子供のためのオルセー美術館(75) パリの劇場から/オペラの客席を描いたルノワールとゴンザレス
オペラの始まる前に
今から150年前のパリ、たくさんの劇場が作られました。
オペラを見にくるお客さんでいっぱいです。
そして作曲家もパリの舞台を目指したので、人気のオペラが生まれました。
今日は、パリの劇場のひとつ、テアトル・イタリアンに行ってみましょう。
じゅうたんやカーテン、椅子も、濃い赤のボルドー色。足音も話し声も吸い込まれそうな、ふかふかのビロードでできています。
そんなオペラの客席の絵を描いたのは、ゴンザレスとルノワールでした。
女性画家のゴンザレスは、お花のブーケのような水色のドレスや、ホワイトタイの白いシャツが、
暗い客席から浮き出てくるような、そんな2人を描きました。
薄いピンクのバラのほんの少しの赤、黒いビロードのネックレスに一粒のパールがやさしくて上品です。
今日は忘れずに持ってきたオペラグラスで
これから始まるマスネのオペラ、マノンを楽しみましょう。
あ、あそこ。 向かいのロッジの
流行りの金色のオペラグラスを持った人は誰でしょう。
こちらを見つめる目。きらきら光るイヤリング。
透き通る絵の具の色に、薄く濃く流れるように、筆を何度も重ねた黒のしまがエレガントです。
ルノワールは、おしゃれにドレスアップした2人を、キャンバスいっぱいに描きました。
あのムッシュ、オペラグラスで客席を見ていますよ。
誰か友達を探しているのかな。
Éva Gonzales (1849-1883)
Une loge aux Italiens Vers 1874
Refusé au Salon de 1874
エヴァ・ゴンザレス
テアトル・イタリアンのロッジ 1874
サロン 1874 落選
Auguste Renoir (1841-1919)
La Loge 1874
Première exposition impressionniste, 1874
オーギュスト・ルノワール
ロッジ 1874
第1回印象派展 1874
お読みいただきありがとうございました。
この時代の社交の場を、華やかな舞台やカクテルの席でもなく、暗い客席に着目した2人の画家をご紹介しました。
ゴンザレスをご存知でしょうか。ゴンザレスは34歳で他界、その短いキャリアを通じて肖像画と室内装飾の絵画で際立っていました。
ルノワールは、いつもながら華やかに可愛らしく女性を魅力的に描き、第一回印象派展に出展、買い手もつき成功をおさめます。
同年、ゴンザレスのこの力強い作品は、伝統的なサロンでの入選を女性的でないと拒否されます。その時のサロンで入選したゴンザレスのもう一つの作品がこちらのパステル画です。(また改めて取り上げるので簡単に)
パステルは彼女のお気に入りの技法でした。美しいパールグレー、淡いピンク、白の色調は、師マネと共有するところです。
EVA GONZALES 1847-1883
La Matinée rose 1874
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