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【読書】アフターデジタル2 UXと自由

この本を読んで、「デジタル」に対する今までの自分の認識や考え方が大幅にアップデートされた。今後は仕事や私生活等のどの場面においても、デジタルと切り離して考えることができなくなる時代となる。そんな中で、最近よく聞く『DX』や『UX』というワードに対する自分の知識がどれほど表面的で浅かったかということを痛感させられた一冊。

デジタル社会への取組において何歩もリードしている中国やアメリカの先端事例を用いて、これからのデジタルビジョンについて分かりやすく論じている。ニュース等で海外の最先端テクノロジー技術が紹介されることはよくあるが、それを上手く言語化している点で、抽象的な考え方ができて、それを他のアイデアに繋げたり、新たなイノベーションへのヒントになる。

「デジタル」と聞くだけでアレルギー反応が出てしまうような人でも非常に理解しやすく、ビジネス思考で考えることが出来るので、是非読んでいただきたい一冊である。

※前著の『アフターデジタル』を読んでいなくても、本書だけで内容を理解できるため問題ない。


◆「アフターデジタル2 UXと自由」を読む目的

・デジタルに関する知識をアップデートする。
・海外のデジタル技術を応用した事例の構造を理解する。
・起業のためのアイデアに繋げる。


◆要点・まとめ

○アフターデジタルとは、リアル(オフライン)とデジタル(オンライン)が融合した一体のコンセプト。

現代の企業経営は、人をリアルに集めないことを前提としたサービスや販売、開発などへ移行しつつあり、DX(Digital Transformation)への取組みの重要性が増している。

そして、オンラインとオフラインを融合させる「OMO」(Online Merges with Offline)の思考法がアフターデジタル社会における企業の成功法と言える。OMOとは、「オンライン」と「オフライン」という区別を意識することなく、その時一番便利な方法を選ぶという概念。

○新たな顧客体験(UX)を作り、顧客とアフターデジタル型の関係性を築くことがあるべきDX。

顧客にとって「便利か、楽か、使いやすいか、楽しいか」といった顧客視点で考えるUX(User Experience)がないDXプランでのデジタル化は、まず成功することはない。

○これからは、商品販売型のビジネスから「体験提供型ビジネス」へ優位性が移行していく。

日常的にユーザーとの関係性を築き、価値を提供できて、高頻度かつ定常的にユーザーの状況を把握できる形式の「体験提供型」のビジネスモデルへと企業競争の原理が変化していく。

つまり、常にユーザーとの接点を持ち、ユーザーの置かれた状況を把握してそれに対する解決策や便益を提供し続ける仕組みが必要となる。

○顧客の理解と付加価値の提供においてカギとなるのが「行動データ」

そこで、ユーザーの行動データを取得することで、顧客理解の解像度が上がり、「最適なタイミングで、最適なコンテンツを、最適なコミュニケーション方法で提供できる」ようになる。

アフターデジタル社会では、「行動データ」を活用できないプレイヤーは負けていく時代となる。

○行動データをUXに還元し、ユーザーの体験へ落とし込むサービス設計を構築することが重要。

行動データは、ただ所有しているだけではお金にならない。データをどのようにUXに還元して、ユーザーに提供するかを考える必要がある。

例えば、ユーザーがアプリを使用し続けることで「一人ひとりの行動履歴」のデータが時系列で溜まっていく。たまったデータをUXに還元して、さらにUXを改良することで、粘着度の高いサービスに改善されて進化していく。そしてさらに行動データが溜まっていく、といったループを作ることが強い「体験型ビジネス」を提供する上での最重要ポイントである。

「顧客の成功」がアフターデジタル社会における成功ビジネス

体験提供型ビジネスをOMOの思考法で運営し、「エクスペリエンス✖️行動データ」のループを回す新たなビジネスモデルに顧客がずっと乗り続け、企業が顧客に寄り添い続けることが、これからの新しい価値となる。そして「顧客が成功すること」がゴールとなる。

○行動データを活用してUXをより良くしていく3つのパターン。
①ユーザー側の体験向上
②ビジネスプロセス側の効率向上
③双方の助ける付加価値

①タイミング、コンテンツ、コミュニケーションを最適化した価値提供。「より便利に」「より使いやすく」ユーザーにとってのベネフィットを最優先した考え方。

②ビジネス側の成果を可視化してユーザーからの信用を上げる。主観的な相互評価だけでなく、サービス提供における行動を可視化して、ユーザーが評価することで、業務やサービスの品質改善に繋がる。

③ユーザーとビジネス側の双方の接点を増やすことで付加価値を高める。

○アフターデジタル社会では、人は自己実現に合うUXを選択する。

多様な自由が調和する時代において、その時々に合った、自分らしい生き方やライフスタイルを実現できるUXを選び取れる社会が主流となる。

どの選択をしていくかはユーザーに委ねられる。UXとテクノロジーを活用しながらユーザーが成し遂げたい自己実現を捉え、それに寄り添ったサービス設計をしていくことが優先的に必要となる。

○ビジネスの起点は「ユーザーの置かれた状況を理解する」こと。

「なぜそのような行動をしたのか」「なぜ行動に違いが出るのか」という理由と状況を考え、想像して、理解することで提示するソリューションは全く異なる。そして、本当にターゲットすべきユーザーに向けたUXが企画でき、成果も出る。

当事者意識を持ち、想像力を働かせて自分の事として考える事をビジネスの起点として据える事が重要。

○アフターデジタル社会におけるビジネスの勝ち筋

全ての起点に「ユーザーの置かれた状況を理解する」という共感の技術が使われ、より良いUXを作り、UXが良いから行動データが高頻度にたくさん溜まり、それによってさらにUXが高められる。こうしたループを回せる企業・サービスにユーザーが集まり続け、他社を圧倒する。

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◆アクションプラン

・1日1個、企業やサービスのビジネスモデルをピックアップして、「このビジネスは、どんなユーザーのどんな課題を解決しているのか」を深掘りして考える。


◆メモ

アフターデジタルという社会変化はビジネスに大きな影響をもたらしますが、その最も大きな影響は「属性データの時代から行動データの時代になる事」であると捉えています。
リアル接点の強みを生かしてデジタルの受け皿に乗せ、またリアルに返ってくることで「ハマる楽しさ」を生み出し、そうすることで強い関係性を築いているのです。
店舗に行ったときにアプリを開くだけでそれ以外のタイミングではアプリを開かないため、せっかくデジタルを導入したのに接点の頻度が増えないのです。テックタッチはリソースがかからない分、高頻度な接点として生かすことを考えねばなりません。
ハイタッチ、ロータッチで得られた信頼や関係性を、テックタッチでの高頻度な行動に還元し、タックタッチで得られたユーザー行動を基に、再度ハイタッチやロータッチに誘導したり、別のアクションを勧めたりしています。このように、デジタルとリアルの接点におけるそれぞれの強みと弱みを使って、相互に行き来できるようなUXを作っていくことで、ジャーニーとして繋がっていき、ユーザーが使い続けてくれるようなサービスになるのです。
アイデアをたくさん出すというよりも、「不幸せな状況」にどこをどのように変えたら、幸せなサイクルを生む事ができるかをひたすら考えるのがコツです。
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幸せな状況を定義したら、理想的には、そのサービスを初めて使う際の体験を再現するプロトタイプを作成します。
ビジネスモデルを決めていくときに、同時並行でどのようなユーザーの成長シナリオを描き、その程度高頻度に使ってもらう必要があるのかを検討していきます。


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