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建築の設計をやっています

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最近の記事

築40年以上の家は危ないのか

よく知られている話かもしれませんが建物の耐震基準には大きく分けて3つの変遷がありました。 ~1981年 いわゆる旧耐震というやつです。確認申請と竣工のずれを考えると築40年以上ものですかね。震度6強で倒壊する可能性があります。調査を待つ必要がありますが能登半島地震で倒壊した建物の多くは旧耐震基準で建てられた建物の可能性が高いです。 1981年~2000年 これが新耐震と言われているものです。震度7程度でも倒壊しないように定められた基準です。築40年~築20年程度のもの

    • 住宅はギャラリーとして残るか / 粟津邸

      京都駅の設計で有名な建築家、原広司が設計したグラフィックデザイナー粟津潔の住宅がギャラリーとして一般公開されています。 場所は神奈川県川崎市。駅として小田急線よみうりランド駅から徒歩15分くらいのところにあります。 外より中の方が明るいという謎の空間体験。 帰り道にあったかっこいいやつ 住み手のいなくなった名作住宅をギャラリーとして使いなおすというのはいい使い方かもなと思いました。 普通のマンションだったり戸建てだとこういう形での再利用は難しいですからね。

      • テート美術館展 光

        乃木坂の国立新美術館で10月2日まで開催中のテート美術館展に行ってきました。光をテーマにしたアートを集めたような感じです。大阪でもやるらしい。 ロンドンにあるテート美術館展からの提供ということもありイギリスの作家が多かったです。 展示としてはシンプルに時系列順に作品を展示してありました。 正直19世紀の油絵を見てもなんとも思わない感性なので展示の最初の方は結構退屈でした。 なかなか良かった。ミレイだったりミレーの人。 有名な奴だとオフィーリアを描いた人。 ハリエニシダは常

        • 下書き供養 10選

          お盆も控えているということでもう世に出ることのないであろう下書き達の供養でもしようかと思います。 読みたいものがあったら教えて下さい。お盆の時期に煙となって夜中枕元に立ってお話します。(なんで?) ・ITエンジニアの嫌いなところ ITエンジニアに対して謎の反発心があります。嫌いなところを端的に言うと「人生を足し算で考えているところ」なんですが一体誰が読むんだろうかと考え辞めました。あと稼ぎすぎだろエンジニア。 ・森の中で穴を掘りたい これは森の中で穴を掘る欲求を持つ人向け

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          「君たちはどう生きるか」人生の最後に何を作るか

          映画監督という職業は人生の最後に何を作るのかが明快に自覚できるクリエイターであります。建築家などもそうですが作品一つ作るのに莫大なお金と時間がかかるため(世界的な作家になればなるほど)作品一つ一つの区切りというのは大きいものです。 押井守が映画監督の勝利条件に「映画を作り続けること」を挙げていました。作品を作り続けることができる、それが映画監督の勝利条件なのだとしたら宮崎駿は勝利したということでしょうか? 天才監督とその仲間たちをもってしても北米、日本を除く世界各国にNETF

          「君たちはどう生きるか」人生の最後に何を作るか

          ヘザウィック・スタジオ展:共感する建築

          六本木ヒルズの52階にある森美術館で開催しているヘザウィック・スタジオ展に行ってきました。 よく漫画家の展覧会をやっていたり集客に割り切った企画が多い中、不動産デベロッパーである森ビルの意向もあるのか建築系のかなりお金のかかったちゃんとしている展示をしていることでも有名です。 今回も現在建設中である麻布台ヒルズの低層部デザインをヘザウィックスタジオが担当しているということで宣伝的な側面もある展覧会です。 人はなぜか高いところにのぼると写真をとってしまう。 東京は雨が似合う

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          江戸東京たてもの園

          世の中にはたてもの園なるものがあります。 名の通り歴史的な建物がたくさんある場所です。 生田緑地にある日本民家園や小金井公園にある江戸東京たてもの園などが有名でしょうか。 たてもの園のある小金井公園は面積の広さだけで言えば都内でも5指に入るくらい大きい公園です。 宇宙人の読者のために説明すると皇居から左に大きい緑を数えて6個目くらいのところです。そこにあります。 入場料は400円。 近年の美術館・博物館が平気で2000円近くとってくることを考えると良心的に思える。 中に

          江戸東京たてもの園

          唯一無二の空間体験「KAIT広場」

          建築の設計を仕事としていることもあり、いろいろな建築を見学に行っていますが感動する建築に出会えることはそれほど多くないものです。 みなさんは最近感動してますか? 私はいま28歳なのですが生きていくしんどさみたいなものは薄まってきましたがその代償なのか感動することも少なくなってきました。 生活の質は上がっていくのに経験の質が下がっていってるような気がしています。 神奈川県厚木市にある神奈川工科大学の敷地内にある「KAIT工房」「KAIT広場」に行ってきました。 神奈川工科大

          唯一無二の空間体験「KAIT広場」

          東京都23区、図書館の蔵書検索 レオパルディが読める自治体を探せ!

          みなさんこんばんは。 寒いのでお布団の中で記事を書いています。なんだか昭和の文豪みたいな気分です。 昭和の文豪が火鉢を抱いて作品を書いていたように私はおまえらの魂を腕でぎゅっと抱きしめながら記事を書いています。(なんで?) 今年は所有物を増やさない年にしようと考えているので本は図書館で借りて読むよう心がけています。お金も貯まります。そもそも読みたい本が中古しかなかったりもします。定価以上で博打打ちたくないわよ。 最近本読みの間で流行ってるでお馴染みのベケットからレオパルデ

          東京都23区、図書館の蔵書検索 レオパルディが読める自治体を探せ!

