【中小企業の経営者・人事・総務の方向け】 就業規則であそぼう第2条 同一労働同一賃金とも関係するって?! 金曜の経営会議
おはようございます。lotterです。
記事をのぞいていただきありがとうございます。
厚生労働省の「モデル就業規則」をたたきに、就業規則を解説しているこのシリーズ。
第2条は適用範囲です。
今どきでナウい論点があるので、ぜひ最後までお付き合いください!
※わたしの仕事の関係上、見本条文は有料とさせていただいています。ごめんなさい。
(適用範囲)
第2条 この規則は、 株式会社の労働者に適用する。
2 パートタイム労働者の就業に関する事項については、別に定めるところによる。
3 前項については、別に定める規則に定めのない事項は、この規則を適用する。
厚生労働省「モデル就業規則」から抜粋です。
自社の従業員のこと労働者ってあんまり呼ばないですよね・・・ダサい。
前回の目的条文とは異なり、適用範囲の条文は、実務上も法律上も非常に重要な規定のひとつです。
ここにこだわらずしてどうする!
なぜなら、
①その規則が対象とする範囲を定めることは、規則にとって必須
→その規則が誰に向けて定められたものなのかは、規則が成り立つために絶対必要
②パート・アルバイト、定年後再雇用(嘱託)、契約社員などなど、区分けが複雑化している
→それぞれに専用のルールを設けておいた方がいい
からです。
特に②は、いわゆる同一労働同一賃金との関係でも極めて重要な対策となっています。
なぜなら、最高裁判決を含めたほとんどの裁判例で、
正社員と非正規社員の就業規則がはっきり
分かれていること
がキーポイントとなっているから。
この辺わたしの研究対象にかなり近いので、熱く語らせてください(ウザい・・・)!
1.同一労働同一賃金との関係
同一労働同一賃金は「正社員と非正規社員の格差を是正するルール」です。
その是正方法として、同一労働同一賃金ルールに違反する格差は「無効になる」ことになっています。
無効というのはその名の通り、その格差は「最初からなかったことになる」つまり、
「無」の状態になるということです。
例えば、正社員には賞与を支給しているが非正規社員には支給しておらず、その格差がルール違反だとされた場合。
この場合、「非正規社員に賞与を支給しない」という部分が無効、つまり無くなります。
ただ、「無くなるだけ」なので、
無くなった後どうするかまでは決められていません。
「賞与を支給しないが無くなる」
=
「正社員と同じ賞与を支給する」
にはならないということです。
なんだかとてもややこしいですが、こうなんです。
ただ、雇う側からすればその方がいいですよね。
同一労働同一賃金のルールには違反したかもしれないけど、正社員と全く同じにしなさいとは言われない。
賞与をどういう条件でいくら支給するかについて、まだ雇う側が決められるということですから。
しかし、それには例外があります。
「正社員と同じにしなさい」と言われてしまう場合があるということです。
それが、
無効になった部分について、正社員の就業規則を
適用するような設計になっている場合
です。どんな場合が考えられるかというと、
・非正規社員について別規程を設けていない場合
・非正規社員について別規程を設けているが、
別規程に書かれていないことは正社員の
就業規則に従うと書かれている場合
上の方はこんな感じです。
同一労働同一賃金違反になると、この条文の、「ただしパートタイマー等を除く」が削除されるイメージです。
そうなると、あら不思議。残った部分だけがパートタイマー等(というか全従業員)にも適用されるように読めてしまいますよね。
なので、賞与について正社員と同じになってしまうということが起こり得る。
下の例は、まさに、今回ご紹介した厚生労働省のモデル就業規則2項と3項に書かれていることです。
例えば、
となっている場合。この場合にパートタイマー用の就業規則にある「賞与は支給しない」という条文だけが
削除される。
削除されると、「賞与については決まりがない状態」=「別規程に書かれていない」状態になるため、
モデル就業規則でいえば2条3項が適用され、
「この規則を適用する」=「正社員と同じになる」
ということです。
どちらも可能性といえば可能性ですが、それがすなわちリスクです。
正規と非正規で労働条件が違うなら、就業規則もそれに合わせてぱっきり分けておく。
これが新しい時代のリスクヘッジです。
色々ちゃんとはっきりさせて、人的資源管理をやっていこう!ということですね。
なんとなくはNG。
2.見本条文
ということで、対案です。
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