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食事はちょっと残すことが礼儀だと教えてくれた周さん

何気なさすぎて忘れそうな出来事の記録シリーズ

とでも言いましょうか。別にシリーズ化することでもないのですが。前回の記事で、わたしに記録しておいた方がいいとアドバイスをくれたのはこれまで多くの旅をして、それを独自の方法で記録されている渡邊義孝さん。(見出し画像の方です。)

渡邊さんの話を聞いて、11年間中国で過ごした私にも何か現地の友人との思い出があるはずだと思い始めました。
遠い記憶を言葉にしてみようという気になっている今のうちにやっておかないと、きっとどんどん忘れていくので、前回に引き続きまたnoteを活用してみます。

互相学习で出会った周さん

互相学习(当時、私たちはフーシャンと呼んでいた。)というのがありました。これはつまり、こちらは日本語を教えてあげる、向こうは中国語を教えてくれるという(もちろんお互い無料で)留学生なら誰もが知っている、相互学習です。

私も週に1回、日本語学科の学生さんとフーシャンをしていました。

彼女の名前は周さん。大学院生だったので、私より1つ年上だったと思います。ショートカットで化粧っ気が全くなく、日本語も全然上手じゃない人でした。
ただ、あり得ないほど優しくて、気が利いて、誠実で。親戚かなって思うくらい世話好きな人でした。

ある日、フーシャンが終わった後、周さんは「週末予定がなければうちにこない?一緒にご飯を食べよう!」と誘ってくれました。
しかも、手料理を作ってあげるから、食べたいものをリクエストしてと言ってくれているではないですか。
その時まだ、中華料理の名前すらあまり知らないわたしがリクエストしたのはこちら。

・西红柿炒鸡蛋(トマトと卵炒め)
・土豆丝(じゃがいもの千切り炒め)
・土豆炖茄子(じゃがいもと茄子煮込み)

ジャガイモ攻め。更に、今思えば3品もリクエストするという図々しさよ。

中国人の自宅に初めてお呼ばれした日

待ち合わせ当日、乗り間違えてはいないかとドキドキしながらバスに乗っていたわたしは、バス停まで迎えに来てくれた周さんを見つけてほっとしたのを覚えています。

ただ、そこから周さんの家まで遠かった。

歩いても歩いても、まだ見えない。これ毎日大学まで通うの大変だろうなと思っていると、ようやく見えてきた2階建てのアパート。
もしかしてあれば寮だったのかな?

入る前から、狭いし古いからね!と何度もわたしに言ってくる周さん。
ルームシェアをしているその部屋は、確かに狭かったけどすごくきれいに片付けてあって彼女らしかったです。ちなみに土足で人の家に入ったのはこれが初めて。靴を脱ごうとしたら、「不用,不用!」と止められました。
(今は土足生活は少ないと思うけど、当時はそれも普通だったのかな。)

今日は、日本から一人で来たあなたに中国の家庭の味を教えてあげる!

と、早速料理スタート。しかもその間に「テレビ見てて!」「果物食べてて!」とあれやこれや世話を焼いてくれる。そうこうしている間に、中華料理屋さんみたいに手際よく中華鍋を振って、ささっとわたしのリクエスト全てを作ってくれました。

わたしが食べるのを見ながら、心配そうにひとつひとつ、「どう?」「どう?」と聞いてくるこのやりとり。まるで彼氏に初めて手料理を振る舞った彼女みたい。

残念ながら味はもう覚えてないけど、おいしいって思ったことだけは覚えています。

でも食べきれなくて悪いなぁと思い、もうお腹いっぱいと言いながらいつまでも箸を置かずにいるわたしに教えてくれたこと。

あのね、中国では残すことが礼儀なんだよ。
もし食べ切ってしまったら、こちらの作った料理が足りなかったということ。だから残していいんだよ。というか、残して正解。

初耳!!!!!!!!!!
残す=美味しくないと思われないかというわたしの心配は杞憂でした。

それは中国人にとっては当たり前のこと。
わたしにとっては未知の文化。

こういう小さな理解の積み重ねが、相手を知ることに繋がるんでしょうね。

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今週の「ひろしまほんと」


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