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理恵
2023年5月7日 18:10
<12>『行夢』と書かれた表札の下にあるインタアフォンを押すと、小柄な年配の女性がにこやかに出迎えた。サトコが女性に挨拶すると、部屋の中に案内された。マンションの一室で洋裁教室を営んでいるその女性の名はマアシャといった。マアシャは大手のアパレル会社のデザイン企画部で長年パタンナアとして働いた後、独立してこの洋裁教室を経営しているのだった。この教室を見つけたのはサトコの母親だった。サトコが祖母のミ
2021年2月19日 16:03
<10> 祖母の葬儀も終わり、四十九日法要も恙無く済んだ頃、季節は冬から春に変わり、サトコは短大二年生になっていた。周りの同級生は就職活動を始めている、自分もそろそろ行動しなければならないと、サトコはぼんやり考えていた。モトオとの交際は相変わらず続いていた。モトオとサトコは同じ飲食店でアルバイトとして働いていた。サトコは学生だが、モトオは正社員として就職しているわけではなくフリイタアであった。サ