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男性が1年間育休取って人生観変わった話⑥―2

こんにちは!エルザスです。

この記事では「男性が長期の育休取得を決断するためのマインドセット」を紹介しています。前回は育休期間中の収入減について書きました。
会社が数百万円の年収で買ってくれていた自分の人生の時間を、手取りの3割で買い戻せるのが育休だ」というのがエッセンスでしたね。

前回の記事はこちら↓


今回は育休終了後の収入減について考えていきたいと思います。
例えば、育休によって出世が遅れたら、仕事をやめるまでに高い給料をもらえる期間が短くなるので生涯年収は下押しされますよね。それに退職金も目減りするかもしれません。そういう生涯ベースでの収入減をどう捉えるべきか。

実は、そんなことは怖くないんです。なぜなら、多くの人は資産を使い切れずに死んでいくからです

マインドセット4.「ゼロで死ね!」

人生を充実させるのは資産残高ではなく、
その時々に相応しい経験である


今回はこの本の内容の紹介みたいになっちゃいます。

内容を要約するとこんな感じです。

  1. 人生を充実させるのは多額の資産ではなく、その時々に相応しい経験である。

  2. 経験から得られる価値は、時間の経過と共に高まっていく(記憶の配当)。思い出はより美しくなり、懐かしい旧友に会いたくなったりして新たな経験にもつながっていく。

  3. 人はアリとキリギリスの生き方の間でバランスを取る必要があるが、一般的に言えば、我々は喜びを先送りし過ぎている。

  4. ほとんどの人が死ぬ時にそれなりの資産を遺している。使い切れずに終わる資産を稼ぐために必要以上に働くのはやめるべき。

  5. 資産は自分の人生の時間を労働に費やして得たもの。それを残して死ぬのは貴重な人生の時間を無駄することに等しい。

  6. 若い時から健康に投資し、老後に必要な生活費をなるべく正確に見積もって備えをし(投資による資産形成に加えて、想定外に長生きした時に生活費を保障してくれる長寿保険というものもある)、生前贈与で相続を済ませたら、残りは経験に投資すべき。

  7. 健康と時間はお金より遥かに貴重。

  8. 病院で後期高齢者に聞いた後悔の2トップは、「自分のやりたいことに忠実でなかったこと」と「働き過ぎたこと」。

  9. 若い時の失敗には挽回の時間が豊富にある。リスクを取るなら若いうちに取るべき。


私がこの本を読んで学んだことは2つあります。

1つめは、「合理的に老後の備えをしておきさえすれば、闇雲に貯金を積み上げていく必要はない」ということです。
人間は一生働き続けられるわけではないので、現役時代に老後への備えとして資産を蓄えておくことは合理的です。問題は、「老後への備えとして」蓄えてきたはずの資産が、実際には老後にもあまり取り崩されないまま、その人が死を迎えているということです。

データを見てみましょう。先ほどの本ではアメリカのデータが紹介されているのですが、ここでは日本の金融広報中央委員が行った調査をご紹介します。

株式などの金融資産を保有している世帯のデータをみると、

  • 世帯主が60歳代の世帯の資産残高の中央値:1,200万円

  • 世帯主が70歳代の世帯の資産残高の中央値:1,100万円

となっており、60歳代から70歳代にかけてわずか100万円しか資産が取り崩されていないことが示唆されます。これは、収入面では年金や株式の配当などのキャッシュインがある一方、老後は様々なことへの興味関心が薄れて消費(キャッシュアウト)が減ることが原因のようです。この取り崩しペースであれば、100歳まで生きても800万円も資産が残ることになります。
この800万円をなるべくゼロに近づけて死のう、というのが『DIE WITH ZERO』の主張です。
「子供に資産を遺さないなんてひどい!」という反応が返ってきそうですが、筆者は即座に反論します。「子供に資産を譲ることは素晴らしい。なら、なにも自分が死ぬときまでそれを先延ばしにすることはない。平均寿命が延びているので、自分が死ぬ時子供も既に老齢になっている可能性が高い。お金の需要期のピークを過ぎてしまっている」と。その通りですね。

ゼロで死ぬことを目指すなら、将来必要になる資産は、私が漠然と思っていたよりずっと少なくて良いはずです。筆者はそのぶん労働時間をセーブして貴重な経験を積むことを勧めているわけですが、私の育休取得はまさにそれ当てはまっていたわけです。
まあ、この本を読んだのは実は最近のことなので、育休取得前にはそこまで考えていませんでしたが笑


『DIE WITH ZERO』から学んだことのもう1つは、「私が1年間の育休で得られた経験は、これから『記憶の配当』によってさらに価値を高めていく」ということです。
神様が「1千万円あげるから育休の記憶を消せ」と私に言ったとしても、私はその申し出を拒否します。そう断言できるくらい、育休を取った経験は今の時点でも私にとって最高の価値を持っていますが、その価値は今後さらに高まっていくはずなのです。将来的な収入を引き換えにしてでも、1年間の育休を取って本当に良かったと心から思います。

いかがでしたか?
限られた人生の時間は、労働を通じた資産の積み上げにではなく、今このときにしかできない経験のために使うべき
この記事で紹介した『DIE WITH ZERO』の発想が、皆さんの育休取得を後押ししてくれれば嬉しいです。

ではまた!

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