でもない」という錯覚を表す言葉だと。
つまり、人生における「特定の要素」だけに集中させると、その要素が人生に与える影響を大きく見積もりすぎてしまう。

最初に私たちは、「寒いドイツ」と「温かいマイアミビーチ」という「気候」についてだけ焦点を合わせた。
すると、このひとつの要素だけが、ドイツとマイアミの生活満足度を評価する基準になる。
だがその後で、朝の通勤から夜のソファでくつろぐまでの一日の流れを追ってみると、「天気はその日の全体のほんの一部の要素にすぎない」と分かってくる。

フォーカシング・イリュージョンの影響を最も受けやすいのは何と言っても「お金」に関してだろう。
あなたがもし億万長者だったら、どれぐらい幸福度がアップするだろう?
ウォーレン・バフェットは、自分の生活を平均的な市民の生活と比較してみせたことがる。
バフェットの暮らしは、一般市民の暮らしと何ら変わらない。
バフェットは、あなたと同じように人生の三分の一を普通のマットレスの上で過ごし、あなたの洋服と変わらない値段の既製服を買っている。
あなたが食べているよりも高級なものや健康的なものを食べている訳でもない。
普通の机と普通の椅子を使って仕事をしている。
バフェットの生活をこと細かにあなたの生活と比べてみると、彼が裕福であることは日々の暮らしにほとんど影響を与えていないのがよく分かる。
唯一の違いは、飛行機での移動の仕方だ。
バフェットはプライベートジェットを持っている。
しかし、人生のたかだか「0.1%」を過ごすだけの飛行機のシートの狭さよりも、狭い考え方のほうがずっと始末が悪い。
つまらないことに意識を集中させていては、人生を浪費するだけなのだ。


『まとめ』

「内なる成功こそが、真の成功」だ。
「内なる成功」というのは、心の充実や平静さを手に入れることだ。
心の安らぎを手に入れた人は、不運に見舞われても取り乱すことはない。
高く飛行しようが緊急着陸をしようが、心の平静は取り乱さない。

では、「内なる成功」を手にするにはどうすればいいのだろうか?
それには、私たちが影響を及ぼせることだけに集中させ、それ以外のことは一貫して意識から切り離しておくことだ。
つまり、「外の世界」ではなく、「自分の内側」に意識を集中させるのである。
自分の内側はコントロールできても、常に偶然の要素が働く外の世界に対しては、私たちは力を持たない。


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