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子供のためのオルセー美術館(75) パリの劇場から/オペラの客席を描いたルノワールとゴンザレス

オペラのはじまるまえ


いまから150年前ねんまえのパリ、たくさんの劇場げきじょうつくられました。
オペラをにくるおきゃくさんでいっぱいです。
そして作曲家さっきょくかもパリの舞台ぶたい目指めざしたので、人気にんきのオペラがまれました。

今日きょうは、パリの劇場げきじょうのひとつ、テアトル・イタリアンに行ってみましょう。

Théâtre-Italien 1843

じゅうたんやカーテン、椅子いすも、い赤のボルドーいろ足音あしおとはなごえまれそうな、ふかふかのビロードでできています。
そんなオペラの客席きゃくせきの絵をいたのは、ゴンザレスとルノワールでした。

女性画家じょせいがかのゴンザレスは、おはなのブーケのような水色みずいろのドレスや、ホワイトタイのしろいシャツが、

くら客席きゃくせきからてくるような、そんな2人ふたりきました。

うすいピンクのバラのほんのすこしのあかくろいビロードのネックレスに一粒ひとつぶのパールがやさしくて上品じょうひんです。

今日きょうわすれずにってきたオペラグラスで

これからはじまるマスネのオペラ、マノンをたのしみましょう。


あ、あそこ。 かいのロッジの


流行はやりの金色きんいろのオペラグラスをった人はだれでしょう。


こちらをつめる。きらきらひかるイヤリング。

とお絵の具えのぐいろに、うすながれるように、筆を何度なんどかさねたくろのしまがエレガントです。


ルノワールは、おしゃれにドレスアップした2人を、キャンバスいっぱいにきました。


あのムッシュ、オペラグラスで客席きゃくせきていますよ。
だれ友達ともだちさがしているのかな。


Éva Gonzales (1849-1883)
Une loge aux Italiens Vers 1874
Refusé au Salon de 1874
エヴァ・ゴンザレス 
テアトル・イタリアンのロッジ  1874
サロン 1874 落選

エヴァ・ゴンザレスは、イタリア劇場の観客として妹と将来の夫を描いた。光の強いコントラストを際立たせる広範で流動的な技法を用いて、ボックス席の様子を表現している。
マネの弟子であり、公的な成功を求めていたゴンザレスは、この絵を1874年のサロンに出品したが落選、マネの率直な絵画に忠実であったことが仇となったのは間違いない。サロンの求める女性的で繊細な絵画ではなかったためである。
ゴンザレスはマネ同様、公的なサロンでの成功を目指しこの作品を印象派展に出品しなかった。

musée d’orsay 

Auguste Renoir (1841-1919)
La Loge 1874
Première exposition impressionniste, 1874
オーギュスト・ルノワール
ロッジ  1874
第1回印象派展 1874

19世紀後半、パリには新しい劇場や演芸場が次々とオープンした。
しばしば新聞に描かれた社交の場が絵画に登場するのは、1874年の春、ルノワールの作品とエヴァ・ゴンザレスの作品だけだった。スペクタクルは舞台の上ではなく、ボックス席の中で展開されているように見える。このカップルのポーズをとっているのは、ルノワールの弟とモンマルトルの若い女性ニニである。ニニは、最新のファッションに身を包み、派手な化粧を施している。彼女はこちらを直視し、男性は双眼鏡を観客に向けている。
こうして肖像画としては曖昧さが感じられたにもかかわらず、このふたりの肖像画は1874年の印象派展で成功を収めた。

musée d’orsay 
Théâtre National de l’Opéra Comique /ARMIDE (J.B Lully)21/6/2024
モダンダンスのリードによる現代版アルミードの素晴らしい舞台演出

お読みいただきありがとうございました。
この時代の社交の場を、華やかな舞台やカクテルの席でもなく、暗い客席に着目した2人の画家をご紹介しました。
ゴンザレスをご存知でしょうか。ゴンザレスは34歳で他界、その短いキャリアを通じて肖像画と室内装飾の絵画で際立っていました。

ルノワールは、いつもながら華やかに可愛らしく女性を魅力的に描き、第一回印象派展に出展、買い手もつき成功をおさめます。
同年、ゴンザレスのこの力強い作品は、伝統的なサロンでの入選を女性的でないと拒否されます。その時のサロンで入選したゴンザレスのもう一つの作品がこちらのパステル画です。(また改めて取り上げるので簡単に)
パステルは彼女のお気に入りの技法でした。美しいパールグレー、淡いピンク、白の色調は、師マネと共有するところです。

EVA GONZALES 1847-1883
La Matinée rose 1874

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