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答えのない答え合わせ⑤

姐さんとバンドマンHに挟まれ手を繋ぎ、ホストクラブから居酒屋へ戻る頃、私は、ライブと打ち上げに巻き沿いとなった友人へ、謎の優越感を感じていた。
しかし、友人へ目を向けると、
もともと大人の社交場に慣れていたのか、
それとも、私がホストクラブでカラオケ苦戦中に、ここでのコミュニケーションスキルを掴んでしまったのか、
私が見た事ない振る舞いを披露しながら、アーティスト達と仲良く会話している。

つづけて、私は拍子抜けした。

友人『お先に失礼します!!今日はありがとうございました!!』

とても礼儀正しく挨拶をし、スマートにタクシーへ乗り込んだ。
大人達には好印象しかない。

(嘘でしょ?!帰るの…?!)
(始発まではまだ時間がある...私この後どうしよう...それにあんな立派な挨拶なんか出来ないよ…泣)

一気に多くの感情が交差し始めた。
しかし、飲み続けたアルコールが私の思考を邪魔する。

スタッフがホテルの場所の話をし始めている。
きっと、そろそろ終わりを迎えるんだ・・・



私が家族に会わないよう帰宅したとき、時計は午前9時を回っていた。
あの宴がどうやって終演を迎えたかは、今となっては全く思い出せないが、
最後の私の横にいたのは、憧れのDJではなく、バンドマンHだったのだけは覚えている。

神様…あの日の私、あれで良かったと思う…?
もしも、正解があるのなら教えてほしい。



有無を言わさず、学生生活は再び始まる。
あの日を境に、目の前の景色が変わったようだった。
いや、私の心がきっと変わってしまった。

今までに増して学生生活は退屈な日々、
当時付き合っていた優男彼氏との時間は当然物足りなくなった。

あの日のことは、一緒に居た友人以外、誰にも話すことはなかった。
話しちゃいけないことのような気がしたし、話す気もしなかった。

それに何より、思い出すと、心に鈍痛を感じるのだ。
、、、あんなに舞い上がっていたのに。

一連の出来事に、なぜか向き合うには心は時間が必要としていた。

憧れのDJやアーティスト達と連絡先を交換した記憶はあるが、
あの後、新しい携帯電話にするタイミングで、自ら連絡先を消した。


だけど、
姐さんの連絡先だけは、聞いておけば良かったな。


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