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会社で舌打ちしてしまったので早退したらキャッシュカードを拾った

 コールセンターで働いている。
 今日は待ち呼がひどい。
 次に電話に出るお客様は、15分ほど待っているとスクリーンに出ている。申し訳なくて気が重すぎる。

 「お待たせして申し訳ございません。」と恐る恐る電話に出る。親身に用件をきく。
 
 最初お怒りでも、頑張って案内していくうちにお客様は最後にはありがとうと言ってくださる方が多い。それは嬉しいのだけど、今日は違った。

 今日は大半の人が、電話に出るともうお怒りである。さらに、私の窓口で案内出来ない内容がたくさん飛んでくる。その場合にはその窓口に転送させていただくのだが、「ここにかければ良いと言われたのに」とお怒りになる方が多い。謝るしかない。私だって、すぐスムーズに電話が繋がる環境にして、すぐ解決してあげたい。そんなこといったって、会社が決めている規定に従うしかない。いちパートの私がクレームを受けたところで、状況が変わるわけがない。それをわかってる人は、あまり強い口調で電話口のオペレーターに怒ることはないのだが。

 「◯◯がここにかければ解決できると言った」「◯◯の店ではこう言っていたのに話が違う」等、知らないところで誰の情報かわからないけど、話が違うと怒られる。なぜ私が他社の社員の言った嘘で、こんなに怒られているのか。他にも、本当のことを案内しているのに「でたらめ言うな!」と怒ってくる方もいる。数えきれないほど理不尽なことが多い職種だ。

 どんなに親身に寄り添って対応を頑張っていても、罵りが続くともう心が壊れる。限界だ。そっちが協力してくれないのなら、そんなの知らねぇよ。コールセンターはお客様を選ぶべきだと思う。

 頭痛、腰痛。腹痛。クレームを受けると必ずあとから痛みが出てくる。何度かトイレに行き電話と離れながら昼休みまで耐える。耐えたが無理だった。昼休み明け、一番にとった電話は待ち時間が多いことや、転送へのクレームだった。

 謝っても、あまりに絡んでくるので電話を切ったあと、気付くと舌打ちしていた。隣の席には、いつも優しく対応してくれる管理者がいた。本当に申し訳なかった。さぞ不快だっただろう。そんなことをしてしまう自分への嫌悪感で、更に落ち込んだ。

 もう無理だ。頭痛も悪化している。早退した。管理者は優しい方が多く、だからこそどんなに辛くてもほぼ勤怠率100%で数年続けてこられた。

 ただ環境が悪い。転送が多い構造になっている。新人さんは受けられる用件の種類が少ないのでそれ以外はベテラン組に転送になる。ベテランさんからしか繋げない窓口へ更に転送になることもよくある。その間に伝言ゲームのように用件が異なって引き継がれ、転送先の人が怒られることも多々ある。本当に理不尽である。引き継ぎは本当に大事。

 クレーム等が続き心に余裕がなくなると、些細なことでイライラして気が狂いそうになったり、落ち込みが強くなって人と話すことが難しくなる。

 それで大切な人を傷つけてしまったら。負の連鎖で大切な人と喧嘩になってしまったら。大事な体が、一生ものの持病を抱えたら。

 その責任は誰もとってくれない。たとえ自分が被害者でそうなってしまったとしても、全て自己責任だ。だからこそ、自分のメンタルも体も、自分で守らなきゃいけない。だから早退した。

 帰りにATMに寄ったら、前の人のキャッシュカードが出てきた。急いで出口に行き周りを見渡すも、人混みで誰のものか分からず、探すことが出来なかった。少し待ったが取りに来る気配がなかったので、サービスカウンターに相談し預かってもらい、そのまま帰った。

 良い意味でも悪い意味でも、巡り合わせは不思議なものだ。私は、だいたいのハプニングやアクシデントは意味がある、もしくは学べる事があると思う。
 コールセンターの仕事がつらいことも、結局はその仕事を選んだ自分、そういう仕事しか出来ない自分に責任があるのだ。
 悔しいなら辛い思いをせず所得を得られる方法を勉強し諦めず努力すれば良いのだ。結局はそういう結論に至る。そして、まだ全然成果の出ていない副業に勤しむ。

 仕事は辛くても頑張らなきゃいけないときがある。でも、それを理由に大切な人を傷つけて、自分の事を肯定できるだろうか。
 自分を肯定できる、好きになれる生き方を耐えず模索していきたいと思う。

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