「学習指導⑨自らの学習を調整する」とは
観点別学習状況評価の観点の一つである、「主体的に学習に取り組む態度」。
「児童生徒の学習評価の在り方について(報告)」 (中央教育審議会 初等中等教育分科会 教育課程部会)において,
この「主体的に学習に取り組む態度」には、学習に対して粘り強く取り組んでいるかという側面と、自らの学習を調整しようとしているかという側面があるとされています。
前回の続きで,今回は「自らの学習を調整しようとする」姿とは何か考えてみました^ ^
同「児童生徒の学習評価の在り方について(報告)」には,自らの学習を調整しようとする姿について,
「知識及び技能を獲得したり、思考力、判断力、表現力等を身に付けたりするために、自らの学習状況を把握し、学習の進め方について試行錯誤するなど自らの学習を調整しながら、学ぼうとしているかどうかという意思的な側面を評価することが重要である。」
と記載されています。
また,その評価にあたっては,
「児童 生徒が自らの理解の状況を振り返ることができるような発問の工夫をしたり、 自らの考えを記述したり話し合ったりする場面、他者との協働を通じて自ら の考えを相対化する場面を単元や題材などの内容のまとまりの中で設けたりするなど、『主体的・対話的で深い学び』の視点からの授業改善を図る中で、 適切に評価できるようにしていくことが重要である。」
と述べられています。
〇振り返りの重要性
学びを振り返ることで初めて,自分の置かれている状況や,自分に身に付いている知識・技能,現在の思考の在り方について頭の中を整理することができると思います。
教師は,子どもが自分の学びの状況を振り返ることができるような振り返りをさせる必要が出てくると思います。
・本時や単元の内容への理解度,定着度の振り返り
・自分の学び方,学習の進め方についての振り返り
・身に付いた力や成長したこと
・他者との協働で感じたこと
・新たな疑問や学んでいきたいこと
などが考えらるのではないでしょうか。
〇書く,対話することでの相対化
子どもが自分の考えを書くことで,自分の思考についてより深く理解したり,足りない部分に気付いたりすることができます。
そして,他者と対話をすることで,上記のことに加えて,自分にはない考えにも触れて,考えを変容させたり,より高度なものにしたいったりすることができます。
そのような過程によって,自分の身に付けていた知識・技能は十分なものであったのかどうか,思考は正しかったのかどうかなどに向き合うことができるのだと思います。
少し前の自分と現在の自分とを相対化したり,自分と他者とを相対化することで,自分の学びの状況を見出そうとすることになります。
〇試行錯誤
自分の学びの状況を把握したら,それを改善するために,試行錯誤することの必要性が述べられています。
知識・技能の習得が十分でなかったとき,自分の思考の足りない部分が明らかになったときに,それを満たすためにどのような方法を取ればよいか考え,行動し,うまくいかなかったらまた改善しようとする姿勢を教師は見取る必要があります。
「主体的に学習に取り組む態度」の,学習に対して粘り強く取り組んでいるかという側面と、自らの学習を調整しようとしているかという側面は,互いに関わり合って表れるものであるとされています。
どちらの子どもの姿や評価の在り方も教師が理解して,指導と評価にあたりたいと思います。
今日も心に余裕をもっていきましょう^ ^