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仏典の生き物は替え玉だらけ? 〜ニモはカクレクマノミじゃない〜

ディズニーキャラのニモのモデルはクラウンアネモネフィッシュですが、日本ではカクレクマノミとして定着しています。

このことについては私が色々書いてみるより、素晴らしいブログがあるので、ご紹介させていただきます。


さて、自国に分布してない生物を似た生物で代替する例は仏教にもあって、インド原産でクワ科の菩提樹は、葉の形が似ている中国原産のシナノキというの木に置き換えられて日本に伝来。

釈尊入滅のエピソードに出てくる沙羅の木も、元は、フタバガキ科サラノキ属の落葉高木のことですが、この木も温暖な地域でしか育たないため、中国や日本では、ツバキ科のナツツバキを沙羅の木としています。

また、認知している既存の生物への置き換えではなく、僅かな手掛かりから想像逞しくするという例もあります。ライオンが唐獅子というニューデザインを付与されたのはこれです。

まぁ、生き物の置き換えだけじゃなくて、そもそも仏教史的に東漸の仏教思想自体「格義」されたものだし、以心伝心や瀉瓶ではない仏教の布教は、法を継ぐという観点からすれば不純で夾雑。

※東漸…とうぜん…勢力が東の方へ次第に伝わり広まること。「仏教がシルクロードを通って東漸する」
※格義…かくぎ…中国仏教の術語で、ある基準に照らし、比較して、ことばの意味(義)を推量(格=はかる)すること。__中略__即ち、外来の思想である仏教を、もともと中国にある思想や言葉を借用して理解すること
※瀉瓶…しゃびょう…一つのつぼから他のつぼへ水をそそぎ移す様子から、師から弟子へ仏の教えの奥義をあますところなく伝授するという意味の仏教語

そもそも真実が人間に感得されるには、「離言真如(※言語活動を超えた真実。不立文字)」から「依言真如(※言語活動に依拠している真実)」への変換があるわけで、伝播における元ネタの完全保全なんて、どんなことにしたって有り得ないのかもしれません。


ちなみに、『西遊記』の沙悟浄(シャウージン)は、日本では河童(カッパ)と言われたりしますが、元は、「深沙神」という鬼神がモデルであり、それもまた揚子江河イルカや揚子江ワニがモデルだという説もあります。

余談ですが、日本を代表する漫画『DRAGON BALL』は『西遊記』が元ネタ。

主人公はそのまま孫悟空。
如意棒も筋斗雲も出てきます。

猪八戒に当たるのがウーロン。
原作の猪八戒は女癖が悪いですが、ウーロンも女の子好きです。

じゃあ、沙悟浄は誰に該当するのでしょう。

答えはヤムチャです。

ヤムチャ初登場のアニメタイトルは「つよくて悪い砂漠のヤムチャ」。深沙神の特徴がうかがえますね。

閑話休題。

芸術作品などでもそうですが、作者のメッセージ100%をそのまま伝えるのは無理な話で、ある程度は受け取り側に委ねてコンバージョンされるもの。

しかし、その余地の幅が、原作をかえって豊かにするわけでもあります。


私の記事も、私の思惑を超えて、皆さんの領域で、皆さんの読みほどき方によって、原石がダイヤになってくれたなら望外の幸せです。

2023年1月8日


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