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081. 外で調和するヨーロッパ、内で調和する日本|オーベルニュ編

bonsoir!🇫🇷 毎週金曜日更新のフランス滞在記をお届けします。

今日はちょっと硬めなタイトルですが(笑)、フランスに住んでみて感じた、日本との調和感の違いについて書いてみようと思います。



人生で最も印象にのこる宿(→)を後にした私たちは、Vic en Carladésヴィック・シュル・セールという美しい街へ向かった。車を走らせていると美しい空と山々に囲まれ教会を中心に広がった街があらわれた。ここはカントルーブ作曲のオーベルニュの歌の舞台だろうか。(カントルーブについてはこちらの記事↓)

残念ながら諸事情により車の中でカントルーブがかけられないので、頭の中でリピートさせながら、街の景観を見下ろしていると、ふと「日本とヨーロッパの調和って逆なんだな」と思い立った。

日本と違い、地震などの災害が少ないので古い建物が残っていることもあると思うのだけれど、ヨーロッパの街並みは色調が統一されていて美しい。

日本でも京都など歴史のある美観地区では色調制限が厳しく規定されているけれど、多くの街では、いろんな様式、色味の建物や看板がひしめき合っているような感じだ。看板一つとってもひらがなやカタカナ、漢字に英語と多くの要素がギュギュッと詰まっている。

ヨーロッパに旅行へ行って帰ってくるといつも「日本って賑やかな国だなぁ」と感じる。なんというか、コンテンツが多い。わたしが日本人だから受け取れる情報が多いっていうのももちろんあるとは思うのだけれど・・。

一方ヨーロッパの街並みは建物の形式や同じ色味がずらっと並んでいて、統一感がある。その建物の中が民家だったりお店だったりと、いろんな特色がある。そして、外側がそんな感じだからなのだろうか、家具やインテリア、日常生活用品はけっこう賑やかなデザインのものが多かったりする。

よく、北欧の国々でインテリアデザインが発達したのは、日照時間が短く家で過ごす時間が多いからだというけれど、そういうのもあるのかもしれない。フランスだって特に冬場なんてあっという間に暗くなってしまうから、建物の中だけでも明るい気分になれるようにという意識が働くのは自然なことなのかもしれない。

うーん、でも一番はコミュニティの中での調和感が全然違うからかもしれない。

日本では会社や家庭、コミュニティの中でとても強い調和が求められていて、「みんなと同じである」ことが良しとされる。

一方ヨーロッパでは、個を発揮することが求められて、「人と違うこと」が良しとされる。

鶏と卵かもしれないが、人間は中身で、その外見を覆うのが建物だとすると、日本は中で調和を求められて単調になりがちだから外で個性を発揮することで、ヨーロッパでは中で個性を発揮することを求められるから外では調和を取ることでバランスをとっているのかもしれない。

ああでもない、こうでもないと両者の違いを頭で回らせているうちに、前よりもちょっと日本とフランスの個性がはっきり見えてくる。熱量が自分の周囲に充満してきたので、車の窓を開けると、少し湿り気を帯びたオーベルニュの風が頬を撫でていった。

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