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リラ〜犬と人との物語⑦(最終話)

これまでのお話はこちら


第7話 虹の橋は渡らない


 やっぱりさ、生き物には生きる時間が決まっていて。

 人間もワンコも他の動物もいつかは死ぬんだよね。

 それを寿命と言ったり、生命時間と言ったりするけど。


 まぁ、どんな生き物でもいつかは命が終わるときがくるんだ。


 わたしは福島で生まれて、それからワンコがたくさんいる所に移されて。

 一時はどうなることかと思ったけど。

 (そういいながら、それほど心配もしていなかったなぁ)



 でも、お母しゃんと出会って。

 その後色々あったけど、れん君とも出会って。

 

 大事にされてきたなぁ。

 可愛がってもらってきたなぁ。


 車であちこち連れて行ってもらって。

 その先々でまた可愛がってもらって。


 わたしの犬生はどんどん良くなっていったよなぁ。

 あ、相変わらず痛みは来るんだけどね。

 それもまぁ受け入れていくしかないからさ。

 それでも、いつもわたしのことを家族が気にかけてくれて。


 わたしもさ、トシとってきたのかな?

 前はね、朝になると、パッと起きて「散歩ー!」って思ったんだ。

 お母しゃんに「早く早く!」と急かしたんだ。

「れん君、早く行こうよ!」と催促したんだ。

 でも、この頃はね
「まぁ、散歩!?行ってもいいかなぁ?」なんて感じで。

 

 お家の中でトイレしないから、外に行くんだけど。

 まぁ、前ほどたくさん歩かなくても満足するし。


 そういえば最近、足がぷるぷるするときもあるんだよね。特に排泄で踏ん張るとき。

 だいぶおばあちゃんになってきたよなぁ。

 でも、耳は聞えるし、目も見える。

 ご飯も美味しい。


 だから大丈夫。


 でも、そろそろお母しゃんとれん君には、心の準備をしたおいて欲しいと思う。


 わたしはいつか居なくなるから。

 このワンコという肉体は朽ち果てるときがくるから。


 でも、知ってた?

 ワンコは虹の橋を渡らない。

 虹な橋のたもとにも居ない。


 ずっと大好きな飼い主のそばにいるんだよ。

 見えないだけで。

 身体がないだけで。

 ずっとそばに居るんだ。


 あ、嘘言っちゃった。

 ずっとじゃないんだ。


 また別のワンコに生まれ変わるんだ。


 でもね、もしかして、だけど。


 わたしは人間に昇格するかもしれない。

 お母しゃんが太鼓判を押してくれたから。

 皆わたしを可愛がってくれる人達が、いい子ねぇと言ってくれるから。


 少しだけ期待しているんだ。

 人間に生まれ変わることを。


 そうしたら、もしかして、人間として生まれてきたら、まだお母しゃんやれん君が生きているうちに、会いに来れるかもしれない。

(知らんけど)


 でも、そんな空想してもいいよね。自由だもん。



 いつかその時はくる。

 でも、お母しゃん、悲しまないでね。

 れん君、落ち込まないでね。


 そばにいるから。

 生まれ変わるまでだけど。


 わたしに意識を向けてくれたら、コンタクトできるよ、きっと。


 ちょっと無理そうだな、と思うんなら、今のうちから訓練しておいたほうがいいよ、念を送る訓練をね。



 そろそろこの物語はおしまい。


 わたし、リラの犬生の大雑把なストーリー。


 多分星の数ほどワンコがいるし、数多の犬生がある。

 わたしよりもっと幸せなワンコがいるかもしれないけど、わたし達は比較をしない。


 だって、自分が幸せならそれでいいから。

 わたしを大好きでいれくれる人が笑顔ならそれでいいから。


 今までありがとう。

 わたしを育ててくれて。

 今までありがとう。

 わたしを愛してくれて。


 こんな幸せな犬生を生きられたこと。

 嬉しいです。


 まだもうちょっと一緒にいるよ。


 でも、残された時間がそんなに長くないってことだけ、知っていてほしいなぁ。


 それまで精一杯そばにいるから。


 ありがとう。

 ありがとう。

 ありがとう。


 わたしは実は世界一幸せなワンコです。

 そう思うのは勝手だからね。

 あれさっき比較しないって言ったばかりなのにね(笑)


おしまい


最後までお読みくださり、ありがとうございます。

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感謝。

ひなた美由紀



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