【初めてのフィンランド遠征】
株式会社コムニコの髙橋です!
私は、現在パラアルペンスキー競技に取り組んでおり、2026年に開催されます、ミラノ・コルティナダンペッツォパラリンピックの出場を目指し、日々トレーニングに励んでおります。
今シーズンは、多くの方々に支えていただき、競技を続けることができました。
大会では、TOYOTAワールドカップ2024北海道大会で、4年ぶり2度目となる、8位入賞。
ジャパンパラアルペンスキー大会で、3試合中、2試合を優勝することができました。
有難うございました。
過去の記事はこちらから
https://note.com/lmg/m/m249203f27954
今回は、健常者チームのフィンランドスキー合宿に参加してきましたので、その様子を書かせていただきます。
合流したチームは、長野県とヨーロッパを主に活動拠点にしているTGAです。代表の渡邊拓也さんが快く参加を認めてくださり、行くことが叶いました。
実は、健常者チームと遠征をともにしたのは高校1年生以来で、ついていけるか不安でいっぱいでしたが、参加者の中に同じ日体大卒の先輩や後輩がいたため、救いになりました。
↓今回参加した選手とコーチ
【フィンランド遠征出発前準備】
実は遠征の準備はとても大変でかなりの労力が必要です。
1台7㎏~8kgほどするスキー板を3本、その他スキーで使うプロテクターやブーツ、チューンナップなどに加え4日分の着替え等を入れ、スーツケース2個を持ってフィンランドに向かいました。
それらをパッキングするのも一苦労です💦
長年この作業を繰り返していますが、シーズン初めのパッキングが一番時間が掛かります。
飛行機に乗せるためには荷物の重さを23kgまでにしないといけないのですが、スキー板の重さは大体7㎏~8kgあり、スキー板だけでかなりの重量があるので他の荷物の調整がなかなか上手くいかず大変です。
(なかなかのカツカツさが理解いただけるかと思います。)
高速系(120㎞ほどのスピードで滑る種目)は、板が2m越えなので、それだけで超過料金を支払うことになります😭
島国である日本のスキーヤーにとって、これは大きな課題です。
5日間ほど掛けて荷物を詰めたらいざフィンランドへ出発です!
【フィンランドへ出発】
北欧への遠征は、人生2回目でした。前回は、21歳の時にパラアルペンスキーチームで、ノルウェーのリレハンメルに行きました。
今回は、一人旅で不安の中、無事飛行機に搭乗。
まずはフィンランドのヘルシンキ空港を目指します。大体13時間ほどの道のりです。
13時間座っているだけは本当に退屈ですよね笑
機内では、映画を見まくります。私は、映画を見るとき冒険はせずに、お気に入りの作品を何度も見ることにはまっています笑
たまに機内を歩くことで、エコノミー症候群の予防をし、快適な空の旅を満喫するのです。
13時間後・・・やっとヘルシンキ空港に到着しました!ここで、トランジットのためさらに15時間待ちます。
海外遠征は、忍耐力が必要だといつも思います。
せっかくなので、ヘルシンキ空港で見つけたさすがフィンランドと思った点をいくつか紹介します。
①サンタクロースがそこら中に飾られていた
フィンランドにはサンタクロース村があるからでしょうか、サンタクロースがたくさんいました
②ムーミンのショップがいたるところにあった。
フィンランド生まれのムーミン。現地の方々にもきっと親しまれているのでしょうね。
③スキーをしている人形が売られている。
さすが、真冬はほとんどのエリアが雪で覆われると言われるフィンランドですね。
良い社会勉強になりました。
さて話は戻り、15時間後、最終目的地であるノルウェーの「クーサモ」空港へ飛び立ちます。2時間のフライトです。
この時の記憶は疲れ過ぎてあまりありません笑
日本出発から実に30時間の道のりでした。
空港で拓也コーチが迎えてくれて宿まで直行。ぐっすり8時間寝て、旅の疲れを解消しました。
【翌日からフリースキー】
翌日から拓也さんの熱のこもった指導が始まりました。
「自分に足りていないところはどこか。」
「工夫できるところはどこなのか。」
拓也さんとコミュニケーションをとりながら、絡まった糸をほどくかのように解消していきます。
映像を確認し、また滑り、映像を確認してまた滑る。1本1本滑るうちに、できていなかったことが解消されていきます。
長いこと悩んでいた障害を持った右足のばたつきも、スタンスを狭める事や、首の傾きでみるみるよくなってきました。
人それぞれ、体つきが違い、使える部分も違います。使える部分を最大限に使用して、使えない部分を補う事が、何倍も何十倍も可能性を広げるのだと実感しました。
それを見抜くコーチの鋭い目、見抜く力は本当に助けになります。
余談ですが、東京大学の研究では、私のような脳性マヒのアスリートは、脳に損傷がある分、損傷がない脳のほうでそれをカバーし補う事で、健常者アスリートの人々よりも秀でた能力が必ずあるといった研究もあるそうです。
人間が窮地に立たされた時に発揮する謎の力もこれに近いのかもしれませんね。
【苦戦に苦戦を重ねたポール練習】
数日後、次のステップにうつりました。プラスチックの棒(ポール)を斜面に立て、その間を通る、より実践的なトレーニングが始まります。
氷の上にセットを立てるので、転ばないかひやひやしていました。
役割分担をして、皆それぞれ与えられた仕事をこなしていきます。
パラアルペンスキーチームでは、スタッフのみなさんにやってもらうので、なかなかセットを手伝うことがありませんでした。いつもやってもらっているという事が決して当たり前ではないのだと、ありがたさを実感しました。
パラで使用されているポールの太さは27㎜で、細いポールを使用していますが、健常者は30㎜で、太いポールを使用しているのが大きな違いです。
今まで、細いポールを使用していた分気づくことがなかったのですが、太いポールを使用すると体へのダメージは激しいです。
私の場合は、鎖骨のあたりでポールをなぎ倒し、最短なルートを通るよう訓練しているので、太いポールだとかなりの衝撃が一瞬で体に襲って来るのです。
速さを求めるために、痛みを伴うのは少し残酷ですね。
仲間の選手は、当たり前のように難しいコースを次々と攻略していきます。
バランス力や、コースアウトしないメンタルすべてを兼ね備える事の重要性を学ばせてもらい、1段階、2段階成長できたと思っています。
【この合宿で得られた事】
この合宿に参加してみて満足か満足ではないかと聞かれたら答えは、大満足です。
スキーの技術、滑走時間の確保、私生活をすべてスキーにつなげること、食生活、ミーティングの意義、スキーの手入れ方法等々。すべての点において、他の選手ははるか私の上をいっていました。
この遅れをどう取り戻していくか。これに気付くことができただけで合宿に来た意味があると思います。
9人と過ごしたかけがえのない3週間は、私のスキー人生において、大きなプラスになりました。
パラオリンピックである2026年まで残り2年。多くのことを吸収し、さらに成長できた姿を皆様にお見せしたいと思っています。
日本男子立位クラスからメダル獲得を!!
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