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【観劇感想】千穐楽 2023年 八月納涼歌舞伎 第三部 『新・水滸伝』

どうしても、もう一度観たくて千穐楽に行ってきました。


感想の前に、1度目の観劇感想の記事が306ビューと私の全記事の中で1番のアクセス数をたたき出しまして、拙い文章と個人的な感想に、色々な思いを抱かれたのではと思いますが、ありがとうございます。

歌舞伎を毎月観ている方、初めて観る方、さまざまだと思いますが、特に初めて観る方、観ようとする方が参考程度に読んで、少しでも歌舞伎に対する興味や歌舞伎観劇の雰囲気を感じていただけたら嬉しいです。

何故か昨年の納涼歌舞伎の記事も同じようなアクセス数でして、何が起きているのかさっぱり分からないという感じです。
弥次喜多は染五郎くんと團子くんでいずれ復活して欲しいなぁ。
とにもかくにも、読んでくださってありがとうございます。


それでは本題に参ります。

色々考えながら書いていたら、9月になってしまいました。

あらすじ、大まかなみどころについては、前記事に公式サイト「歌舞伎美人」のリンクを貼っていますので、そちらからどうぞ。

あと、イープラスのインタビュー記事のリンクも貼っておきます。



1階の右端ブロック16列からの眺め。まだ前に人が座っていない状態。

・感想

前回より更に良かった!!!!
行って良かった!!
南座公演は、すごくいい状態で公演されるのではと思います。
2度目の観劇となると、より話の内容が明確になります。
千穐楽というのもあるかもしれないけれど、幕が降りて客席が明るくなっても鳴り止まない拍手。私もずっと拍手してました。
再び幕が開くことはなかったけれど、みんな思ってることは同じだと思う!

(追記:演出も歌舞伎座と少し変わっているようです。観に行けてる方が羨ましい。)


隼人くんの林冲、前回に増して堂々としていて、澤瀉屋のスタイルを取り入れながらも、ご自身の林冲像を表現できていたんじゃないかなと感じました。
この何日間で何か掴んだんだろうと思います。
「先生 」と呼ばれるに相応しい、悪行は許さない確固たる信念を持った林冲だったと思います。

隼人くんが目標とする大先輩の雰囲気もなんかちょっとあったような気がしました。
言いすぎかな?でもそういう風格はあったと思うな。

チャンスをものにできた人だと思うし。
幼い頃から稽古の積み重ね、自身と向き合いながらひたすら精進しようとする人が掴めるんだなと感じました。

私、最近人生の新たな1歩を踏み出せるようなチャンスを、腐らずに鍛練してなかったせいでつかみ損ねたので。

あんまり褒めすぎると人をダメにするのかもしれないけど、お世辞じゃないし、風の噂程度に本人の耳に入って、より自信を持ってくれたらいいなと思う。


中車さんの晁蓋も、貫禄のある雰囲気が出てきたと感じました。

中車さん、思えば大変でしたよね。
いきなり降ってきた試練という感じで、3ヶ月とも全然違うタイプの役、しかも稽古期間は数日。歌舞伎の世界ではこれが当たり前とはいえ、2ヶ月間は主役だった訳で。。。

チャンスをものにできたかどうかはわかりませんが、歌舞伎に専念すると決めたそうなので、そういう覚悟から出る雰囲気なのかもしれないですね。


今回も王英&お夜叉コンビに笑わせていただきました。
そして王英と青華の恋の行方にまた涙しました。
王英が最高なんだわ。
それで、青華が可愛らしくて。
この2人のやり取りがちょっと『新版オグリ』を思い出すのと、2人のテーマ曲がまたいいんだなぁ。ほっこりします。

初演メンバーの姫虎笑三郎さん、青華笑也さん、王英猿弥さんは千穐楽ともなると余裕のある感じ。


猿紫さんはより生き生きとしていて、良かった。
笑野さんは初演からかどうか分からないけれど、猿紫さんと女形コンビで出ることが多かったけれど、笑野さんも台詞が多くあって良かった。

寿猿さんの登場、アバロピサロの時みたいな音つきでいい感じ。ほんの少しの登場なのに、存在感は大きい。みんなから愛されてる寿猿さん。これからも澤瀉屋を見守ってほしい。

