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追悼:チック・コリア!

2021年2月9日、チック・コリアが79歳で逝去した。次の「ロサンゼルス・タイムズ」の記事によれば、最近見つかったガンのため急逝したそうだが、いかにも彼らしく、無駄な「間」を置かずに亡くなったように映る。

長年ジャズを聴いているが、チック・コリアは、最も好きなピアニストの一人である。彼のアルバムは、ほぼすべて持っているし、アメリカでも日本でもコンサートに行った。何度か会話を交わし、握手をして、何枚かのアルバムにサインも貰っている。

チックのピアノは、研ぎ澄まされているばかりでなく、奇想天外な動きがあり、しかも他に類を見ないリズムの躍動感がある。彼は、ジュリアード音楽院を卒業後、クロス・オーバー期のマイルス・デイビスのグループに入り、マイルスの指示でエレクトリック・ピアノを弾くようになった。チック自身、最初はエレクトリック・ピアノを嫌っていたそうだから、彼は、マイルスのおかげで新たな境地に到達したといえる。

Return to Forever

1972年に結成した『リターン・トゥ・フォーエヴァー』で、チックは、スタンリー・クラーク(ベース)、ジョー・ファレル(サックス・フルート)、アイアート・モレイラ(ドラム)、フローラ・プリム(ボーカル・パーカッション)と共に、ジャズの範疇を超えた「フュージョン」を誕生させた。

翌1973年のセカンド・アルバム『ライト・アズ・ア・フェザー』も、当時のジャズの概念を遥かに超えたサウンドといえる。

さらに、同じ1973年、チックがゲイリー・バートンと共に生み出した『クリスタル・サイレンス』は、通常のジャズでは想定外のピアノとヴィブラフォンのデュオ・セッションだが、実に音色が美しい。

上記3枚のアルバムからは、今聴いても50年前のものとは思えない斬新なセンスを感じる。1977年に制作された『スター・ウォーズ』(エピソード4:新たなる希望)が、今でも楽しめる映画であるのと同じ感覚といえる。

1977年の『コンプリート・コンサート』で「リターン・トゥ・フォーエヴァー」は、解散した。

斬新かつ自由で多彩な感覚

チックは、もちろん「即興(Improvisation)」を基盤とするジャズ・ミュージシャンだが、「リターン・トゥ・フォーエヴァー」以降はハードロックに変遷し、ソロやトリオでスタンダードを演奏したかと思えば、再びフリー・ジャズに戻ったり、ボサノバやクラシックとの共演も試みるという、既存の枠組みにまったく縛られない、斬新かつ自由で多彩な感覚を持っている。

彼について語り始めるとキリがないが、他にも私の好きなアルバムを何枚か挙げておこう。チックを知らない世代の読者にも、ぜひ聴いてみてほしい!きっと「斬新かつ自由で多彩な感覚」を味わっていただけるはずである。

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Thank you very much for your understanding and cooperation !!!