見出し画像

『御社の働き方改革、ここが間違ってます!』白河桃子著:本当に「誰もが生き生き働ける職場」とは?

副題は「残業削減で伸びるすごい会社」。

前首相が旗振り役をした政策に関わった著者による本なので、話半分で読みながらも、まあそうだよね、と思わせるところもある。

「利益は出していくしかない。変革はチャレンジであり、リスクが伴うに決まっています。カルビーでダイバーシティをやった結果、カルビーの業績が悪くなったら、僕はクビになる。そのリスクを取って推進しているわけです。ダイバーシティをやらない限りは経営はうまくいかない、そう信じているからやるんです」
 意地でも利益を出し続けるという松本会長だが、トップがこれだけの覚悟を持ってダイバーシティをやっているのだ。
(p. 111)

口先だけかもしれないが、トップであるからにはこれくらい言い切ってほしいと思わせるせりふ。責任者は責任を取るのが仕事ですからね・・・。でもそうできない人もおそらく多い。

三越伊勢丹ホールディングスの前社長が言う「社員が幸せでないと、いいサービスはできない」という言葉
(p. 152)

これをしないと、結局、いい人材が定着せず企業が衰退する。

ホワイトな企業はホワイトな企業と取引をするようになる。なぜなら「自分の時間を大切にしない」人は「人の時間も大切にしない」ので、つきあいづらくなるからだ。
(p. 156)

才能がある、有能だとされる人であっても、人権意識や労働倫理に欠けた言動をする人なら、取引すべきではない。多くの企業がそういう態度を取れば、コンプライアンスに問題のある人や会社は淘汰されていく。

p. 220~の、育休中に乳児を連れてプチMBAを学べる事例が面白い。育休中という制約がある中での働き方のコツが、マネジメント職のマインドや働き方に通じるというのは、きっとそのとおりだと思う。属人化せずにマニュアル化、共通化したり、人に仕事を頼んでやってもらったりとかのスキルなど。

「最低賃金の額を、たとえば最低一五〇〇円と定めることにも意味があるのではないだろうか」(p. 242)とあるが、最低賃金を時給2000円にすれば、少なくとも自分一人ならなんとか生きていけそう?ただ最低賃金を引き上げると企業が人を雇えなくなり、失業者が増える、という懸念があると最近新聞で読んだ。

とにもかくにも、「残業して頑張って働いた気になってまあまあのお給料をもらえる」時代は終焉を迎えつつあるのだろう。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?