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読書人の雑誌『本』休刊!

講談社から、読書人の雑誌『本』の「最終号」が届いた。

講談社からのお知らせ 2020.10.24

講談社はこのたび、読書人の雑誌『本』を2020年11月25日発売の2020年12月号をもって休刊することを決定いたしましたのでお知らせいたします。

長年にわたって刊行してまいりましたPR誌でございますが、市場状況と今後の展望について慎重に検討を重ねた結果、今回の結論に達しました。

詳しくは最終号となる11月発売の『本』12月号をご覧ください。1976年1月の創刊以来『本』を支えていただいた読者の皆様、執筆していただいた皆様に心より感謝申し上げます。

『本』2020年12月号の最後のページには、編集長・丸山勝也氏の「ネットメディアを中心に情報発信のあり方が多様化し、書き手である著者と読者の皆様とを結ぶ接点が多岐にわたるようになりました。そのような状況で、紙媒体のPR誌としては一定の役割を終えたものとの判断に至りました」という言葉がある。

たしかに、新刊情報や著者情報、販売情報などを瞬時にネットで得られる時代となった現在、いわゆる「出版社PR誌」の役割は、限界に近づいているのかもしれない。最近では、分厚い内容を誇った『本の旅人』(KADOKAWA)が2019年7月号で休刊、『本の窓』(小学館)が2020年11月号で休刊してウェブ版に移行するなど、出版社が新たな方向を模索していることがわかる。

「通」の読書人とは、大きな書店に行ってレジカウンターの傍に置いてある出版各社のPR誌を無料で持ち帰り、多彩なエッセイや論文、著者インタビューや対談、連載小説やコミックに目を通すのが日課で、誰よりも出版業界に明るい読者だと言われたものである。彼らは、今も存在するのか? あるいは、すでにネットに移行して、ウェブ版で情報を得ているのだろうか?

著者サイドからすれば、『本』は、新刊に関する隠れたエピソードを読者に紹介したり、連載で時間をかけて後に新書化する原稿を熟成させることができる、非常にありがたい存在だった。これまでお世話になった編集長や編集者の顔が目に浮かぶ。この場を借りて『本』関係者各位に深く感謝し、「これまで45年間、お疲れさまでした」と申し上げたい!

思い起こせば、私は『本』に、新刊書籍に関するエッセイを4回、そして2019年6月号から2020年11月号までは「フォン・ノイマンの哲学」を18回にわたって連載させていただいた。

「ゲーデルの哲学」『本』(講談社)第19巻第8号, pp. 46-48, 1994. 8.
「ゲーデル・ウイルス・ゴン」『本』(講談社)第24巻第9号, pp. 17-19, 1999. 9.
「シンポジウム『理性の限界』の懇親会」『本』(講談社)第33巻第7号, pp. 41-43, 2008. 7.
「限界シリーズ完結!」『本』(講談社)第37巻第5号, pp. 54-56, 2012. 5.
「フォン・ノイマンの哲学」『本』(講談社)第44巻第6号~第45巻第11号, 2019. 6 - 2020. 11.

これらについては、note の記事や書籍として、改めて紹介していきたい。

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