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なぜ「新型コロナウイルス感染症対策分科会」尾身茂会長は無責任なのか!

2020年7月16日、参議院予算委員会において「新型コロナウイルス感染症への対処等」に関する集中審議が行われた。参考人として登場した東京大学先端科学技術研究センター名誉教授の児玉龍彦氏は、「極めて深刻な事態を迎えつつある東京のエピセンター化」について、国会議員に警告を発した。

この件については、8月7日の次の記事で詳しく分析した。その記事において、私は、次のように述べている。

ヨーロッパやアメリカに比べると重症者や死者が少ないことから、アジアでは新型コロナウイルスが「弱毒化」したという楽観説も見掛ける。しかし、逆に、夏の間に無症状感染者が広がって、冬には「強毒化」して手に負えなくなる可能性も考えておく必要があるだろう。進化論的に考えると、それこそが新型コロナウイルスの生存戦略かもしれないからだ。

いずれにしても、このような状況下で堂々と「GoToトラベルキャンペーン」を実施する日本政府には、呆れ果てるばかりである!

尾身茂会長の発言の矛盾

さて、児玉氏が国会議員に警告を発したのと同じ7月16日、「新型コロナウイルス感染症対策分科会」の尾身茂会長は、経団連フォーラムで講演し、「旅行自体が感染を起こすことはないですから。もしそんなことが起きていれば、今時日本中はもう感染者だらけですよ」と明言している。

改めてこの発言の映像を見ると、おそらく「GoTo トラベル」の推進を熱望する経済関係者が多かったであろう聴衆からは、笑い声が起こっている。尾身氏は、その後に開催された「新型コロナウイルス感染症対策分科会」で、政府の「GoTo トラベル」を全国規模で実施することに賛同した。

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ところが、その尾身氏が、本日12月6日のNHK番組では、突然「GoTo トラベルも含めて人々の動きと接触を短期間、集中的に減らすことが、今の感染を沈静化するために必須」だと述べたのである!

しかも彼は、無症状・軽症者が「まったく意図せず、感染拡大の重要な原因だとわかってきた」と、ようやく今になって語っているが、これは、すでに5カ月前の段階で児玉氏が警告していた内容である。

というか、夏から秋にかけての「GoTo トラベル」が冬に感染を拡大させることは、少し考えれば、誰にでも予測できることではないか? 尾身氏は、自分の過去の発言をどのように認識しているのか? 彼の「旅行自体に問題はない」という言い方は、あまりにも根拠がなく無責任な発言だったのではないか?

もちろん、新型コロナウイルスによって深刻な打撃を受けた日本の経済を立て直す必要があることはわかる。ただし、そのためには、多種多様な解決策が考えられてきた。仮にその中から「GoTo トラベル」や「GoTo イート」のような対策を選択するにしても、日本全国のどの地域でどの期間に推進すれば最も効率的に「感染拡大」を防げるか、それを「科学的」に政府に提言するのが「新型コロナウイルス感染症対策分科会」の仕事だったはずである。

そもそも尾身氏は、なぜ過去の自分の発言と完全に矛盾した発言ができるのか? 少なくとも自治医科大学名誉教授という「学者」である以上、過去の自分の発言を訂正するのであれば、その根拠となる科学的見解の変遷の理由を提示すべきではないか? あるいは彼は「厚生官僚」であり、もはや「科学」とは無縁の政治的見解だけに基づいて発言しているのだろうか?

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Thank you very much for your understanding and cooperation !!!