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子供のためのオルセー美術館(77)いちばん強烈な青を描く/緑の目の友達・ゴッホ

友達ともだちほしのように


アルルにちかまち出会であったボックは、ゴッホの友達ともだちです。

顔立かおだちのはっきりしたみどりつボック、おおきなゆめってつづけるボックを、ゴッホはどうしてもきたかったのです。

ボック


カミソリみたいにシュッとしたかおのボックには、ちいさなえりのジャケット、そして黄色きいろだ。
生成きなりのシャツに、こんなネクタイ

ゴッホは手紙てがみにつづけてきました。

「ぼくはボックに感謝かんしゃしたい。気持きもちをこめてきたい。それならできるだけありのままのボックをこう。だけど、仕上しあげはこのままじゃあない」

ゴッホは、最初さいしょかんがえていたボックの金色きんいろかみを、

オレンジに、クロム色にあわいレモン色に。どんどんえていきました。

そして、

あおそらきました。

「ぼくがけるなかでも最高さいっこうに、強烈きょうれつあお!  ボックのあたまほしになるんだ」


ゴッホはこのを、黄色きいろいえ自分じぶん部屋へやかざりました。
どこにあるかわかるかな?


そしてもちろん!
ゴッホは、このをボックにプレゼントしたのでした。


Vincent Van Gogh
Eugène Boch le Poète 1888
フィンセント・ファン・ゴッホ
ウジェーヌ・ボッホ 詩人 1888

ゴッホがベルギーの画家ウジェーヌ・ボッホ(1855-1941)と出会ったのは、ボッホがアルル近郊の村に数週間滞在していた1888年6月中旬のことだった。7月8日フィンセントは弟のテオに宛てた手紙の中でボッホのことをこう書いている。「彼はカミソリのようにシャープな体型で、緑色の目はとても際立っている。大きな夢を描きナイチンゲールが歌うように懸命に働く、それが彼の本質だからだ。彼は金髪になるだろう。僕ならそうする。
彼への感謝、愛情を絵に込めたい。だから、できるだけ忠実にありのままの彼を描こうと思う。だけど絵はこのままでは完成しない。それを仕上げるために、僕はこれから独断的な色使いをすることになる。髪のブロンドを誇張し、オレンジトーン、クロム、淡いレモンに近づけた。このシンプルな組み合わせで、この豊かな青の背景に照らされた金髪の頭は、深い青の中の星のような神秘的な効果を得ることができる」
2週間後、ボッホはゴッホのためにポーズをとった。
「彼のおかげで、ようやく 長い間夢見ていた『詩人』という絵の最初のスケッチができたんだ。彼は私のためにポーズをとってくれた。私の肖像画では、深い群青色の星空を背景に緑色の目をした彼の立派な頭が際立っている。服装は小さな黄色のジャケット、生成りのキャンバス地の襟、カラフルなネクタイだ」
ゴッホはこの作品を「スケッチ」に過ぎないと考えていたが、「詩人」と名付けたこの作品を額装し、『寝室』の初版(アムステルダム、ゴッホ美術館)に描かれているように、この作品は一時期、黄色い家の彼の部屋の壁に飾られていたことがわかっている。

musée d’orsay
 

お読みいただきありがとうございました。
ゴーギャンがアルルに到着する少し前、2人が過ごしたアルルは穏やかで美しい日々でした。ゴッホが夜の絵にたくさんの星を描いたのもこの時期です。
ゴッホはボックに何度も手紙を書き、作品の交換を提案し、テオへの手紙のように数々の自分のスケッチを送ります。

scetch of painting "Starry Night over the Rhone" included in the letter to Eugene Boch

このボックの肖像画は、後年ボックが息を引き取るときにも、ボックの部屋に飾られていました。

「彼の頭の後ろに、このみすぼらしいアパルトマンの普通の壁を描く代わりに、私は無限を描く、最も濃厚なブルーのシンプルな背景を描くんだ、私が創造できる最も強烈な青だ。そしてこの豊かな青を背景に明るい頭を組み合わせて、神秘的な絵ができあがる、紺碧の空に浮かぶ星のような」
テオ宛の手紙1888年8月18日

"663 (663, 520): To Theo van Gogh. Arles, Saturday, 18 August 1888. - Vincent van Gogh Letters". vangoghletters.org.

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