【読書】生命科学的思考
今まで触れてこなかった分野を学ぶことで、新しいモノの見方や考え方を吸収することができた。正直この本を読む前は、「生命科学が人生やビジネスに影響することなんてあるわけない。」と軽視していたが、その認識が一変した本。
「なぜ人間はネガティブな感情を抱えて生きているのか」と誰しも一度は考え得る身近な問題から「覚悟とは何か」と哲学的な思考まで、生命科学的思考を基に紐解いてくれる良書である。
◆読む目的
・生命科学の知識や考え方をどのようにビジネスにつなげられるか理解する
・今まで触れてこなかった生物学的分野に挑戦
・ビジネスアイデアに繋げる
◆要点・まとめ
○「生命原則を客観的に理解して、主体的な意思を活かして行動すること」こそが人類にとっての唯一の希望
世界の中で絶望しないで生き続けるためには、課題を解決し続ける状態を維持しなければならない。そのために人間は、『思考』して行動する必要がある。
しかし、『思考』というのは、生物学的には多くのエネルギーを消費する行動である。思考しなくても良い環境であれば生物は極力思考しないことを選択をする。
そのため、我々はこのような生命の仕組みを理解して、生命の原則に意識的に抗う必要がある。
○「個体として生き残り、種が繁栄するように行動する」という共通する生命原則が存在している
我々が普段生活している中で行う全ての活動の根底には、共通する生命原則が存在する。そして、その「個体が生き残ること」と「種が繁栄すること」は並列ではなく、まず個体として生き残ることが先で、次に種が繁栄するために行動する。
○生命原則を理解する理由は、「生命原則を理解することで広い視野を獲得できるから」
人間の視野が狭くなり、目の前の自分のことしか見えないというのは、生存戦略としては有効な手段である。
大人に成長して家庭を持ったり組織に属するようになると、長期的な目線で考えたり、他人優先で物事を考えたりと視野が広く持てるようになる。
○生命原則に抗って行動するためには、主観を持つこと。
我々は基本的に遺伝子に従った生命活動を無意識のうちに実行しているが、『主観』すなわち「個人が特有に持つ自由意志」が存在しているということを強く認識することで、生命原則に歯向かう力になり、実際の行動自体が変わる。
○課題は主観的な意思が創り上げたもの
世の中に存在する様々な課題は、自然発生したような誰かが意味付けしたものではなく、自らの意思で主観的に選んで『課題』と設定している。
世の中にある様々な課題は主観的な意思が創り上げていて、逆に言えば、その課題を見つめることで自分の意思が見えてくる。その見えてきた自身の主観的な意志を認識することが、課題を解決する推進力になる。
○時間の性質を知ることで、時間の認識が変わる
時間に対する認識も、生命原則に基づいて不自由であるが、時間の性質を知ることで自由な時間軸の認識を持つことができるようになる。
時間の認識で大切なのは、何の変化と何の変化を比べているのかという「比較対象」と「主体」に着目すること。時間は、二つ以上の異なる性質を持つ変化を比較することで初めて認識可能になる。
比較対象となるのが、以下の4つの変化。
①自然変化(地球の自転、公転など)
②環境変化(経済、政治など)
③行動変化(仕事、生活、勉強など)
④生命変化(呼吸、成長、加齢など)
○感情と情報の両方が意思決定するために重要
『主観的な感情』と『客観的な情報』は二者択一的に語るのではなく、どちらも十分に理解した上で自分の行動を選択することが重要である。
主観的感情と客観的情報の性質を知ることで、単に感情的に生きるのではなく、科学的に知性を持って物事を理解しながら、感情という主観的なものをベースに行動を起こすことができる。
○主観から生まれる「思考」こそが人類の希望である
不確かな世界において、主観の力が一番の推進力になる。
そして、自分の主観を見つけるためには、自分は何に興味があるのか、何が好きで、どんな未来にしたいのか、ひたすら思考して行動することが必要となる。
思考することは、生物学的に多くのエネルギーを消費する行為である。しかし、他者とは異なる自分の主観でそれぞれが思考し、行動することこそが人類の希望である。
◆アクションプラン
・0秒思考を再開させる
(自分の設定している課題、覚悟、理想、夢をきちんと具体化させる)
◆メモ
快楽と幸福の違いは「時間軸」にあると言えます。
...
快楽は個人の生命活動の変化である生命変化であるのに対して、幸福は個人の活動の変化である行動変化で感じるものです。
「目指したいものに対して覚悟を決めている人は、葛藤しない」
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私が考える覚悟とは、「不確定で曖昧な未来に対して、どうなっても絶対に後悔しないと最初に決め抜いておくために、掟のようなもの」です。大切なことは、「最初に決めておく」という時間軸です。
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「未来を見据えた上で、ある段階で過去の決断を改竄しないと決めること」が覚悟であると言えます。
私の考えでは、努力の定義とは「放置状態を回避するために、積極的なエネルギー消費を行う行為」です。
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「なぜヒトは努力しないといけないのか?」という問いへの答えは、宇宙にとっての平衡と私たちの個体にとっての平衡が異なるため、積極的にエネルギーを使って行動しないと個体としての形を保つことができないから、です。
企業における多様性も、多様性を作ることそのものを目的にするのではなく、ある目的を達成したいと考える「同質性」を持つものをまず集め、多少の環境変化にも対応できるための手段として多様性を確保する、というのが本来の意味での多様性
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