短編小説5

朝、起きたら蛙になっていた。
鏡を見たら蛙になっていた。最悪だ。
顔も手も全身蛙だ。背丈だけは変わってなさそう。
多分これは夢である。普通の人間が蛙になるわけがない。となれば、この状況を目覚める前に楽しむべきなのかもしれない。しかし我慢ならない、早く目覚めて欲しい。
僕は蛙が大嫌いだ。小さな頃、友達と蛙を潰して遊んでいたからだ。今でもあの時の手の感触や、内臓が飛び出してるあのグロい絵。思い出しただけで吐きそうになる。なぜ子供の頃はあんなことを何も感じずできたのだろう。今でも不思議だ。

まだ目が醒めない。手がぬるぬるしている。気持ち悪い。蛙が壁に張り付いているのを見たことがある。今の僕も張り付けるのか。試してみる。壁の前に立って、右の手を壁につけて、次に左の手を壁につける。壁にくっついた。次に、右足を壁につけてみる。左手も行けそうだから左手もくっつけてみる。張り付けてしまった。これって結構便利なのでは。

次にジャンプをしてみようと思う。幸いうちの家の天井は少し高い。精一杯ジャンプしてみた。
ものすごく勢いよくジャンプしてしまった。
痛ァッ。
天井を突き抜けてしまった。
頭に何かが突き刺さってる。
痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い

そのまま、蛙は亡くなってしまったとさ。


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