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大学院生が「超一流の雑談力」を読んだ感想

概要・所感
本書は相手の懐に入り込む「雑談力」を戦略的に身につけることを目的としたハウツー本である。経験則や個人の資質によるとされている「コミュニケーション」もとい雑談力を一般化・抽象化し個人が実践できるレベルにまで落とし込んでいる。シッシと煙たがられる営業マンなど、ビジネスでの実践を想定している。短時間で相手に好印象を残す「人たらし」の技術を多く紹介しており、本当に雑談を苦手とする、いわゆる「コミュ障」といわれてしまう人たちにも寄り添う「再現性ある」内容だと感じた。

学び
・一流の雑談力には「一流の観察眼」が必要
まず、相手の興味が深い話題や展開が見込める話題を判断しなければならない。そのためには、会話を俯瞰する視点や相手のステータスや感情の動きを感じ取る観察眼が重要であると感じた。また、相手が褒めて欲しい「こだわりポイント」を見抜き、くすぐることが距離を詰める有効な手段であるとあった(なにか特別なことされてるんですか?思い入れやこだわりがおありなんですか?)。さらに、TPOをわきまえ、くだけてよい部分と引き締める部分の硬軟を意識する必要がある。雑談で相手の心を掴む上で、会話を俯瞰し、適切な言葉を選択する力が、雑談力の基礎にあると感じた。

・雑談の内容でなく、周辺的要素が重要
観察からくる適切な雑談の内容だけでなく、相手に与える印象も意識する必要がある。これはうなずき方や声のトーン(ファかソ)、歯を大きく(6本)見せて話す表情など。特に効果的だと感じたのは相手を褒める際、視線をわざと外し「ためになったなあ」など、思わず本音をこぼす感じにいうことだ。小手先の技術で相手を騙そうという姿勢を持てば、小賢しい印象を与えかねないが、心から思ったことを同じように言うのであればこうした周辺的要素を確実に実行するメリットは大きい。その他、話のオチ(ゴール)を意識する、一文一文を簡潔にリズムよく話すなど意識したい。

・物腰の柔らかさや上品さを醸し出す
上品さを欠かさないことが好感が持てる雑談に必須であろう。TPOにあった正しい言葉遣い、素直さを感じさせる「ちょいモリ表現」やオノマトペの使用も親しみやすい人柄を演出するのに大事である。クッション言葉や褒め言葉の「さしすせそ」も全てここに帰結する。あからさまな営業言葉を発するのでなく、打ち解けた雑談から自然な流れで商談に持ち込むことが推奨されていたのも上品さのためではないかと感じた。

今後に向けて
・観察眼を養う
まずは相手の興味がどこにあるかを考える癖をつける。例えば出身や仕事内容、趣味や服装など、むこうの興味を測るとともに、こだわりポイントを探る癖をつけたい。

・雑談に実直に取り組む
雑談の内容や教えてもらったこと(オススメを聞く)、誕生日などを把握し、メモに残す癖をつけたい。また、相手を騙そうとするのでなく、なるべく本心で接することを意識したい。本音こぼしや褒め言葉のさしすせそも本心から使うことが、翻って謙虚に学ぶ姿勢につながるのではないか。

・周辺的要素を確実に実行する
声のトーンや明るい表情はもとより、適切で違和感のない言葉使いを習得したい。また、フォロワーシップ満載な関心する言葉を恥ずかしがらずに表明することも意識していきたい。

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