全体を見ると、これがお弟子さん達にもちゃんと出番がある。という形なのかなと感じました。ちゃんとみんなに一言づつでも台詞があったように思います。
アクションチームはない人もいたかもしれない。でも、フラッグの立廻りとか素晴らしかった。
お弟子さん達みんな、演技が下手な人達じゃないんですよ。
(部屋子さんもみんな含めてお弟子さんと書いてます。)


それにしても、みんなよく走る。
新作とかスーパー歌舞伎は展開が早くて、更に今回は戦ってる場面が多いからかもだけど、ゆっくりしてる暇がないという印象。
1公演だけで体重落ちるそうだから、食べられる時に食べて、怪我のないように頑張ってほしいと思います。


すでに遠征の準備をされている方もいらっしゃるようなので、関西方面の方で迷っているようでしたら、行かれることをオススメします。

2日ほどトークショーもあるそうで、羨ましいです。

猿之助さんファンの中には、まだ落ち込んでいる方もいらっしゃるかもしれませんが、あの演出、音楽、しょっぱなからこれぞって感じで観て良かったと思えるはずです。そして少し前を向けると思います。


・そもそもの話

『新・水滸伝』の初演は、猿翁さんの病気療養中の公演で、猿翁さんが作られた二十一世紀歌舞伎組が演じ、林冲を現・右團次さんがされたそうです。
つまり、猿翁さんのご一門中心に上演された演目ということです。

四代目猿之助さんは歌舞伎の舞台、特に古典の演目は若手、いわゆる花形の世代がもらえる役の出番が少ないので、色々な演目に起用して、活躍の機会をつくっていたんですね。

特に新作やスーパー歌舞伎Ⅱはお役の表現についても個々の思いを尊重していたそうなので、その分実力が試されるというか。

ここで名前を覚えてもらうと、次に何かの演目に出る時に来てもらえる可能性は大いにあります。



・私個人の色々な思い


2度目の購入は結構悩みまして。
コロナ前の『新版オグリ』は2ヶ月公演だったし、自分の中の熱量もあって、4回ほど行ってたんです。
その前の『ワンピース』に至っては、原作を好きなのもあって再演も含めると結構行きました。

なので、何度も通うことについては特に抵抗はないのです。
ちびっこなので1等席が見やすいという点と、前回とちり席でめちゃめちゃ見やすかったという点が決断の邪魔をしていました。

自分が納得できる席をギリギリになって取れるだろうか。

でもよっっく考えてみたら、このスーパー歌舞伎スタイル(と言っていいのか分からないけれど)の演目をこれから先、この目で観ることはいつになるのだろうか?
あの事件があって、来月南座の公演までは決まっていたからできているけれど、今後どうなるんだろう?


コロナ禍での『日蓮―愛を知る鬼―』や『新・三国志 関羽篇』も好きな演目だった。
もちろん、他の古典も新作も。

そしたら、四の五の言わずに行くことが大事なのではないか?
この目に焼き付けておくことが大事なのでは?

ほいほい出せる金額ではないけれど、スイーツを買わないとか、大好きな洋服を買わないとか、ポイントが最大にお得の時に購入予定だったものとか、そういうものを控えれば行けるんじゃないのか?

『VIVANT』をリアタイするより、舞台に立ってる笑三郎さんを観ることが大事なんじやないのか?

何を大事にすべきか。

観劇した1週間ほどは満足感でいっぱいだったけど、だんだんそんな風に思えてきて、チケット購入しました。

空席があって良かったと言っていいのか分からないけれど、収容人数も多いし、もともと年齢層高めだし、事件もあったし、物価も高くなってるので、歌舞伎座で満員御礼はなかなか難しいかもですね。

座席からの見え方に対する料金設定が、場所によってちょっと不満を抱くような席もあることも要因になってそうだけど。

結果、端のほうだけどなんとか見られそうなお席を獲得できて良かった。
後ろのほうなので、時折双眼鏡でじっくり見させていただきました。
表情を見るのが目的だけど、衣装とかもすごく綺麗なので。


お夜叉いい人だよねぇ。
面倒見のいい感じとか、とても人を殺して肉饅頭にした人とは思えない(笑)

壱太郎さん、息が切れそうになりながら台詞言ってる時があって。
猿弥さんに「お前、息が切れそうになってんじゃねぇか!深呼吸、深呼吸!」「はい!もう一回!」
ってアドリブ入れてられて、ちょっと間違えて、また「深呼吸!」って言われてちゃんと言えるっていう展開がありました。
そのあと最後に「ちゃんと言えたわよっ!」
って言ってて。
もう可笑しくて可笑しくて。

