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【推薦文】温又柔さん、斎藤真理子さんからご寄稿いただきました。

グカ・ハンの小説は、とても静かでありながら、とてつもなくけたたましい。たぶん、母語の檻の中でまどろんでいた意識が生き生きと粒立ち、
しかるべき居場所を獲得する過程をまのあたりにしているからなのだろう。母親の羊水を通じて世界を知覚していた頃を彷彿させる尊い懐かしさとともに、こちらの五感も鋭敏になる。そして、自分もまた言葉以前の世界から
やってきた異邦人なのだと思い出す。
                             温又柔
誰かの困惑の中に、すべての答がある。
まもなくLUOES
(LUOES=SEOULの逆読み)
グカ・ハンがそこを歩いている。
独特の遠近法と射抜くようなイメージ。確かな他者の群。降り注ぐ兆し。
韓国語とフランス語の間でこだまする彼女の声に耳を傾けてみよう。
後を追いかけていきたい、グカ・ハンの迷路。
                             斎藤真理子

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韓国からフランスへ渡り、自ら選びとったフランス語で
鮮烈な作家デビューを果たした、グカ・ハン。
8作の短編からなる小説集『砂漠が街に入りこんだ日』がついに日本へ。

『砂漠が街に入りこんだ日』 グカ・ハン 著 原 正人 訳
四六変型/164ページ/並製  2020年8月1日発売。
全国の書店またはオンラインストア、小社WEBショップにてご注文いただけます。

◆著者略歴
グカ・ハン(Guka Han)1987年韓国生まれ。ソウルで造形芸術を学んだ後、2014年、26歳でパリへ移住。パリ第8大学で文芸創作の修士号を取得。現在は、フランス語で小説を執筆している。翻訳家として、フランス文学作品の韓国語への翻訳も手掛ける。

◆訳者略歴
原 正人(Masato Hara)1974年静岡県生まれ。訳書にフレデリック・ペータース『青い薬』(青土社)、トニー・ヴァレント『ラディアン』(飛鳥新社)、ジャン・レニョ&エミール・ブラヴォ『ぼくのママはアメリカにいるんだ』(本の雑誌社)、バスティアン・ヴィヴェス『年上のひと』(リイド社)、アンヌ・ヴィアゼムスキー『彼女のひたむきな12カ月』、『それからの彼女』(いずれもDU BOOKS)などがある。

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