          ゴジラの背中?「荒崎海岸」に泊まってきた

          神奈川県のはしっこ、三浦半島にある荒崎海岸に行ってきました。 横浜から京急で60分とバスで15分くらい。 新宿から湘南新宿ラインで逗子までいってバスを2本乗り継げば着きます。湘南新宿ラインはグリーン車に乗れるのでお金に余裕のある方は後者をおすすめします。 荒崎海岸を一体とした公園の中に立っている旅館「荒崎海音 さがみや」さんに泊まってきました。 京急三崎口で降りてバスに乗りました。 バスの終点荒崎で降ります。 5分くらい歩くと宿につきます。 空にはトンビがたくさんいて港

          ゴジラの背中?「荒崎海岸」に泊まってきた

          稲垣吾郎 主演「窓辺にて」病めるとき、人は河原に石を拾いにいくとよい

          稲垣吾郎主演・今泉力哉監督の映画「窓辺にて」を見てきました。 稲垣吾郎が演技なのか素なのかわからないくらいぴったりなキャラクターだった。たぶん素なんじゃないのかなと思うんですが(違ったら演技力がすごい)これが稲垣吾郎か~となる。 稲垣吾郎の素なのか演技なのかわからなさがこの作品のテーマでもある(と思われる)人間性とはなんなのか、感情とは何かということへのキャスティング的な回答になっているように感じる。 わからないものをわからないものとして(解釈を遠ざけ)心の中に持ってお

          稲垣吾郎 主演「窓辺にて」病めるとき、人は河原に石を拾いにいくとよい

          東京都庭園美術館に行ってきたよー

          東京都港区にある美術館、東京都庭園美術館に行ってきました。 え、底辺美術館?(難聴) 最寄りは目黒駅。 昭和天皇の妻、香淳皇后の叔父夫婦(朝香宮)の邸宅だったものを戦後吉田茂が総理大臣公邸として利用した後色々あって美術館になった。 2014年末まで大規模改修をしており今の別館、レストランなどが整備されたのが2018年なので美術館としてはかなり新しい部類かもしれない。 建物は朝香宮夫婦がフランスにいた影響でアールデコ様式となっている。 アール・ヌーヴォーの方が知名度があるの

          東京都庭園美術館に行ってきたよー

          筋トレをするとなぜ痩せるのか、心理的考察

          皆さんは筋トレしてますか? 私は勉強の合間に腕立て伏せとか腹筋ローラーとかやってます。 痩せたいなら筋トレするといいよ!なんて言う人がけっこういますよね。 大きな派閥です。 単純な消費カロリーだけを考えると無酸素運動だけで痩せようなんて変な話ですよね。筋肉が増えたところで代謝も大して上がりません。 消費するカロリーだけを考えるなら、水泳とかHIIT(高強度インターバルトレーニング)をするのが良い気がします。 しかしなぜ痩せるなら筋トレ派がけっこうな数いるのか。 実際に筋ト

          筋トレをするとなぜ痩せるのか、心理的考察

          己の癖を考えると面白いかもしれない話

          みなさんに癖はありますか? 最近気づいた私の癖は喜んでる人や興奮している人をつい見てしまうということです。 顔の表情がまったく動かないことから、高校時代の渾名は「ロボット」でした。 美大受験のための予備校で裸婦デッサンの講習で私の描いた裸婦はなぜかカクカクしていました。(なぜでしょうか?) 競馬の実況を見ていてもレースの内容より現地のおじさん達の放つ怒号、喜びの咆哮に注意が向きます。 スポーツの試合でもプレイの合間に映るファンの喜怒哀楽に目が向きます。 アートを見ていて

          己の癖を考えると面白いかもしれない話

          好きな一節 /ヴァージニア・ウルフ「灯台へ」

          家族と知人を招いた晩餐の場面。 夫人は自分の子供が盛った果物皿を見ている。 盛られた果物と果物の連なりに、心を奪われる夫人。 しかしその見事な均衡は果物皿から梨が一つ減ったことで崩れる。 果物の盛り付けを行った自分の子供(女の子)に対して子供の成長と妙な感覚をおぼえる夫人。 何気ない光景に美しさを見出す感受性と、ふとした瞬間に感じる子供の成長が合わさった場面。 初めて読んだ時に、人間てのはこれだけ心の機微を捉えた文章が書けるんだなと思った一節。

          好きな一節 /ヴァージニア・ウルフ「灯台へ」

          絵の上手すぎる人/「ゲルハルト・リヒター展」東京国立近代美術館

          皇居近くにあるでお馴染みの東京国立近代美術館で開催中の「ゲルハルト・リヒター展」に行ってきました。 ドイツ人🇩🇪の90歳になるパワフル抽象絵画アーティストことゲルハルト・リヒターさんの大規模個展。 東では近美、西では豊田市美術館での巡回を予定しているそう。 ゲルハルト・リヒター、ポーラ美術館が数年前に30億で作品を落札したことでも有名かもしれない。 現代抽象絵画の大巨匠です。 みんなが想像する抽象画がいっぱい展示してある。 ほとんど油絵。 ナイフで切り落として滑らかで

          絵の上手すぎる人/「ゲルハルト・リヒター展」東京国立近代美術館