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唯一無二の空間体験「KAIT広場」

建築の設計を仕事としていることもあり、いろいろな建築を見学に行っていますが感動する建築に出会えることはそれほど多くないものです。

みなさんは最近感動してますか?
私はいま28歳なのですが生きていくしんどさみたいなものは薄まってきましたがその代償なのか感動することも少なくなってきました。
生活の質は上がっていくのに経験の質が下がっていってるような気がしています。

ぱさぱさに乾いてゆく心を
ひとのせいにはするな
みずから水やりを怠っておいて

気難しくなってきたのを
友人のせいにはするな
しなやかさを失ったのはどちらなのか

苛立つのを
近親のせいにはするな
なにもかも下手だったのはわたくし

初心消えかかるのを
暮らしのせいにはするな
そもそもが ひよわな志にすぎなかった

駄目なことの一切を
時代のせいにはするな
わずかに光る尊厳の放棄

自分の感受性くらい
自分で守れ
ばかものよ

茨木のり子「自分の感受性くらい」

神奈川県厚木市にある神奈川工科大学の敷地内にある「KAIT工房」「KAIT広場」に行ってきました。
神奈川工科大はマルハニチロ資本の大学らしい。
設計者は石上純也建築設計事務所。知名度の割に実作の少ない建築家というイメージがあります。

KAIT工房

周囲のアスファルトが残念
入口
天井がきれい
たぶんオリジナルの家具
カーテンは成長期の中学生をイメージしてデザインしたので丈が足りないのでしょうか
いい感じの雑然さ
柱周りのクラックを確認
そんなにひどくない
糞みたいな角度の写真
謝らないよ
汚めな床点検口
後打ちなんでしょうか
かわいい手洗い
ローデスク?
使いにくそう
電気工作デスク
いいねー
梁せいの中で照明や配管が納まってる
梁の高さ方向の寸法のことを「せい」といいます
使っていこうな
斜めに設置された床置エアコン。
古い診療所にありそうな薄いブルーのベンチソファ。
タイヤが四つ付いたアナログ式の体重計。
柱が密に並びながら謎のカーテンが宙づりになってる。

柱が不規則に立ち並びながら設備や家具とかのオブジェクトと関係しているのが面白い。

引き戸
将来は植物園にしようよ(勝手な要望)

KAIT広場

薄い鉄板の屋根で覆われた空間。
屋根には□の穴が複数開いてる。

手前は桜の木
周囲が芝生
わっ
玄関マットの色がそろってないのがかわいい
両脇のトラロープもいい味出してる
高さが2mちょっとくらい?
床は透水性アスファルト舗装に白っぽい塗装

床と屋根が同時に見えるという謎の体験ができるのがすごいな思った。
屋根にも床と同じような舗装が30mmくらい載ってる。

天井の塗装が割れてないのがすごいなと思った
夏とかすごい熱収縮してそうなのにね
おしりに敷くシートの貸し出しもあるらしい
シスコのWifi
消火器は建具の下枠が開くようになっていて中に入ってました


中が見せ場
春になったら屋根から桜が見える
建物の四隅
レトロなステレオが置いてある
天井と壁の間が空いてるのは構造クリアランスでしょうか
咳をしてもひとり
なんで影ってぼやんとしてるんでしょうか
パンチングメタルで覆われた排水口
2か所ありました
壁画みたいになってる桜の木の影
これがイデアですか?
上から屋根を撮影
雨の溜まる中央付近が色落ちしてる

インスタレーション的な空間でありつつも出落ち感は無かった。
屋根の開口率も窓の位置もバランスも完璧だった。設計の苦労が偲ばれる。
そこにずっと身を浸してられるような心地よさと心がふわっと浮遊するような美しさ。
天井はそんなにツルっとしてないしし虫の死骸が結構あったのも良かった。
コンセプチュアルでありつつも大地に根付いた良い建物でした。

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