青虎さんに「みずいろ!」とか言ってて、呆気にとられてる青虎さんが可笑しかった。

喉の調子が心配だと思ってたら、翌日に朗読劇に出演してて。
休まなくていいの?って思うけれど、いただけるお仕事はやったほうがいいしね。
歌舞伎俳優さん、すごい体力だよね。



王英もすごく優しい人。
あんなふうにまっすぐに想ってくれて、ちゃんと言葉にして伝えてくれる人最高だよねぇ。
一言一言が面白くもあり、心を動かすものでもあり、張りつめた話の中でほっこりパートを担ってくれる王英。猿弥さんだと安心感がある。さすが。
今回は「がんばる!」ってよく言ってたな。かわいかった。

そんな猿弥さん、ひっくり返る時にしっかり鬘おさえてました(笑)
あの時のは本当にハプニングだったんだねぇ。ハプニングをスルーせずにそのまま会話に組み込めるのは才能だと思う。

猿翁さんの貴重なものを見たと思わせろっていう教えがあるんだよね。
大事故は洒落にならないけれど、台詞間違えるとか、鬘がぶっとんじゃうとか、入れ歯が出ちゃうとか、そういうちょっとしたハプニングは演者さんによって面白い場面に変わることがある。
『VIVANT』の役は猿弥さんの魅力が半分くらいしか出てない役だったなぁ。惜しい!

猿弥さん、面白いだけじゃないんだけどね。

タイムキーパー的な役割も担っていて、アドリブも入れつつ違和感のないところで少し食いぎみに台詞を言ったりしていてて。

歌舞伎だと食いぎみに台詞を言うことはあまりないと思うけれど、結構正確に発表されている終了時間に終わることが多く、埼玉の田舎から来ていて電車の本数があまりない私や、遠征してくる方も予定を組めると思うので、とてもありがたいです。


で、笑也さんもしれっと面白いことができる人。笑三郎さんも。

この人達、スーパー歌舞伎や新作の千穐楽ともなると役によるけど、何かやってくれる人達。

笑也さん、王英がガッツポーズしてる横でピースしてた気がする(笑)

笑三郎さんも『新版オグリ』ではアドリブ入れて浅野さんとやり取りしてたなぁ。

そんな浅野さん、もうお馴染みになっちゃって、すっかり溶け込んでる気がする。
今回は嫌な奴だけだったけれど。
これからも時折参加してくれないかなって思う。
嘉島さんも、アクションチームの皆さんも。


下村青さんと市瀬さんも定期的に参加してくれてて、この2人も猿之助ファンからは気に入られてる。

高校時代、青さんの四季の舞台映像(NHKのBSで放送してた時があった)をファンの友達から借りて見ていたので知ってたので、スーパー歌舞伎に参加された時はびっくりしたし、その為にわざわざ遠征した。
人生で1度だけの遠征。


今回の舞台を観て、歌舞伎俳優以外の方々も魅力的だけれど、澤瀉屋一門、他の家の方だけでも十分にできたんじゃないかなとも思った。
他所の人を入れすぎたというか。
そういうところから少しずつ不満はあったのではと思ってしまう。

とにかく澤瀉屋はいきなりお頭を失って、残りの3ヶ月を司令塔も担ってたお頭抜きでやらなきゃならなくなった訳で。
古典も復活演目もあって、この人の細かいプランも分からないまま、稽古期間も短いのに、みんなで必死に駆け抜けてきたんだと思います。『新・水滸伝』は初演メンバーがいるとはいえ、不安なところもあったと思う。
誰かが引っ張らなければいけない。それはもう現時点では中車さんしかいない。
いつまでも宙ぶらりんな状態ではいられないし、残された一門のみんながかわいそうだ。
何がなんでもやってもらわなきゃならない。
そして、團子くんに継いでもらいたい。


ふと思ったのだけど、鬼滅もできるんじゃないかな。
横内さん杉原さんに脚本演出を任せれば、スーパー歌舞伎の要素のあるものにできそうだし。求めるのがスーパー歌舞伎だったとしたらね。
出演してくれる人は若手中心に沢山いると思うけれど。

もう私は四代目猿之助さんが表舞台に戻ってくることは諦めた。そうしてあげたほうがいいんじゃないかなとも思う。
まだファンクラブは辞めてないんだけどね。

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